いぬのえいがの紹介:2004年日本映画。この作品は犬と人間との心の触れ合いをテーマにした11編の短編ドラマで構成されたオムニバス映画です。主な短編ドラマは「A Dog’s Life」(監督:黒田昌郎)、「うちの子No.1」(監督:祢津哲久)、「CMよ、どこへ行く」(監督:黒田秀樹)、「ポチは待っていた」(監督:犬童一心)、「恋するコロ」(監督:佐藤信介)、「犬語」(監督:永井聡)、「ねぇ、マリモ」(監督:真田敦)などです。
出演者:中村獅童(山田賢太郎)、伊東美咲(白鳥美咲)、天海祐希(美春)、小西真奈美(香織)、宮崎あおい(美香)、佐藤隆太(克彦)、乙葉(知美)、荒川良々(コロの声)、川平慈英(正夫)、佐野史郎(おじさん)、渡辺えり子(おばさん)、吉川ひなの(若奥さん)、木村多江(香織の母)、清水美那(看護婦・泰代)、松岡璃奈子(看護婦・梨香)、ほか
映画「いぬのえいが」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「いぬのえいが」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「いぬのえいが」解説
この解説記事には映画「いぬのえいが」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
いぬのえいがのネタバレあらすじ:「A Dog’s Life」
ある朝、飼い犬チャイムに顔をなめられ起こされた少年は、早速着替えて、チャイムを連れて仲良く楽しい散歩に出掛けました。その道すがら、いろいろな人がいろいろな愛犬を連れて、思い思いに散歩を楽しんでいました。公園についた少年はチャイムとフリスビーで、楽しく遊びました。
いぬのえいがのネタバレあらすじ:ミュージカル「うちの子No.1」
ある晴れた日、4匹のヨークシャー・テリアを連れたおばさんと一匹のアイリッシュ・セターを連れたおじさんが公園で偶然鉢合わせしました。初めのうちは互いの愛犬を褒め讃えていましたが、ベンチに座り休憩を取りだしたとたん、自分の愛犬の自慢をし始めました。挙げ句に2人は相手の愛犬の欠点をなじり合い、「うちの子がやっぱり1番かわいい♪」と周りの人々にも聞こえるくらいに謳い始めました。そんな中、1台の高級車が止まりました。中から出てきたのは1人の美しい若奥さんでした。彼女は毛並みも体格も申し分もない美しい大型犬4匹を連れ散歩を始めました。おじさんとおばさんたちはその美しさに目を奪われ、唖然としました。その若奥さんは「ご苦労さま」と何食わぬ顔で言いました。
いぬのえいがのネタバレあらすじ:「CMよ、どこへ行く」
ドッグフード「愛犬モリモリ」のCMの制作を担当する広告プランナー・山田賢太郎は、まず第1案を作りました。それはかわいい愛犬家の女優・白鳥美咲を起用し、彼女の愛犬との日常生活を描き、商品を宣伝するという案でした。彼の上司・小野田は賛同しますが、山田に白鳥美咲の意外な一面を見せるようにしろと注文をつけてきました。山田は困惑しましたが、上司の注文には逆らえません。仕方なく第2案を考えてみました。それは、派手でセクシーな衣装の白鳥美咲が、愛犬と散歩し、最後は背後に3人のダンサーが踊る夜のクラブで愛犬に商品を食べさせるというものでした。山田は小野田とクライアントの「ワンワンファクトリー」の役員・山村と笹松にこの案をプレゼンしました。基本路線でOKの返事をもらったのですが、山村は「社長は演歌が好きなので、BGMを演歌にしてくれ」と注文してきました。イメージが全く合わないので山田は反論しようとしますが、小野田はそれでOKを出してしまいました。山田はまた不本意ながらも、BGMをど演歌に差し替えた第3案を考えました。山田は白鳥のマネージャー・林麗子に案を見せ、正式出演のお願いに行きました。しかし、林は犬が出てくる映像を削除し、全て白鳥のイメージ映像にしないと白鳥を出演させないと強行に訴えてきました。山田は再び窮地に追い込まれました。山田は仕方なく、犬を出さずに白鳥のイメージ映像に切り替えて、作り直しました。第2回のクライアントとのプレゼンでそれを見せました。笹松は犬が一度も出てこない事に気づきますが、上司の山村はOKを出しました。ほっとした山田に、山村は「素材名を最初からガツンと入れろ」と訴えてきました。どんどん山田の当初の案から遠のき、困惑する山田を尻目に、上司の小野田は簡単にOKを出し、山田に修正を命じました。CMは修正を加えられ、放送され始めました。それは山田の考えていたものとは全く別物でした。偶然見ていたラーメン屋の店主は「意味わかんね!」とテレビを切ってしまうほどでした。
いぬのえいがのネタバレあらすじ:「ポチは待っていた(1)」
落胆する山田に追い打ちをかけるように、同僚から愛犬隠し芸大会のビデオ30本を次の日までチェックするようにと頼まれました。山田は仕方なくそれを家に持って帰りチェックすることにしました。その夜の帰宅途中、見知らぬおばさんが連れた犬たちに突然吠えられ、山田は驚き避けた瞬間、ビデオが入った紙袋が破け、ビデオが路上に散乱してしまいました。落ち込みながら山田が、ビデオを拾っていると、一匹の犬が山田を見つめていました。山田はその姿に目を奪われ、追いかけましたが、犬は姿を消していました。山田は家に帰ると少年の頃、広場で偶然出会ったポチという柴犬のことを思い出しました。山田は少年時代、呼吸器疾患の療養のため田舎で暮らしていました。そこには1軒のパン屋さんがありました。そこは香織という少女と、その母との家族経営の小さなパン屋でした。山田はそこでパンを買い、1人広場で食べていました。そこに一匹の柴犬が汚れたテニスボールを加え、山田のもとにやって来ました。山田は戸惑いながらも、かわいそうに思い、買ったばかりのパンをその柴犬にあげました。その柴犬は山田から離れませんでした。山田はその柴犬がくわえていたボールを投げると、柴犬は元気よく走って取りに行き、また山田のもとに帰ってきました。山田と柴犬をポチと名付け、ボールに名前を書き、一緒にその広場で毎日、遊ぶようになりました。友達の少なかった山田にとってポチは心の友となりました。香織は店番をしながら、山田とポチが楽しく遊ぶ様子を眺め、微笑ましく思っていました。ある日、山田は香織に犬の顔を模したパン「ワンコパン」を作ってはどうかと、絵にして渡しました。次の日、香織は山田とポチが一緒に広場の土管の上に座っている絵を描いて、山田にプレゼントしました。山田はそんな香織の気持ちに嬉しく思いました。その日、山田はいつものように広場でポチをボールで遊んでいました。山田はボールを広場の藪の中に投げ込んでしまいました。ポチはそのボールを必死で探していました。その時、天気が急変し、雨が降ってきました。山田は呼吸困難に陥り、薬で抑えようとしましたが、その場に倒れてしまいました。ポチは山田の急変に気づき、駆け寄りました。それを眺めていた香織はすぐに救急車を呼び、山田を病院へ運びました。翌日、ポチは広場の藪の中でまだ、ボールを探していました。ポチは自分がボールをすぐに見つけられなかったので、山田が倒れたと思っていたのでした。ポチは必死でボールを探し、見つけ出しました。ポチはボールをくわえて、山田のもとに全力疾走しました。その頃、山田は東京の病院で手術を受けるため、救急車で搬送されているところでした。ポチは偶然にもその救急車を見つけ、必死で後を追いましたが、引き離されてしまいました。ポチの前から救急車の姿は消えましたが、ポチは後を追って走り出しました。
いぬのえいがのネタバレあらすじ:「恋するコロ」
散歩好きの雄のブルドッグ・コロの飼い主は克彦という青年でした。克彦はある可憐な知美という女性に淡い恋心を持っていました。いつも克彦はコロを連れ、彼女の家の前に行き、垣根越しに彼女の姿を見ていました。コロはそんな飼い主・克彦の行動を毛嫌いしていました。しかし、コロも知美の隣の家からチラチラと見える綺麗な毛並みのしっぽを見て、あれはとても可愛い雌の犬だと勝手な妄想を抱き、その犬に恋をしてしまいました。克彦はコロから言わせるともうストーカー状態でした。克彦は彼女の家の郵便から彼女の名前を知ると、同級生の友達の恋人の知り合いという訳の分からないきっかけをつくり、垣根越しに知美と会話することに成功しました。コロはきっかけは何でもいいのだと克彦から学びましたが、夢の中でしかできませんでした。飼い主の克彦はプレゼントを渡したりして、知美とどんどん親密になっていきました。克彦のやり方を見ながら、コロは隣の雌犬にどうやって会うかと毎晩、想像し、夢を見ていましたが、失敗続きでした。そして、ある日、克彦は知美に気持ちを告白しましたが、知美から「つきあっている人がいるの」と言われ、あっけなくふられてしまいました。コロも克彦のように告白しようと想像しましたが、その雌犬には既に彼氏がいました。コロも夢の中であっけなくふられてしまいました。ふられた者同士となったコロと克彦は、気分を取り直し、また散歩に出かけました。すると、その途中、知美が現れました。知美は克彦に「私、彼と別れちゃった」と言ってきました。克彦は驚きのあまり、リードを手から離してしまいました。これはチャンスとばかりにコロは一目でも会いにと、隣の家に駆け込みました。しかし、そこには犬はいませんでした。コロが見ていたのはその家のおじいさんが育てていた植物の花でした。がっかりして克彦のもとに戻ると、克彦が知美から告白を受けている最中でした。克彦は知美の告白に期待をいただきましたが、知美は「ワンちゃんを飼ったの。リリィちゃん」と後ろにいた犬を紹介しました。克彦はがっかりしました。しかし、コロは驚きました。そのリリィちゃんはコロが夢見ていた犬だったからです。コロは走り近づきました。リリィもコロのもとに走ってきました。コロとリリィは運命の出逢いをし、互いにチンチンしました。コロはがっくりしました。リリィは雄でした。
いぬのえいがのネタバレあらすじ:「ポチは待っていた(2)」
ある日の公園、美春は正夫に「あなたから愛を感じないのよ!」と吐き捨て、正夫も負けじと言い返し、2人は喧嘩になりました。美春は正夫に「あんたなんかより…あの犬のほうがましよ」と言い、その犬を抱きしめ、正夫をふりました。正夫は呆然と立ちすくみました。その犬はポチでした。美春はポチを家に連れて帰り、新しいボールを投げますが、ポチは完全に無視し、くわえていたポチと書かれたボールを大事そうに抱えていました。美春はちょっぴり悲しくなりました。劇団員の正夫は、次のミュージカルの練習に励みました。正夫は他の劇団員が驚くほど真剣に、そして感情的に歌いました。その歌の歌詞はまさに今の正夫の気持ちを表したものでした。美春のことを忘れられない正夫は、美春が留守のときにこっそりベランダに行き、偶然会ったポチにラブレターと次のミュージカルのチケットを美春に渡すように頼みました。ポチはそれを帰ってきた美春に渡しました。美春はそれをグチャグチャにし、捨てました。その夜、美春はポチに話しかけ、1人でいることの寂しさを紛らしていました。美春も本心から正夫を嫌った訳ではなかったのでした。美春がベッドの上で涙を流していると、ポチが美春のボールをくわえて、そっとやって来ました。美春はそんなポチの優しさに心癒やされました。その頃、正夫はステージに立っていました。美春は来ていませんでした。正夫は舞台終了後、美春に電話をすると、ポチが出ました。正夫はポチに話しかけました。ポチは正夫を励ますように、吠えました。正夫はそんなポチの鳴き声を聞き、意を決し、美春のマンションに行きました。美春のマンションに着いた正夫は、ステージで歌った歌を美春へ向けて歌いました。美春はその歌声を聞き、ベランダに出ました。その光景はロミオとジュリエットのようでした。美春は正夫の誠意に心を打たれ、正夫のもとに走り、2人は抱き合いました。その光景を見ていたマンションの住人たちから拍手喝采がわき上がりました。ふと2人が後ろを見ると、そこにはボールをくわえたポチがいました。2人はポチに「ありがとう」と言うと、ポチは走り去っていきました。
いぬのえいがのネタバレあらすじ:「犬語」
おもちゃ会社から画期的な商品が販売されました。それは犬の鳴き声から犬が何を言っているのかがわかるという犬語翻訳機「バウリンガル」でした。その開発者・丸山健太郎に外国人キャスターが誕生秘話の取材でインタビューに来ました。丸山の開発の動機は、彼が幼い頃から犬に吠えられてきたことでした。丸山は自分がやたらに犬に吠えられるので、ある時、犬が自分に人類に何か重要なメッセージを伝えようとしているのではないかと思い立ったのでした。開発途上は困難を極め、同僚から予算と時間を使って、無駄な研究をしていると叱咤されたこともあったのでした。数々の試練を経て、ようやく完成させたのがこの「バウリンガル」でした。しかし、丸山は長年の努力と苦悩が重すぎ、未だに「バウリンガル」を自分で使ったことがないのでした。そういう丸山のところに、どこから来たのか1匹の犬がやって来て、吠えました。丸山は恐る恐る「バウリンガル」を使ってみました。その犬の言葉とは「おまえ、いつかハゲるぞ」でした。インタビューをしていた外国人は大笑いしました。今度はその犬がその外国人に吠えました。それを「バウリンガル」にかけてみた丸山は、見て苦笑しました。
いぬのえいがのネタバレあらすじ:「ポチは待っていた(3)」
ある日、東京に来たポチは、交通事故に遭い、後ろ左脚を片方怪我してしまいました。幸い、大事には至らず、ある病院で治療を受けました。その病院はまさに山田が手術、入院していた病院でした。歩けるようになったポチは臭いをかぎわけ、山田が寝ていたベッドまでやってきました。そこに山田はいませんでした。もう退院した後でした。汚いボールをくわえたポチは、看護婦に抱かれ、病院から閉め出されました。しかし、ポチはその病院の玄関から離れようとしませんでした。雨の日も風の日も誰かを待っているかのようでした。可哀想に思った看護婦・泰代はポチにエサをやり始めました。ポチは病院の前に居続け、いつの間にかポチは病院のアイドル犬となり、訪れる人たちからかわいがられ、また患者さんの心を癒やしました。何年もの月日が流れたある雨の日の夜、ポチは夢を見ました。それはタクシーから降りてきた山田少年でした。ポチは喜び、山田少年に抱かれました。その夜、ポチは眠るように息を引き取りました。
いぬのえいがのネタバレあらすじ:「ポチは待っていた(4)」
CMプランナーとなった山田は、自分の思い通りにいかない仕事に嫌気がさし、辞めるつもりで少年時代を過ごした田舎に逃げ帰りました。ポチと遊んだあの空き地はショッピングセンターに変わっていました。山田はその前のパン屋へ足を運びました。そこには美しく成長した香織がいました。香織は山田に、山田が東京に行った後、ポチが山田を追って行き、そのままこっちに帰って来ることはなかったことを伝えました。山田は今の正直な胸の内を、香織に語りました。香織は「山田くんがポチと遊んで、どんどん元気になっていく姿、ポチが全力でボールを取りにいく姿を見て、元気をもらっていた。今でも私にはその時の空き地が見える。…ワンコパン、すごく売れてるの。山田くん、あの頃から才能あったのね」と言い、励ましました。その夜、ホテルに泊まった山田は、何か廊下に気配を感じ、起きて出てみるとポチと書かれた汚いテニスボールがありました。山田は急いでホテルを出て、ポチと遊んだ空き地へと走りました。不思議なことにそこは昔の空き地のままでした。そこにポチが待っていました。山田はボールを投げて、ポチと昔のように遊びました。ふと山田の目にあの藪が見えました。あの藪の中にボールを投げて、ポチと別れることになったことを思い出し、山田は戸惑いました。そんな山田の姿を見たポチは山田に「投げて」と言うように吠えました。山田は藪の中へボールを投げ込みました。ポチは藪の中に入り、それっきり出てきませんでした。山田はその場に泣き崩れました。
いぬのえいがのネタバレあらすじ:「ねえ、マリモ」
(これはマリモという犬と飼い主の美香とが共に暮らした映像の合間に、美香とマリモの思いが以下のようにテロップで入ってくるという形のドラマです。)
美香「ねえ、まりも」。「ねえ、マリモどうしてなの」。「私と初めて出会ったとき」。「あんなふうにちいさかったのに」。「あんなにちっさかったのに」。「こわれてしまいそうだったのに」。「泣き虫の妹だとおもっていたのに」。「ぜんぜん年下だったのに」。「甘えん坊だったのに」。「私より後に生まれたのに」。「どうして私より先に年をとるの」。「どうしていじわるするの」。「どうして先に行っちゃうの」。「待ってよ。マリモ」。「どうして私より先にお母さんになるの」。「何もわからないよ」。「もっとマリモのこと知りたいのに」。「どうして私より先におばあさんになるの」。「どうして」。…(マリモ、息を引き取る)…「どうして犬なんか飼ったのだろう」「飼いたいって言ったんだろう」。「こんなに、こんなに辛い思いをするのに」。「マリモ、ひどいよ」。「犬なんて飼わなければよかった」。マリモ「ねえ、美香ちゃん」。「そんなに悲しまないで」。「私はとっても幸せだったから」。…「私は美香ちゃんとおしゃべりできないけど」。「あのね…愛してくれてありがとう」。美香はマリモと見に行った海に行きました。美香は思いました。「私、また犬が飼いたい」と。
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