ハイネケン誘拐の代償の紹介:2015年ベルギー、アメリカ、オランダ合作。ビール企業ハイネケンの経営者が誘拐された実際の事件を映画化した。素人が犯罪に手を染めるその先の代償とは?アンソニー・ホプキンス演じるハイネケン氏が誘拐犯を翻弄する。
監督:ダニエル・アルフレッドソン 出演:アンソニー・ホプキンス、ジム・スタージェス、サム・ワーシントン、ライアン・クワンテン、マーク・ファン・イーフェンほか
映画「ハイネケン誘拐の代償」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ハイネケン誘拐の代償」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ハイネケン誘拐の代償の予告編 動画
映画「ハイネケン誘拐の代償」解説
この解説記事には映画「ハイネケン誘拐の代償」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ハイネケン誘拐の代償のネタバレあらすじ:僕たちお金が無いんです!新年の抱負は犯罪計画
コル、ヴィレム、カット、スパイクス、ブレイクスは幼馴染5人組。倒産寸前の自分たちの会社のために銀行に融資を頼むが担保に出来るものが不法滞在者のいる建物しかなく、断られてしまう。何とかその建物を担保にしようと不法滞在者を追い出そうとするが逆に警察に通報されてしまう。
釈放されたコルが家に帰ると、妻から妊娠を知らされる。いよいよ仕事を立て直さなければならない。
新年、妻と実家に帰ったコルは父がハイネケン氏について誇らしげに語っているのを聞く。父親は自分を解雇したハイネケン氏と撮った写真を今でもリビングに大切に飾っている。コルはそれが気に入らない。
新年会の帰り、コルは妻を先に家に帰し、ボートの上で幼馴染5人と今年こそはいい年にしようと、ある計画を持ち出す。それは誘拐計画だった。
ハイネケン誘拐の代償のネタバレあらすじ:着々と進められる段取りと誘拐成功
誘拐をするにも準備資金が必要、そこで銀行を襲う事にする。資金も無いので銃は二次大戦時の旧式のもの。銀行から現金が運び出されるところを狙い、札束が入っていると思われる箱を強奪。
車で逃げていると、パトカー登場、ただでさえ車道の狭いアムステルダムの町でカーチェイスが始まる。途中、車で道を塞ぐように乗り捨てると、地面に向け発砲しながら、ボートで逃走。怪我人を出すことなく強奪成功。
帰宅すると、妻がニュースで流れた現金強奪犯が誰も傷つけなかった事を引き合いに出す。その点に関してコルは少しだけ誇らしげ。誘拐するに当たって、二人分の監禁部屋を作る5人、防音は完璧。
さらにアンネ・フランクの隠れ家を参考にして、監禁部屋を内からは見えないように板で覆い、隠し扉を付ける周到さ。準備は万端、誘拐の相手、大富豪ハイネケン氏についても張り込みをして襲えるタイミングを計る。
ハイネケン誘拐の代償のネタバレあらすじ:不遜な人質と見えない捜査の手
誘拐されたハイネケン氏とその運転手は身ぐるみをはがされて別々の監禁部屋に繋がてしまう。巻き添えになった運転手の具合を心配するハイネケン氏は、彼らが犯罪に関しては素人だと気づいたのか不遜な態度で、聞かされる音楽がつまらないと言ったり本が読みたいと言ったり、挙句、バンバンジーが食べたいとワガママ放題で、5人を困らせる。
ユトレヒトで身代金を手に入れた帰り、車の中に流れるラジオでハイネケン氏誘拐のニュースで、自分たちが犯罪に手馴れた組織かマフィアと思われていると知る5人は警察の鼻を明かした気分。しかし、逆に警察の捜査が自分たちの目に見えない事が不安を煽り始める。多額の身代金を山分けした後、5人の意見がすれ違い始める。
ハイネケン誘拐の代償のネタバレあらすじ:バラバラに、そして誰もいなくなった
コルはトラブルから抜けさせようと、弟のブレイクスにお金の入った鞄を持たせると、アジトの倉庫から去らせる。パリの知り合いの所に潜伏しようと言うヴィレムに愛妻家のカットは、家族を置いていく事は出来ないと言って、去っていく。
コルは監禁したままのハイネケン氏の心配をしながら、ヴィレム、スパイクスと共にパリへ向かうが、途中でヴィレムとスパイクスが喧嘩別れして、スパイクスの方車を降りる。コルは国境を越える前に、身重の妻に連絡を取りたいと思うが足が着くからと止められてしまう。
一方、監禁されたままのハイネケン氏は同じく監禁された運転手の心配と、救出に来ない警察にじれる。アジトに乗り込んだ警察は中の音を確認するために彼ら付けた機会から、隠し扉の向こうの監禁部屋を発見、ハイネケン氏とその運転手は無事に保護される。
カット、スパイクス、ブレイクスは、それぞれ違う場所で警察に追い詰められ捕まる。
ハイネケン誘拐の代償の結末
コルとヴィレムはベルギーのカフェで流れるテレビニュースでハイネケン氏が無事に救出された事を知る。以後二ヶ月パリに潜伏する。ヴィレムは知り合いの女性と懇ろだが、コルは身重の妻が心配で仕方がない。しかし、連絡しようとするたびに、ヴィレムにきつく言われ諦める。
仕方なく公衆電話から自宅にかけ、電話に出たお隣さんに妻に公衆電話からこの番号にかけるようにパリの電話番号を伝える。コルの妻は自分が買い物をすると、お金を全部調べられる事、身の回りの人がどんどん警察に連れて行くことを彼に伝え、何が起こっているのか、コルがどこにいるのか問い詰める。
ヴィレムはコルが妻と電話で話している事を知ると、もうここにはいられない、荷物をまとめろと言い、再び逃亡を図ろうとアパルトマンを後にするが、パリの街の様子がおかしい。奇妙なくらいに静かなのだ。
しかし、そんな事に気がついたときには物陰から警察が二人を囲み始めていた。ゆっくりと手を挙げ、地面に身を伏せた二人は身柄を拘束されるのだった。
(エンドロール)ハイネケン氏誘拐事件に払われた身代金が、個人の身代金としては史上最高額であったこと、5人それぞれのその後、刑期などが記される。最後にコルが何者かによって暗殺されたという所で、スタッフロールに入る。
以上、映画「ハイネケン誘拐の代償」のあらすじと結末でした。
ハイネケン誘拐の代償について:犯人側からは警察の動きが一切見えない不気味さ
序盤と後半にオランダの街並み、運河、跳ね橋を使ったカーチェイスや追い詰められるシーンで警察が出てくるが、ほとんどと言っていいほど警察の動きが見えない。実際に犯罪を犯している側からすれば警察の動きが見えないというのは致命的。不安を煽られてしまうところは彼らが犯罪に関して素人だったからだと思う。身代金受け取りの帰り流れたラジオニュースでさえ、彼らを乗せるための警察の仕掛けのように思えるが、真相は闇の中。ハイネケン氏はビール会社を経営しているだけあって人を見る目、人をどう動かすかと言う心理戦に長けているように5人とのやり取りをみていて思えた。犯罪サスペンス映画と言うよりは、5人の心理を描いているように思う。ハイネケン氏の「人の豊かさは二種類、金か、友情か、同時に手にすることは出来ない。」(字幕が見えなかったので日本語訳不明、繰り返されているフレーズだったのでこの作品のキーなのだと思う)という言葉が印象的。コルを中心にして銀行に融資を頼みに行くところは仲良し5人組と言った感じだったのに、一人ずつ減っていくのは見ていて、残念だなと、いつの間にか誘拐犯側の視点に立っている事に気がついて驚く。
この映画の感想を投稿する