海は燃えている ~イタリア最南端の小さな島~の紹介:2016年イタリア,フランス映画。イタリア最南端に位置するランペドゥーサ島。北アメリカに最も近いこの島で、少年サムエレは友人とパチンコ遊びに夢中になっていた。島の住民が穏やかな生活を送る一方、この島には連日アフリカや中東アジアから地中海を経由して難民が上陸していた。2016年ベルリン国際映画祭金熊賞受賞作品。
監督:ジャンフランコ・ロージ 出演者:サムエレ、ディック、ピッポ、ほか
映画「海は燃えている」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「海は燃えている」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
海は燃えている ~イタリア最南端の小さな島~の予告編 動画
映画「海は燃えている」解説
この解説記事には映画「海は燃えている」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
海は燃えている ~イタリア最南端の小さな島~のネタバレあらすじ:起
イタリア最南端に位置するランペドゥーサ島。この小さな島で育つ少年・サムエレは友人のディックとともにパチンコ遊びに夢中でした。
その夜、島の監視船にはには救難信号が届いていました。乗客の数と現在位置を訪ねますが応答はありません。ランペドゥーサ島は北アフリカに最も近く、連日多くの難民が海を渡りこの島にたどり着きます。20年間で約40万人の移民がこの島を訪れたといいます。
しかし島の住民たちは穏やかな毎日を過ごします。サムエレの祖母は朝食の支度をしながら遭難船のニュースを聞いていました。
別の遭難船では救助作業が行われていました。救助された難民たちは島に上陸したあと、健康状態の調査や身元確認を行います。
サムエレは漁師である祖父の船上の話に耳を傾けます。海に囲まれているため、海での仕事を生業とする島民も大勢います。サムエレの祖父も長い航海を何度も経験していました。それでも長期間の海での暮らしは過酷なものだと孫に言い聞かせます。
島の医師は島に上陸した難民の妊婦へ胎児の健康状態を身振り手振りで伝えようとしていました。この島で生きる以上、島の医師も難民と深くかかわっているのです。
海は燃えている ~イタリア最南端の小さな島~のネタバレあらすじ:承
難民の救出は昼夜を問わず行われます。深夜島に上陸した難民たちは港に到着するとバスに乗り専用の施設に送迎されます。金色の防寒シートをまとって身元確認を待つ難民たちは疲労を隠しきれません。しかし身体検査を行う難民たちの表情にはわずかな安堵が浮かんでいました。
サムエレが学校の宿題を終えると雨と同時に大きな雷が鳴ります。外の様子を気にしながら、サムエレの祖母は一日中海に出ていた祖父へパンを渡しに持って行ったこと、夜は戦時中だったため海に出なかったと思い出を語ります。天候が崩れると漁に行くこともできません。漁師の妻であるマリアも、地元ラジオ局に「海の炎」をリクエストし天候の回復を願います。
その頃、サムエレは視力検査で左目が弱視であることを知ります。しばらくの間右目に眼帯をして昨日が弱まっている左目の視力を回復させることになりました。
保護施設で夜明けを迎えた難民たちは、これまでの旅路を歌にしていました。ナイジェリアから逃げてきた男性はサハラ砂漠やリビアに逃げてきたことを歌います。サハラ砂漠では水が尽き、自分の小便を飲んで飢えをしのいだこと、リビアの牢屋で食料も水も無く暴行を受け続けていたこと、海にたどり着くまで大勢の死を見たことを歌につづります。
一方、祖父のイカ釣り漁に同行するサムエレは揺れる漁船の上で船酔いを起こしていました。夕飯には祖父の釣ったイカを使ったパスタが食卓に並びます。
食事中、祖父に船酔いを起こさない方法を聞くと「波があるときに桟橋を歩くといい」と返されます。胃が強くなって陸でも海でも具合が変わらないというのでした。
海は燃えている ~イタリア最南端の小さな島~のネタバレあらすじ:転
難民の写真を眺める島の医師は難民の健康状態について語ります。外に乗る乗客は一等船客で1500ドル、中段は1000ドル、船倉は三等船室で800ドルで、等級が低くなるにつれ健康状態も悪くなるのだと語ります。漏れた燃料と海水により燃料による化学的なやけどを負った14歳ごろの少年や、七日間まともな食料も水も無い状態の乗客を助けることに喜びを感じる反面、助けられない苦悩も抱いていました。
多くのしたい検分を経験しても、助け切れなかった遺体を見慣れることは無いと語ります。死体検分の名の下、解剖したり指や耳を切除しなくてはいけません。死後も彼らは冒涜を受けつづけるのだと静かに語ります。
無事に島までたどり着いた難民たちには長い航海を終えた余裕が生まれ始めていました。それぞれ公衆電話に長蛇の列を作り、サッカーの試合を楽しみます。
視力検査後、サムエレは眼帯つきのめがねを着用しはじめていました。しかし弱視ではうまくパチンコを打つことも、教科書の文字を読むこともできません。ボート遊びも距離感をつかむことができず、まっすぐボートをこぐことができずにいました。次第に船舶の間に挟まってしまいます。船の間に挟まるとつぶされる可能性すらありました。船乗りの島で暮らす少年にとって、弱視は不便極まりないものです。しかし、眼帯つきのめがねのおかげか、視力は0.1から0.5にまで回復していました。
海は燃えている ~イタリア最南端の小さな島~の結末
夜明け前の沿岸では、巡視船に搭載されたヘリが飛行の準備を進めます。救助に向かうと遭難ボートにはあふれんばかりの難民がひしめき合っていました。救助作業員は衰弱し動けなくなった難民を優先に救助します。衰弱した難民は飢餓と脱水症状で人形のように動かなくなっていました。徐々に巡視船は救出された難民でいっぱいになりました。難民を救助した後は遺体の搬送が続きます。今回救助された難民たちの多くは女性や子供で、静かに涙を流しつづけていました。
同じ日の夜、サムエレは眼帯つきめがねをつけたままでも夜道を歩くことができるようになっていました。友人とパチンコ遊びをしていたときに見つけた鳥を探しに着ていたのです。また、波があるときはうまく歩けなかった桟橋も難なく歩けるようになっていました。海に囲まれて生きるサムエレですが、隙があればパチンコを打つ仕草を止めません。それでもサムエレは日々確実に成長を重ねていました。
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