大コメ騒動の紹介:2020年日本映画。1918年(大正7年)に富山県の沿岸の漁師町から始まり、やがて全国へと広まっっていった「米騒動」の史実を元にした時代劇です。米の価格が高騰するなか、生活に困窮する家族のために立ち上がった女性たちの奮闘を描きます。本作は舞台となった富山県出身の本木克英監督がメガホンを執り、立川志の輔、左時枝、柴田理恵、西村まさ彦、室井滋といった富山県出身の俳優が多数出演しています。
監督:本木克英 出演者:井上真央(松浦いと)、三浦貴大(松浦利夫)、夏木マリ(松浦タキ)、立川志の輔(尾上公作)、吹越満(水野源蔵)、鈴木砂羽(水野トキ)、舞羽美海(小川サチ)、左時枝(鷲田とみ)、柴田理恵(きみ)、木下ほうか(鳥井鈴太郎)、西村まさ彦(活動家)、中尾暢樹(一ノ瀬実)、冨樫真(沢辺フジ)、窪塚俊介、工藤遥(池田雪)、吉本実憂(ヒサ)、内浦純一(熊澤剛史)、石橋蓮司(黒岩仙太郎)、室井滋(清んさのおばば)ほか
映画「大コメ騒動」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「大コメ騒動」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「大コメ騒動」解説
この解説記事には映画「大コメ騒動」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
大コメ騒動のネタバレあらすじ:起
1918年(大正7年)、富山県のとある漁村。男たちが海に漁に出ている間、家を守るのはもっぱら女房、通称“おかか”たちの仕事でした。この村に住む松浦いとは夫・利夫と3人の子供、利夫の母・タキと暮らしていました。
いとは利夫が漁に出ている間、他のおかかたちと同様に地元の米商人から託された米俵を浜辺に停泊している商船のもとまで担いで運ぶ女仲仕の仕事をしていました。
4月。地元の海は魚が獲れない時期となり、村の男たちは数ヶ月かけて遠い北海道や樺太の海に漁に出ていました。利夫も長き航海に出ることになり、秋になったら帰ってくるからと、いとに子供たちやタキを託して出航していきました。
それから3ヶ月後。おかかのひとりである水野トキが酒屋で働く夫・源蔵と夫婦喧嘩をしていました。騒ぎを聞いたいとは他のおかかたちと共にトキのもとへ駆けつけました。トキと源蔵の間には嫁入りを控えていた娘がいましたが、源蔵は酒屋の女中でいとの幼馴染だったヒサに手を出してしまい、そのことがきっかけで酒屋を追い出され、ヒサを連れてトキの元に戻ってきたのです。
おかかのまとめ役である清んさのおばばは源蔵に説教し、ヒサをその場から追い出しました。
大コメ騒動のネタバレあらすじ:承
この頃から米の価格が高騰し始め、わずかな稼ぎで何とか米を買っていたおかかたちは村で唯一の米商人「鷲田米商店」に文句を言いに来ました。米商店の妻である鷲田とみは自分の一存で決まったことではないと釈明しました。
この当時は第一次世界大戦の真っ只中であり、日本政府はシベリアへの出兵を決定。戦地に向かう兵士のために政府が国じゅうの米を買い占めたことに端を発して米の価格が高騰したのです。そのことを新聞で知ったいとは、そのことをおかかたちに説明しました。おかかたちはおばばを筆頭に、米の船への積み込みを阻止する運動を起こし、地元警察の署長・熊澤剛史がそれを抑えました。
おかかたちの起こした騒動は地元の新聞・富山日報で報じられました。大阪新報社の編集長・鳥居鈴太郎はこの騒動は一大スクープだとみて、若手記者の一ノ瀬実を富山に送り込んでこの騒動を取材させることにしました。一ノ瀬は地元の学び舎・池田模範堂の女性教師・池田雪の家に滞在することにしました。池田のもとでは、いとの長男・正一郎の他にもおかかのひとり・小川サチの娘おみつも学んでいました。
米の価格高騰は留まることを知らず、おかかたちは鷲田米商店に怒鳴り込んで米価を下げるよう要求しましたが、主人は全く取り合おうとはしませんでした。一ノ瀬は早速おかかたちの取材を始めました。
おかかたちは地元の貿易会社経営者で大地主の有力者・黒岩仙太郎に掛け合って仲介に入ってもらおうと考えましたが、おかかたちの動きを読んでいた黒岩は熊澤を呼びつけ、騒動を収めるよう要請しました。
おばば率いるおかかたちは意を決して黒岩邸に乗り込み、座り込みの抗議活動を始めました。いとたちも後から合流する予定でしたが、仲間が逮捕されたためにいとたちは警察署に身柄を引き取りに行かざるをえず、その間におばばたちは熊澤によって追い払われてしまいました。ようやく合流したいとたちはおばばたちから裏切者だと誤解を受けてしまいました。おかかたちから孤立してしまったいとはタキから早く元気を取り戻すよう励まされました。
大コメ騒動のネタバレあらすじ:転
村ではおかかたちに対する不当な圧力が強まり、船の積み込みの仕事に転職した源蔵はトキに決して騒動に加わらないよう釘をさしました。一ノ瀬は一連の騒動を記事にまとめましたが、鳥井は読者はもっとセンセーショナルな記事を求めているとして更に取材を続けるよう命じました。
生活に困窮したいとは近所の沢辺フジに米を分けてくれるよう頼みましたが断られてしまいました。一方、おみつは学費を捻出するため、サチや池田を伴って黒岩のもとに奉公に上がろうとしましたが、おかかを庇う趣旨の発言をしたことで黒岩に冷たくあしらわれてしまいました。結局おみつは学び舎を辞めることになり、これに嘆いた正一郎は自分の家族の窮状を池田に訴え、どうすれば人並みの暮らしが送れるのかと問いかけました。
いよいよシベリア出兵が始まりそうになり、いとはおばばに頭を下げて出兵前に手を打つべきだと訴えました。そして8月4日午後8時、おかかたちは鷲田米商店の前に集結しましたが、主人は居留守を使って取り合いませんでした。これにしびれを切らしたいとは店の前に流れる川に石を投げて大きな音を立て、これが導火線となっておかかたちは店に雪崩込みました。
一ノ瀬は早速この騒動を記事にしましたが、鳥井は記事の一部を抜粋して話題性あるセンセーショナルな内容に勝手に書き換えました。この記事は瞬く間に全国各地に報じられ、米騒動の余波は各地に広がっていきました。一方、黒岩は熊澤に早く騒動を終わらせるよう命じ、熊澤は鷲田米商店に出向いて対策を要求しました。とみはおかかたちの仲を裂く作戦を考えました。
大コメ騒動の結末
トキの娘の嫁入り祝いに向かっていたおばばが突然逮捕、投獄されました。これにおかかたちは意気消沈してしまいました。続いてとみはいとのもとを訪れ、他のおかかたちはそれぞれ便宜を図っていると吹聴し、いとにだけ特別に米を安く売ってやると持ちかけました。栄養失調を起こしていたいとはとみの誘いにまんまと乗っかり、米を安く分けてもらいました。
いよいよ金に困ったサチを見かねたおみつは米を盗もうとして失敗し、サチは謝罪に出向きました。正一郎はおみつを庇おうとしましたが、とみはいとが自分との取り引きに応じて米を安く買ったことを暴露しました。いとはこのことでおかかたちから仲間外れにされてしまいました。
その夜、おみつは再び米を盗もうと米蔵に忍び込み、米俵の下敷きになって圧死してしまいました。いとは池田に悔しさを伝え、おみつが死んだことを知った正一郎は家族に良い暮らしをさせるために士官学校に入って軍人になることを決意しました。
一ノ瀬は自分が書いた記事を鳥井に勝手に改変させられたことで落ち込んでいました。いとは一ノ瀬に、自分たちの行動は無駄ではなかったと気付かされたことを告げて励ましました。
おばばは獄中で飲まず食わずの日々を過ごし、釈放された時には衰弱しきっていました。いとやおかかたちはおばばのもとに集まり、それぞれの過ちを告白したことでいとは再びおかかたちと和解しました。おかかたちは再び団結し、停泊する船への米の積み込みを全力で阻止することに成功しました。その後、いとたちの住む地域の町議会が救済措置として米の支給と安売りを行うこととなりました。
米騒動はおかかたちの勝利で幕を閉じ、当時の寺内内閣は騒動を招いた責任を取って総辞職に追い込まれました。作家の尾上公作はおかかたちの米騒動を書き記しました。
秋になり、長い漁から帰ってきた利夫はいとに出迎えられました。そしてトキと源蔵の娘は無事に嫁入りを果たしました。
以上、映画「大コメ騒動」のあらすじと結末でした。
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