初恋 ~お父さん、チビがいなくなりましたの紹介:2018年日本映画。西炯子の漫画『お父さん、チビがいなくなりました』を映画化したヒューマンドラマです。寡黙で会話らしい会話もない夫に愛想が尽き始めていた妻。一組の老夫婦が離婚の危機を迎えようとしていた矢先、妻が可愛がっていた飼い猫が突然いなくなり・・・。一家の一大事に初めて互いの気持ちに向き合う夫婦の姿を笑いあり涙ありで描きます。
監督:小林聖太郎 出演者:倍賞千恵子(武井有喜子)、藤竜也(武井勝)、市川実日子(武井菜穂子)、佐藤流司(ヨンギ/笹原(二役))、小林且弥(山崎)、優希美青(若き日の有喜子)、濱田和馬(若き日の勝)、吉川友(若き日の志津子)、一本木伸吾(魚屋)、小林トシ江(八百屋)、水木薫(有喜子の伯母)、生田拓馬(菜穂子の部下)、中崎敏(菜穂子の部下)、日向丈(警察官)、中田晴大(警察官)、渡辺苑衣(ソニ)、玉井らん(ミヨン)、染井明希子(気象予報士)、本間晴稀(幼少期の雅紀)、りんご(チビ)、小市慢太郎(雅紀)、西田尚美(祥子)、星由里子(志津子)ほか
映画「初恋 ~お父さん、チビがいなくなりました」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「初恋 ~お父さん、チビがいなくなりました」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「初恋 ~お父さん、チビがいなくなりました」解説
この解説記事には映画「初恋 ~お父さん、チビがいなくなりました」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
初恋 ~お父さん、チビがいなくなりましたのネタバレあらすじ:起
結婚50年目を迎えた主婦の武井有喜子(70歳)と勝(74歳)の夫婦。勝は会社を定年になり、今では3人の子供も全員独立して夫婦二人で暮らしています。普段から無口でぶっきらぼうな勝は有喜子とは会話らしい会話もなく、家のことは何ひとつしないため家事はもっぱら有喜子の担当です。
有喜子は飼い猫である黒猫のチビを可愛がっており、チビを抱き上げながら趣味の韓流ドラマを観ることが愉しみです。勝はいくら話しかけても無反応なので、有喜子にとってはチビこそが一番の話相手でした。一方の勝はかつて務めていた会社に時々顔を出す以外は街の将棋道場に入り浸っており、たまたま買い物をしていた有喜子が勝に手を振っても勝は無反応でした。
そんなある日、末娘で未だ独身の菜穂子(37歳)が実家にやってきました。菜穂子と近況を話し合っていた有喜子は、勝と離婚しようと考えていることを打ち明けました。その後、有喜子はまだ独身だった若い頃を思い出していました―――。
―――ミルクスタンドで売り子として働いていた有喜子は客としてやってきた勝に好意を抱いていたのですが、勝は有喜子からではなく、いつも有喜子の同僚だった志津子から商品を買っていたのです―――。
その夜、チビは忽然と家からいなくなりました。
初恋 ~お父さん、チビがいなくなりましたのネタバレあらすじ:承
有喜子は来る日も来る日もチビを探し続けましたが、勝はそのうち帰ってくるだろうとそっけない態度でした。有喜子は菜穂子に相談したところ、菜穂子はペット探偵の笹原という男にチビ捜索を依頼してくれました。笹原は有喜子がよく観ている韓流ドラマの出演者であるヨンギに瓜二つであり、有喜子は笹原と一緒にチビの行方を探しているうちにどうしても心が浮き立ってしまいがちでした。
笹原はチビを捕まえるための罠を用意したのですが、別の猫がかかってしまい、有喜子は罠からその猫を出そうとして怪我をしてしまいました。勝はペット探偵を雇う費用にも不満を持っており、チビは死に場所を求めていなくなったのだろうと吐き捨てました。
翌日、有喜子は笹原に相談してみると、笹原は野生の動物は弱ると身を隠して回復を待つことがあり、時にはそのまま死ぬこともあると説明しました。有喜子はほっとした拍子に足元がよろけてしまい、笹原に抱き止められました。その様子をたまたま菜穂子が目撃してしまいました。
菜穂子は両親が不仲なのではないかと思い、まずは勝の様子を見てみることにしましたが、勝はいつもの将棋道場で初心者で小説家志望の山崎という若者と楽しそうに将棋を打っていました。
菜穂子は兄・雅紀と姉・祥子を実家に招き、両親のことを相談しました。菜穂子らは勝に有喜子との結婚は恋愛結婚だったのかと訊いてみたところ、勝はぶっきらぼうに見合いだったと答えました。結局真相はうやむやなまま3人の子供たちは実家を後にしました。
初恋 ~お父さん、チビがいなくなりましたのネタバレあらすじ:転
菜穂子は帰り道で山崎に出くわし、チビ捜索の張り紙を将棋道場に貼ってくれるよう頼みました。一方、有喜子は部屋の片付けをしていたところ、勝の机にマッチがあるのを見つけました。有喜子は以前に勝が密かにかつての同僚だった志津子と会っているところを目撃しており、このマッチは志津子が勝に渡したものでした。有喜子は怒りに震えながらマッチを握り潰し、改めて過去を振り返りました―――。
―――有喜子は常連客だった勝のことがとても気になっていましたが、どうしても話しかけられませんでした。そんなある日、有喜子の伯母が見合い話を持ってきました。写真の男はなんと勝だったのです―――。
そんなある日、勝はいつもの駅を出たところ、途中で道がわからなくなって困ってしまいました。警察官に助けられて何とか家に帰り着いた勝でしたが、この出来事に大変な衝撃を受けてしまいました。そんな時、勝は有喜子がチビのご飯を用意しているところを見るなり、チビは死んだのだと怒鳴りながらご飯を叩きつけてしまいました。
ショックを受けた有喜子は外へ飛び出し、雨の中をチビを探して回りました。有喜子はそのまま菜穂子の家に転がり込み、家に帰っても独りぼっちだから帰りたくないとこぼしました。
初恋 ~お父さん、チビがいなくなりましたの結末
その頃、勝は志津子と会っていました。勝が道に迷ったという話を聞いた志津子は有喜子に話すべきだと諭し、彼女はいいことも悪いことも聞きたいはずだと助言しました。
有喜子は意を決し、勝に離婚を切り出しました。勝は突然のことに驚きを隠せませんでしたが、折しもチビを目撃したとの情報が入ってきたため有喜子はそのまま出かけていきました。有喜子が帰宅すると縁側の窓が少しだけ開けられており、チビのご飯が山盛りに用意されていました。
その夜、勝は自分のどこが不満なのかと有喜子に問い質しました。有喜子は勝が志津子と会っていることを知っていると語り、自分にとって勝は初恋の人だったけども、見合い結婚だったから勝は自分のことを好きではなかったのだと責め立てました。
勝は当時のことを振り返り、自分には初めて好きになった人がいたけどもどうせ相手にされないだろうと諦めていたことを打ち明けました。ところが、見合い話を持ちかけられた勝は、相手がなんとその初恋の人、すなわち有喜子だったことを知り、好きすぎてどうしていいかわからなかったと語りました。それを聞いた有喜子は涙を流しながら喜びました。
有喜子と勝は手を繋いだまま眠りにつきました。そして翌日、チビが家に戻ってきました。そのことを知った菜穂子はチビの張り紙を剥がすため将棋道場に向かいました。山崎は菜穂子のことを小説に書きたいと持ちかけ、菜穂子は将棋で勝ったらと微笑みながら返しました。
有喜子と勝は仲睦まじく林を歩いていました。勝は「お前に話したいことがある」とはっきりと有喜子に言いました。
以上、映画「初恋 ~お父さん、チビがいなくなりました」のあらすじと結末でした。
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