ナチス第三の男の紹介:2017年フランス,イギリス,ベルギー映画。ローラン・ビネのベストセラー小説『HHhH プラハ、1942年』の映画化。ラインハルト・ハイドリヒの暗殺事件は『死刑執行人もまた死す』(1943年)、『ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦』(2016年)等の映画によってあつかわれてきたが、本作品ではレジスタンス組織の英雄的活動と悲劇的末路のみならず、青年ハイドリヒがナチ党の残忍さを象徴する存在、ユダヤ人大量虐殺の首謀者へと変貌する過程をも描いている。
監督:セドリック・ヒメネス 出演:ジェイソン・クラーク(ラインハルト・ハイドリヒ)、ロザムンド・パイク(リナ・ハイドリヒ)、ジャック・オコンネル(ヤン・クビシュ)、ジャック・レイナー(ヨゼフ・ガブチーク)、ミア・ワシコウスカ(アンナ・ノヴァーク)その他
映画「ナチス第三の男」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ナチス第三の男」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ナチス第三の男の予告編 動画
映画「ナチス第三の男」解説
この解説記事には映画「ナチス第三の男」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ナチス第三の男のネタバレあらすじ:挫折と結婚
1929年、キールの海軍基地にラインハルト・ハイドリヒは通信将校として勤務していた。バイオリンを弾き、フェンシングを好む青年だった。社交場で貴族階級の娘、リナ・フォン・オステンは、女友達が彼を不気味がるものの、ハイドリヒが気になる。ダンスをした二人はデートに行くようになる。婚約を決意してリナの両親の家を訪れるが、汽車の中でリナはハイドリヒにナチ党の党員証を見せる。リナは強いドイツと、彼女の幼いころのにぎやかだった屋敷をヒトラーが取り戻してくれると確信し、ハイドリヒに『我が闘争』を薦める。
ところが、ハイドリヒは1年半つきあって肉体関係のあった女から婚約不履行で訴えられる。運悪く女の父は海軍提督の友人だった。軍法会議にかけられたハイドリヒは不名誉除隊となる。軍人としてのキャリアを失った悔しさに家で荒れるハイドリヒだったが、リナは、女の話はするな、自分との結婚を望むなら結婚すると厳しく言い放つ。
ナチス第三の男のネタバレあらすじ:「鉄の心臓をもつ男」の誕生
リナと結婚したハイドリヒは、リナの父の紹介でナチ党親衛隊(SS)指導者ハインリヒ・ヒムラーの屋敷に行き彼の面接を受ける。ヒムラーはハイドリヒの2か月というナチ党員歴の浅さが気になるが、ヒムラーの経営する畜舎の問題点をたちまち指摘する明晰な頭脳を買って、SS内部の諜報部門の立ち上げを任せる。ハイドリヒはスパイ網を張り巡らせて政敵である共産主義者を摘発し抹殺していく。ナチ党内部の汚れ仕事で頭角を現してヒムラーの信頼を得、ついには、ナチ党内で大勢力を誇るが党内で邪魔になってきた、レーム率いる突撃隊の粛清を担当する。ハイドリヒの家に招かれたヒムラーはリナに、ヒトラーがハイドリヒを「鉄の心臓をもつ男」と呼んでいることを話す。
ナチス第三の男のネタバレあらすじ:チェコの統治者となる
第二次世界大戦が始まる。ハイドリヒはSSの特別行動隊を組織して占領地の反ドイツ勢力を根絶やしにしていく。国防軍の軍人にとって彼らは虐殺者でしかなかったが、国防軍大将の相手をした売春婦まで調べあげているハイドリヒには協力せざるを得なかった。
ハイドリヒが家で息子にピアノを教えている時、リナに保護領チェコの副総督になることを話す。1941年9月にプラハに赴任したハイドリヒはプラハをユダヤ人のいない町にすることを宣言してユダヤ人に出頭を命じる一方、兵器工場の労働者の待遇改善を約束するという硬軟取り混ぜた手法で権力をふるう。そして1942年1月のヴァンゼー会議で絶滅収容所を利用した効率的なユダヤ人撲滅プランを語る。多忙をきわめると共に秘密主義のハイドリヒに、いつしかリナは自分がないがしろにされていると感じるようになっていた。
ナチス第三の男のネタバレあらすじ:レジスタンスの活躍
イギリスのチェコ軍基地では、ヤン・クビシュ、ヨゼフ・ガブチークたちが亡命政府の重大任務を目前に控えながらも陽気に騒いでいた。ヤンとヨゼフはやがてパラシュートでチェコの雪原に降下する。もっとも、二人の潜入も、レジスタンスのリーダーである「三人の博士」の指示で何らかの作戦を決行しようとしていることもハイドリヒはお見通しだった。
ヤンとヨゼフはプラハの協力者の家に住み、ハイドリヒの行動について調査をする。ヤンは彼に部屋を提供している家の娘、アンナ・ノヴァークと恋に落ちる。だが、ハイドリヒのレジスタンス狩りは厳しく、三人の博士は全員抹殺される。
ナチス第三の男のネタバレあらすじ:ハイドリヒ暗殺とその報復
ロンドンからの指令により、ハイドリヒ暗殺計画の実行が決まる。ヤンとヨゼフを、別にパラシュートで降下して潜伏している兵士たちがサポートする。運命の1942年5月27日の朝、ハイドリヒと運転手を乗せた自動車が徐行しているところにヨゼフがたちふさがり、隠し持っていた機関銃を撃とうとするが弾が出ない。だが、ヤンが放った手りゅう弾が爆発する。ハイドリヒはしばらくピストルで応戦を続けるが負傷により倒れる。
病院に運ばれたハイドリヒは数日後リナに子供たちをよいアーリア人、よいドイツ人に育てるように言った後、リナと、駆けつけたヒムラーに見守られつつ、作曲家だった父親の書いたオペラを思い出しながら息をひきとる。教会に隠れていた暗殺部隊はハイドリヒの死を祝うが、ナチ党はチェコ人に容赦ない報復を始める。男たちを処刑し女性や子供を強制収容所に送り、村が消滅する。暗殺者の摘発までそれは続くだろう。
ナチス第三の男の結末:暗殺部隊の最期
レジスタンスの一員だったチュルダの裏切りにより、暗殺部隊の協力者の家が捜索される。アンナは逃亡するが、多くの人が服毒自殺し、捕まった人は拷問に遭う。ヨゼフの潜伏していた家の子供が脅されて暗殺部隊の隠れ家を話す。
教会は親衛隊の攻撃を受け、機関銃による銃撃戦になる。人数で劣る暗殺部隊はヤンとヨゼフを残して死に、残った二人は地下納骨堂に隠れる。だが地下にホースが下ろされそこから放水される。壁を破って下水道に逃れようとするが、水嵩はどんどん増してくる。ヤンとヨゼフは観念し「あっちで会おう」と言葉を交わして二人同時にピストルで自殺する。
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