ディア・ファミリーの紹介:2024年日本映画。心臓の機能をサポートする医療器具・IABP(大動脈内バルーンパンピング)バルーンカテーテルを開発した東海メディカルプロダクツ創業者・筒井宣政会長の実話に基づいた清武英利著のノンフィクション『アトムの心臓「ディア・ファミリー」23年間の記録』をベースに映画鑑賞した実録ドラマです。町工場の経営者だった主人公が心臓に重い病を患った娘の命を救おうと人工心臓の開発に挑む姿を描いていきます。
監督:月川翔 出演者:大泉洋(坪井宣政)、菅野美穂(坪井陽子)、福本莉子(坪井佳美)、新井美羽(坪井寿美)、上杉柊平(佐々木肇)、徳永えり(柳玲子)、満島真之介(桜田純)、戸田菜穂(川野由希)、川栄李奈(坪井奈美)、有村架純(山本結子)、松村北斗(富岡進)、光石研(石黒英二)ほか
映画「ディア・ファミリー」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ディア・ファミリー」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ディア・ファミリー」解説
この解説記事には映画「ディア・ファミリー」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ディア・ファミリーのネタバレあらすじ:起
1977年。愛知県でビニール製品樹脂工場を経営する坪井宣政は妻・陽子、長女・奈美、次女・佳美、三女・寿美と家庭を築いていました。しかし、佳美には生まれた時から心臓に欠陥があり、手術が非常に困難な「三尖弁閉鎖症」で余命10年と宣告されていました。宣政は佳美を助けたい一心で日本中やアメリカの医師に掛け合いましたが、いずれも手術はできないと断られてしまいました。
そんな時、医学書を読んでいた陽子が当時まだ研究段階だという人工心臓の話をしました。宣政は佳美の手術費用に貯めた金を人工心臓の研究機関に寄付することにしました。
1978年。宣政は東京都市医科大学・日本心臓研究所の石黒英二教授のもとを訪れました。しかし、人工心臓の開発研究はまだ動物実験の段階に過ぎず、納得のいかない宣政は片っ端から各地の研究施設に相談しましたが全て断られました。宣政は一転して研究施設への寄付をやめ、自分の手で人工心臓を造ると決心しました。
宣政は再び石黒教授のもとを訪れ、協力を頼めました。石黒教授は人工心臓開発には医学だけでなく工学分野の技術者の視点も必要だとして承諾しました。宣政は医学に関する専門知識が全くなく、学生に紛れて無断で東京大学の医学講義を受けました。その際、宣政は学生の桜田純と知り合い、彼に教えてもらうことになりました。
人工心臓開発には人工血管が必要でしたが、日本心臓研究所にはその予算がありませんでした。そこで宣政は数千万円という有り金をはたいて町工場に人工血管の製作装置を作ってもらいました。宣政のやり方についていけない社員が数名辞めていきましたが、工場長は宣政には人工心臓開発に専念してほしいと訴えました。
ディア・ファミリーのネタバレあらすじ:承
宣政は心臓の形の容器を作ることに成功しましたが、今度はアメリカ製の高額な人工弁が必要であり、宣政は銀行に融資を求めるも回収の見込みがないと断られてしまいました。
その頃、病院に入院していた佳美は自分と同じような疾患を抱える少女と親しくなりました。やがて少女の容態が悪化し、佳美は少女を助けてほしいと宣政に訴えましたが、宣政には佳美以外の人のことまで考える余裕はありませんでした。
1984年。宣政は人工心臓開発のための新会社「愛知メディカルプロダクツ」を設立しました。開発は順調に進んでいるかに思われましたが、折しもアメリカでは人工心臓を移植した人間が苦しみながら死亡するという事態が起こり、世論は人工心臓を批判する声が上がっていました。これまでは宣政に協力的だった石黒教授でしたが、アメリカでの事態を受けて実用化には気の遠くなるような臨床試験と莫大な予算、国の認可が必要だと難色を示し始めました。宣政はこれまで8億円も注ぎ込んでいましたが、自分が諦めたら終わりだと決して引くことはしませんでした。
ある日の夜、宣政が東京に出向いている際に名古屋の陽子から佳美が入院したとの連絡が入りました。かつて日本心臓研究所で勤めていた研究医の富岡進が車で宣政を名古屋まで送っていくことになり、その道中で富岡は心臓手術までの一時的な補助となるバルーンカテーテルの研究をしていることを明かしました。しかし、バルーンカテーテルはまだまだ事故が多く、実用化は困難とされていました。
宣政は佳美の入院する病院に到着しました。そこで宣政ら家族が医師から告げられたのは、佳美の体内の全ての臓器が弱っており、人工心臓が完成しても完治は不可能という衝撃の宣告でした。佳美は余命を家族と一緒に過ごすべきと病院に提案され、自宅に戻ることになりました。
ディア・ファミリーのネタバレあらすじ:転
人工心臓の開発は頓挫し、日本心臓研究所は閉鎖されて研究医たちはそれぞれ別の道を歩むことになりました。自暴自棄になった宣政に佳美が声をかけ、自分の命は大丈夫だからこれまでの研究開発で得た知識を苦しんでいる人々のために使ってほしいと呼びかけました。
陽子、奈美、寿美は佳美がいきたがっていた北海道へ旅行に出かけました。一方、宣政はかつて佳美が病院で親しくなり、その後死亡した少女の家を訪れ、少女の母・川野由希から少女がIABP(大動脈内バルーンパンピング)バルーンカテーテルの手術を受けていたことを知らされました。事故が多発しているのはアメリカ製であり、日本人の体質に合わないのではと考えた宣政は富岡に協力を求め、日本人に合った安全なバルーンカテーテルの研究開発に乗り出しました。
1987年。高校を卒業した佳美は宣政の会社に従業員として入社しました。ワープロが得意な佳美は少しでも宣政の役に立ちたい一心で衛生管理士の資格を取ろうと考えていました。
宣政と富岡は試行錯誤の末にようやくバルーンカテーテルの試作品を作り上げました。しかし。石黒教授はバルーンカテーテルの実用化はできないと言い放ったばかりか宣政を施設出入り禁止にしてしまいました。宣政は他の大学で使用できないか掛け合いましたが、いずれも断られてしまいました。
佳美が会社で倒れて入院しました。佳美は駆けつけた宣政に、宣政は間違っていなかったこと、家族のために頑張ってくれたこと、宣政は佳美の願いを叶えようとしていることを伝えました。
佳美は余命と言われた10年を超え、成人式を迎えることができました。富岡は自分が全ての責任を取る決断をし、石黒教授の許可を得ぬまま独断でバルーンカテーテルを使った手術に踏み切りました。その後、宣政と富岡が共同開発した日本人向けのバルーンカテーテルは評判を呼び、さすがの石黒教授も認めざるを得ませんでした。
ディア・ファミリーの結末
1991年。富岡は重篤の少女にバルーンカテーテルを用いた手術を行っていました。宣政は病床の佳美に声をかけ、佳美のお陰で多くの命が救われたことを伝えました。佳美は父の夢が叶ったことを称え、みんなは自分の誇りだと言いました。
2002年。宣政は功績を讃えられて表彰されました。テレビリポーターの山本結子が宣政を取材し、かつて自分も重い心臓病を患っていたこと、バルーンカテーテルのお陰で助かったことを伝えました。宣政は自分は佳美の命を救えなかったので表彰されるような人間でないと前置きし、礼なら佳美に言ってほしいと伝えました。
映画は恒久型人工心臓は未だ完成していないこと、IABPバルーンカテーテルは17万人の命を救ったことを伝えて幕を閉じます。
以上、映画「ディア・ファミリー」のあらすじと結末でした。
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