JFKの紹介:1991年アメリカ映画。「いま、アメリカ騒然!」と、ケネディ大統領暗殺事件の真相究明に執念を燃やす地方検事ジム・ギャリソンの姿を描いた現代ミステリードラマです。ギャリソン自身の著作をベースに、唯一の訴訟「クレー・ショー裁判」に至る捜査を、事実に虚構を織り交ぜた映像で綴るフィクション大作です。本作は第64回アカデミー賞撮影賞、編集賞を受賞しました。
監督:オリヴァー・ストーン 出演:ケヴィン・コスナー(ジム・ギャリソン)、シシー・スペイセク(リズ・ギャリソン)、ジョー・ペシ(デイヴィッド・フェリー)、ゲイリー・オールドマン(リー・ハーヴェイ・オズワルド)、トミー・リー・ジョーンズ(クレー・ショー)、ジャック・レモン(ジャック・マーティン)、ドナルド・サザーランド(X大佐)、ケヴィン・ベーコン(ウィリー・オキーフ)、
映画「JFK」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「JFK」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
JFKの予告編 動画
映画「JFK」解説
この解説記事には映画「JFK」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
JFKのネタバレあらすじ:起・新時代の大統領JFK
(「抗議すべき時に沈黙するのは、卑怯者である」アメリカの著名な詩人エラ・W・ウィルコックスの名言がテロップで映ります。)
1960年11月、ジョン・F・ケネディ上院議員は、稀にみる激戦の選挙に勝ちました。ニクソン候補との差は僅か10万票でした。美しく優雅な妻ジャクリーンと共に、ケネディは60年代の自由の象徴で、大きな変革を意味していました。「人間は平等である」キング牧師やマルコムXが訴え、公民権運動は加熱し、各地で衝突も起きました。そんな中、「心と精神のすべてを捧げ、世界の平和に尽くしたい」とケネディは訴えます。
そして、ケネディはキューバとの秘密戦争を継承します。CIAが亡命キューバ人を戦わせていました。カストロの革命は成功で、アメリカの企業を脅かしました。侵攻作戦はピッグス湾上陸で最高潮に達します。しかし1961年4月、ケネディは作戦への援護爆撃を拒否します。ケネディはこの失敗の責任を認めましたが、CIAが嘘をついて侵攻を開始したことに、不満を表明しました。
1962年10月、核戦争一歩手前の危機が勃発します。キューバ危機です。ソ連の核ミサイルが米国の150キロ沖にあるとケネディは発表しましたが、ソ連のミサイル運搬船は最後の瞬間に引き返しました。世界中が安堵しましたが、ワシントンでは秘密協定説が流れました。キューバへ侵攻しない代わりに、ソ連側もミサイルを撤去したと、ケネディは容共だという疑いが生まれました。
当時はベトナムでも戦争中でした。1963年9月、ケネディは自身の政権を完全敵対視するようになった南ベトナム大統領に対し、「(南ベトナムは)世論を味方にするためにより努力しなければ、この戦争では勝てません。ベトナム人がすべてを握っている」と意見しました。そして運命のあの夏、ケネディは大学で新しい展望を語りました。「我々はどんな平和を求めるのか?世界に向かって…アメリカの武器を売って平和は来ない。ソ連への態度も再検討すべきだ。我々を結びつける基本は、この小さな天体に住んでいることです。同じ空気を吸っている子供の将来を案じ、しかも必ず死ぬということです」と。
JFKのネタバレあらすじ:承・深まる謎
1963年11月22日12時30分、テキサス州ダラスに3発の銃声が響き、全世界を震撼させました。第35代合衆国大統領ケネディがパレード中に暗殺されるという大事件が起きたのです。暗殺後2時間も経たないうちに、警官殺しの容疑で逮捕されたリー・ハーヴィー・オズワルドが大統領暗殺犯と発表されました。オズワルドは終始、無実を主張し続けますが、ダラス警察本部の駐車場で護送される途中、ナイトクラブの経営者ジャック・ルビーに射殺されてしまいます。オズワルドは熱心なマルクス主義者でカストロ首相の熱狂的支持者とされ、使用されたライフル銃も彼のモノと断定され、犯人に間違いないと誰もが思っていました。しかし、ニューオリンズ州の地方検事ジム・ギャリソンは疑念を抱きます。ギャリソンはまず、オズワルドの航空隊時代の教官であったデイヴィッド・フェリーを呼び出しました。フェリーの回答に不審を抱いたギャリソンは、彼の身柄をFBIに拘留させますが、FBIは直ぐに釈放してしまいます。大統領を引き継いだジョンソンが事件を調査するために設置した最高裁長官アール・ウォーレンを委員長とする調査委員会も、オズワルドの単独犯行と結論付けました。
そして3年後、オズワルドは海兵隊では射撃が下手で通っていた事、そんな彼がたった6秒間で3発も撃ってその3発目で大統領を撃ち抜いた事、そしてその最後の銃弾は迷走してケネディと知事に7回命中した事を知ります。それはまさに魔術でした。「オズワルドは囮だ」疑念を深めたギャリソンは、ウォーレン委員会の証言記録を何度も読み返しますが、矛盾や疑問という濃霧が彼を包みました。ついにギャリソンは、スタッフと改めて大統領暗殺事件について密かに捜査を開始しました。ケネディが大統領であれば、ベトナム戦争から撤退していたはずでしたが、ケネディ亡き今、戦争は益々泥沼化していました。ギャリソンたちは、最初の匿名電話の主であるジャック・マーティン、そして数々の目撃者や関係者に聞き込みを行いました。「銃声は何発聞いた?」「4発から6発」「まさか!こだまを聞いたんだ。教科書ビルからの3発だけだ。それがすべてだ!」「違います。あの柵から撃った男を見ました」「君は3発だけ聞いた。余計なことは言うな」目撃者のある女性は暗殺の20分後の出来事をギャリソンに明かしました。目撃者の中には報告書で自身の証言がすっかり変えられてしまっている事に疑念を抱き、陰謀のにおいを感じている者もいました。
そして、ギャリソンとルー・アイヴォンは、実際にオズワルドが使ったとされるライフルで実証実験を行いました。教科書倉庫からライフルを構えて実験しましたが、犯行を再現することはできませんでした。「犯行の土台が崩れている。彼は撃ってない」ルーは指摘しました。「ルート変更したのは?」ギャリソンは推理し、ケネディにクビにされた元CIA 副長官のキャンベル将軍や元CIA長官のアレン・ダラスにまで疑いの目を向けました。
捜査では有力な証人は不審な死を遂げ、オズワルドは3人も浮かび上がってきました。またオズワルド犯人説を決定づけた『LIFE』の写真も偽造ではないかという疑惑が浮上してきました。調べれば調べるほど、謎は更に深まっていきました。
JFKのネタバレあらすじ:転・真実への訴え
やがてギャリソンは、軍の極秘任務でキューバ侵攻のゲリラ作戦を行うマングース計画を進めていた元FBI捜査官ガイ・バニスターやフェリーたちが暗殺を謀っていた事、そしてその首謀者が実業家として知られていたクレー・ショーであることを突き止めました。しかし、捜査が真相に近づくにつれて、ギャリソンの周りに不穏な空気が流れ始めました。ギャリソンのオフィスから盗聴器が発見され、有力な証人の一人であったフェリーが何者に暗殺されました。マスコミからのバッシングや政府からの脅しが始まり、ギャリソンは妻や子供たちとの私生活にも危機が迫りました。私財を投じて真相を究明しようとしたギャリソンも苦悩します。
そんなある日、Xと名乗る大佐がギャリソンの前に現れました。「思ったより君は近づいている。君に話すことは極秘事項だ」裏側の情報戦略を担当していたと言うXは、ケネディ暗殺が軍、FBIにCIA、そしてジョンソン大統領をも巻き込んだクーデターであると語りました。「信じられない!政策を変えるために殺したとはね」「王は殺される。政治は権力なんだよ。この暗殺を告発できるのは君だけだ。君は国家の安全機構に対して脅威なんだ。後には引けない。逮捕して波乱を起こせ。疑惑を持つ大衆の心に火をつけるんだ。大衆は心の底で真実を求めてる。真実は君の側にある」Xの言葉を聞き、ギャリソンは遂にクレー・ショーを暗殺共謀罪で逮捕、告訴しました。
裁判に向け、ギャリソンはスタッフと共に準備を始めました。しかし、ギャリソンとの見解の不一致から、ビル・ブロザードとルーは戦線離脱しました。そんなある日、ギャリソンはテレビで信じがたい光景を目の当たりにしました。ケネディ元大統領の弟ロバート・ケネディが凶弾に倒れたのです。アメリカ大統領選の民主党予備選を戦っていたロバートは、対立候補であるユージーン・マッカーシーを押さえ、当選確実とされていた最中の暗殺でした。ギャリソンは震撼します。
裁判が始まりました。ギャリソンはクレー・ショーの凶暴を立証するため、暗殺犯は複数だということを証明することにしました。そのため、5年間タイム・ライフ社の金庫に眠り、大衆に公表されていなかったザプルーダー・フィルムを見せました。それは多くを物語るものでした。ギャリソンはこれまで集めた証言から、ケネディが三方から撃たれた事を明らかにし、ウォーレン委員会が採用した1発の弾丸で7つの傷を与えたという「魔法の弾丸」の虚構を暴き、「オズワルド犯人説」に異議を唱えました。「憲法の基本は何か?命の貴さとは?『反逆は栄えず』とはある詩人が言った。栄えれば反逆とは呼ばない。国家機密の名目なら、基本的人権を奪ってもいいと?そういう国家機密はどんな感じでどんな形か?それはファシズムです。…資料は国民の物です。いつの日にか真実が発見される。ある作家が言っています。『愛国者は自分の国を政府から守るべきだ』と。考えて下さい。正義は人間が作るもので簡単ではない。真実は権力にとって脅威だ。…陪審員の方々は国家権力に対抗する人間性の代表です。『国のために何ができるか』を問うのです。世界に示すのです。『人民の人民のための人民による政府』があることを」ギャリソンは陪審員にアメリカの正義を訴えました。しかし、クレー・ショーは無罪に終わりました。
JFKの結末:過去の出来事はプロローグである
1979年、情報工作局長はクレー・ショーをCIAの一員と認めましたが、彼は74年に亡くなりました。その遺体は検視も許されませんでした。78年、ギャリソンは上訴裁判所の判事に選出、88年に再選されました。現在まで彼はケネディ暗殺の唯一の公的訴追者です。東南アジアの戦死者は、アメリカ人5万8000人、アジア人200万人、戦費2200億ドル、民間機による投下兵力1000万人、投下爆弾650万トンと、76年から79年の議会の調査で陰謀の可能性を発見しますが、司法省は動いていません。暗殺事件の資料は、2029年まで公開禁止です。
『過去の出来事はプロローグである』
『この作品を真実を探求する若者に捧げる』
この映画の結果、1992年、議会は一般公開の資料に選出する調査団結成法案を可決しました。
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