バトル・オブ・ザ・セクシーズの紹介:2017年イギリス,アメリカ映画。1973年、全世界9000万人が注目する中で開催されたテニスの試合があった。それは女子テニス世界チャンピオンのビリー・ジーン・キングと、男子の元世界チャンピオン、ボビー・リッグスによる男女対抗試合。男女平等を求める運動が様々なところで行われていた当時、テニス界も例外ではなかった。女子プレーヤーの優勝賞金は男子プレーヤーのたった1/8。そんな中で行われた、高額賞金をかけた注目の試合。スポーツ界はもちろん、政治や社会における男女の関係までも変えた世紀の戦いの全貌を描く。
監督:ヴァレリー・ファリス / ジョナサン・デイトン 出演:エマ・ストーン(ビリー・ジーン・キング)、スティーブ・カレル(ボビー・リッグス)、アンドレア・ライズブロー(マリリン・バーネット)、サラ・シルヴァーマン(グラディス・ヘルドマン)、 ビル・プルマン(ジャック・クレイマー)、アラン・カミング(カスバートテッド・ティンリング)、エリザベス・シュー(プリシラ・リッグス)、オースティン・ストウェル(ラリー・キング)、ナタリー・モラレス(ロージー・カザルス)ほか
映画「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
バトル・オブ・ザ・セクシーズの予告編 動画
映画「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」解説
この解説記事には映画「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
バトル・オブ・ザ・セクシーズのネタバレあらすじ:起
ビリー・ジーン・キングは11歳でテニスを始めて以来、数々の優勝を重ね、グランドスラムのシングルス、ダブルス、混合ダブルスを計39回制した歴史に名を残す女子テニスプレーヤーの1人。そんな彼女は全米テニス協会が発表した次期大会の優勝賞金を知り、怒りに燃えています。女子の優勝賞金は男子のわずか1/8。責任者のジャック・クレイマーに賞金の格差について抗議するものの「観客が入るのは男子の試合」と言い放たれてしまいます。ビリー・ジーンは負けじと試合をボイコットすると言い返しました。すぐさまジャーナリストであり友人のグラディスと共に仲間の女子プレーヤーを集め”女子テニス協会(WTA)”を立ち上げます。資金もなく、全米テニス協会を追われるように脱退させられた彼女たちでしたが、グラディスはすぐフィリップ・モリス社をスポンサーにつけ、選手たちが全米でタバコを吸うことを条件に”バージニアスリム選手権”を開催、1年間の資金を援助してくれることが決まりました。さらに優勝賞金は7000ドル。全米テニス協会の賞金1500ドルをはるかに超えた待遇を用意してくれたのでした。
バトル・オブ・ザ・セクシーズのネタバレあらすじ:承
駆け出しのWTAは、自分たちでチケットを売り、宣伝活動やコートの整備もやり動き出します。ウェアのデザインはテッドに依頼し、女子テニス史上初のカラフルでおしゃれなウェアをまとい、ついにトーナメントはスタートしました。ある日、ビリー・ジーンがサンディエゴでの戦いに快勝した夜、彼女のもとに1人の女性が訪ねてきました。WTAの記者会見の前に髪を切ってくれた美容師のマリリンでした。彼女に誘われてディスコに出向き、そのまま一夜を過ごした2人。夫ラリーを愛するビリー・ジーンは、マリリンへのときめきとの間に気持ちが揺らいでいきますが、1本の電話により我に戻ります。電話の相手はかつての男子テニス世界王者、ボビー・リッグスでした。彼は突然対決を挑んできました。55歳になっていたボビーはギャンブルに溺れていたことが妻プリシラにバレてしまい離婚の危機に迫られていました。もう一度、世間の脚光を浴び妻に振り向いてもらいたい。そう願うボビーがひらめいたのが、男対女の戦いだったのです。ビリー・ジーンの答えはNO。電話を一方的に切ってしまいます。
バトル・オブ・ザ・セクシーズのネタバレあらすじ:転
ビリー・ジーンに全く相手にされなかったボビーは、彼女の最大のライバル、マーガレット・コートに戦いを申し込みます。旦那と子供をツアーに伴い、子育てをしながらプレイを続けている彼女はボビーが提示した高額賞金のために挑戦を受けることにします。一方マリリンとの関係が深まりつつあるビリー・ジーンは、次の試合開催地ロサンゼルスで、夫ラリーとマリリンがホテルにて鉢合わせしてしまったことで動揺と罪悪感にかられていきます。全てを悟ったラリーは、マリリンへ「ビリー・ジーンの本命はテニス。あとの自分たちは気休めに過ぎない」と忠告し、邪魔をしないようビリー・ジーンのもとを離れます。このことがきっかけで集中できずにいたビリー・ジーンは決勝戦でマーガレットにあっさり負けてしまうのです。こうして女子のトップになったマーガレットはボビーとの試合に臨みます。しかし、ボビーはそんな彼女を翻弄する好プレーを見せ、見事に圧勝。男が女より優れていることを証明したと息巻くのです。
バトル・オブ・ザ・セクシーズの結末
この試合をテレビで見ていたビリー・ジーン。「女王の座を奪いたければ受けて立つ」と挑発するかのようなボビーの言葉にいてもたってもいられなくなり、逃げられない運命だと悟った彼女はラリーへ電話をかけました。もちろんボビーの挑戦を受けることを告げるためです。ラリーも背中を押してくれ、試合は決まりました。この試合が、世界中の男女を巻き込んだ戦いへと変わり、世間はセンセーショナルに告知を広めます。しかし試合を間近に控えたビリー・ジーンはインフルエンザに侵されてしまいます。こうして全米が見守る中で、試合当日を迎えました。ビリー・ジーンは逃げ出したのではないかなど様々な憶測や噂が飛び交う中、ついにコートにビリー・ジーンが姿を表しました。会場には男性優位主義者たちやフェミニストたちも多く訪れ、大歓声に包まれる中でゲームは開始。両者互角の戦いが続きました。しかし試合が進むにつれ、右に左に振られるボビーは次第にスタミナが切れ、デッドヒートを繰り広げた末、ビリー・ジーンが勝ったのです。この瞬間、世界中の多くの女性たちが歓喜し、勝利を分かち合いました。そんな中で1人ロッカールームへ駆け込むビリー・ジーン。プレッシャーと喜びで抑えられなくなった感情が溢れ、涙を流します。一方、ボビーは1人うな垂れて敗北に絶望していました。そこに現れたのは妻プリシラはボビーに優しく微笑みました。しばらくして落ち着きを取り戻したビリー・ジーンはテッドに支えられて、再びコートへ戻ります。歓喜の中、大勢に祝福されながらトロフィーを受け取ったのでした。
以上、バトル・オブ・ザ・セクシーズのあらすじと結末でした。
あからさまな女性差別や同性愛へのタブー意識が、今以上に厳しい時代のテニス界を描いていて、非常に勉強になりました。70年代特有のざらついた映像表現はドキュメンタリックでもあり、終盤の見せ場である試合のシーンは、そのままテレビで観戦しているようなリアリティーがあります。MeToo運動に揺れる現代の私たちこそ、見るべき映画という気がしました。