映画 永遠の0(永遠のゼロ)の紹介:2013年日本映画。百田尚樹のベストセラー小説「永遠の0」をV6岡田准一主演で映画化したヒューマンドラマ。現代に生きる青年が太平洋戦争の特攻で亡くなった零戦パイロットの祖父のことを調べていくうちに祖母への思いを知るようになっていく姿が描かれる。
監督:山崎貴 原作:百田尚樹 キャスト:岡田准一(宮部久蔵)、三浦春馬(佐伯健太郎)、井上真央(松乃)、濱田岳(井崎)、新井浩文(景浦)、染谷将太(大石)、三浦貴大(武田)ほか
映画「永遠の0(ゼロ)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「永遠の0(ゼロ)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
永遠の0(ゼロ)の予告編 動画
映画「永遠の0(ゼロ)」解説
この解説記事には映画「永遠の0(ゼロ)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
永遠の0(永遠のゼロ)のネタバレあらすじ:起
26歳で弁護士志望の佐伯健太郎(三浦春馬)は、司法試験に連続で不合格になったことで夢への情熱を失っていましたが、ある日祖母の松乃が亡くなったという知らせを受け、姉でフリーライターの慶子(吹石一恵)と葬儀に参列します。その時に祖父の大石賢一郎(夏八木勲)から、賢一郎と2人の間に血縁関係はなく、実の祖父は別にいるということを初めて聞かされます。賢一郎によると2人の実の祖父は特攻隊員として26歳で戦死した宮部久蔵という人であり、戦後に賢一郎と松乃は再婚したということでした。しかし宮部久蔵についてはそれ以上のことは分かりませんでした。その頃慶子はライターとしてある新聞社の終戦60周年記念プロジェクトに参加しており、慶子は宮部久蔵の過去を調べて本を出版することを思いつきます。そして司法浪人としてフラフラしている健太郎にその手伝いを頼み、2人で生前の宮部を知っている人物に取材をしていきます。2人は宮部について何人かに話を聞きますが、皆が口を揃えて彼のことを「海軍一の臆病者」と非難しました。しかし6人目に訪ねた海軍航空隊時代に宮部の部下だった井崎は、宮部を肯定的に見ており、詳しい話を聞かせてくれました。
永遠の0(永遠のゼロ)のネタバレあらすじ:承
宮部久蔵(岡田准一)は優秀な零戦パイロットで、後に筑波海軍航空隊で教官を務めました。しかし命を重んじる思考から生還することにこだわっていた宮部は、戦友から反感を買っていました。もし自分が死んでしまえば妻と娘の人生を狂わせてしまうため、2人のためにどうしても生きて帰りたいと宮部は語っていました。その後戦場は厳しさを増し、兵士たちが厳しい状況へ追い込まれていく中、井崎(濱田岳)の「どうせ死ぬなら敵へ突っ込んで自爆したほうがいい」という言葉に対し、宮部は「どんな時も最後まで生き延びる努力をしろ」という言葉を返しました。井崎はあの時代にそういう生き方を選んだ宮部こそ強い人だったと話してくれました。
永遠の0(永遠のゼロ)のネタバレあらすじ:転
井崎の話を聞いてから健太郎は、それほど生きることにこだわっていた宮部がなぜ特攻隊に志願したのかという疑問を持ち、もっと宮部のことを知りたいと思い始めます。そして健太郎は、一度追い返されてしまった景浦を再び訪ね、宮部について話を聞きます。景浦(新井浩文)は宮部と同じ海軍航空隊に所属し、数々の激しい戦いを生き抜いてきました。剣豪に憧れていた景浦は乱戦を好み、いつも無傷で帰ってくる宮部に強い反感を持っていましたが、浅はかな挑発を見事にはねのけた宮部の腕前を景浦も認めざるをえませんでした。その後、海軍航空隊予備学校の教官になっていた宮部と再会したときには、宮部はすっかり変わり果てていました。自分の教え子たちが次々と命を落としていく様を目の当たりにし、宮部は自分の無力さに打ちのめされていました。そんな宮部はついに自ら特攻を志願します。宮部が出陣する日、彼はある飛行兵と機体を交換します。そして2人は飛び立ちますが、宮部と交換した機体は途中でエンジントラブルを起こし、帰還せざるを得ませんでした。この機体に乗っていたのが大石賢一郎、つまり健太郎の祖父でした。
永遠の0(永遠のゼロ)の結末
賢一郎は宮部と交換した機体から、「生還できたら家族を頼む」という内容の賢一郎あての手紙を発見しました。つまり宮部はエンジントラブルに気づいており、それによって賢一郎が生還する可能性にかけてすべてを託したということでした。終戦後、賢一郎は宮部の意思を引き継ぎ、松乃たちの行方を探し出し、2人の元に通い続けます。そんな賢一郎に心を許した松乃はその後賢一郎と結婚します。そして宮部についてすべてを知った健太郎が空を見上げると、零戦に乗った宮部が笑いかけるのを健太郎は見た気がしました。
以上、映画 永遠の0(永遠のゼロ)のあらすじと結末でした。
映画 永遠の0(永遠のゼロ)の感想・考察
永遠の0は興行収入87億円突破の大ヒット、累計300万部を超える大ヒット小説を映画化した作品。この興行収入は、実写邦画作品の歴代6位に入る好記録。司法浪人の佐伯健太郎(三浦春馬)が、祖母の死をきっかけに、祖父の賢一郎(夏八木勲)が自分と血がつながっていないことを知り、本当の「祖父」である宮部久蔵(岡田准一)という人物について、姉の慶子(吹石一恵)とともに彼の軌跡をたどる。
「祖父」の久蔵についてわかったこと。
・零戦の乗組員として、海外で戦争に関わっていたこと
・臆病者と周りから後ろ指をさされていたこと
・争いを嫌っていたこと
・争いを避けていたにも関わらず、最後は特攻隊に志願し、わずか26歳で命を終えていたこと
戦時中の元同僚だった人たちに話を聞くうちに、会ったことのない「祖父」の「戦争から逃げていた臆病者」だったという実像を知り、だんだんと調査するのが辛くなってきた健太郎だったが、調べていくうちにわかっていく「臆病者」ではなかった祖父の一面が見えてくる。そこから湧いてくる一つの疑問…なぜ久蔵は、特攻隊に志願し命を絶ったのか。そこには久蔵が未来に託した、強い想いがあった。太平洋戦争中のミッドウェー海戦を機に、戦局がどんどんと悪化していった日本国軍。国が決定した苦肉の策が…戦闘機に乗ったまま敵国の戦艦に突っ込むという「特攻隊」の結成。若い学生たちが特攻隊に志願し、失われた尊い命は4000人以上に及ぶという。
「日本のために命を捨てる」…それが当時の戦争に関わった軍人たちの思想。しかし、宮部久蔵は「日本のために生きる」「大切な人のために、生きる努力をする」…命の尊さ、生きることの大切さを重く受け止めている人だった。今だけではなく、先を見据えて大切な人のために、日本の将来のために、希望をつないだ宮部久蔵の強い想いは、心をゆさぶる。そこに争いを嫌っていた彼が特攻に志願した理由が見えてくると思う。きっと当時、特攻隊はもちろん、戦争で命を落とした多くの人たちが「大切な人」を想って、厳しい環境に立ち向かっていたに違いない。
この映画永遠の0の伝えたいことはラストシーンの健太郎の祖父・賢一郎の言葉にあると思う。亡くなった人たちの尊い命を無駄にしないこと。それが戦争を知らない私たちがしていかなくてはならないことなのだ。厳しい状況の中で長い間戦い続け、大切な人に会えないまま、無念のうちに亡くなってしまった人たちの想いを、将来につないでいかなくてはならない。
2015年日本は終戦70周年を迎えた。永遠の0の劇中の台詞でもあったように、戦争を知っている人たちがどんどんいなくなってくる。実際に戦争を経験していない私たちが、これから生まれてくる尊い命、これから活躍する若い力をつないで、誰もが安心して暮らしていける世界の構築に少しでも貢献していかなくてはならない。
宮部久蔵さんが、未来に想いを託したように。
「永遠の0(ゼロ)」感想・レビュー
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何故自分が不時着して帰らなかったのか、疑問が残ります。
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本当に素晴らしい作品で最後の主人公に敬礼するシーンには本当に泣きました是非一度見ても後悔しない作品です
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私は原作を読了。何度も本を持つ右手に力が入り、そして泣きそうになりました。誰よりも生に固執した宮部の最期とは・・・。
Amazonには、アメリカ人のレビューもあり、感慨深いです。
上層部に振り回されて、現場で一生懸命働いている人たちが犠牲になるのは、戦中から何も変わっていないのか、この国は。
祖母の死を通じて、自分のルーツである特攻隊員だった実のお爺さんの生涯を調べるという設定に共感が持てます。また、同じ経験をした戦争中の兵隊の方々も、皆が同じ考えを持っていたわけじゃなく、個々に葛藤や受け止め方が違ったのだという点がしっかり描かれていました。「当時はこういう考えをしていたはず」という後世の先入観に警鐘を鳴らしてくれている側面もある映画です。現代風なのに映画にマッチしているサザンオールスターズの楽曲も見事です。