北のカナリアたちの紹介:2012年日本映画。湊かなえの短編集『往復書簡』の中の「二十年後の宿題」を映画化。北海道の分校で小学校教師だった川島はるは、6人の教え子たちと過ごしていましたが、ある日悲しい事故がきっかけで、はるは北海道を離れます。その後、成人した6人のうちの1人が事件を起こしたことから、はるはもう一度北海道へ戻り、教え子1人1人と再会していきます。
監督:阪本順治 出演:吉永小百合(川島はる)、柴田恭兵(川島行夫)、仲村トオル(阿部英輔)、森山未來(鈴木信人)、満島ひかり(戸田真奈美)、勝地涼(生島直樹)、宮崎あおい(安藤結花)、小池栄子(藤本七重)、松田龍平(松田勇)、里見浩太朗(堀田久)、ほか
映画「北のカナリアたち」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「北のカナリアたち」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
北のカナリアたちの予告編 動画
映画「北のカナリアたち」解説
この解説記事には映画「北のカナリアたち」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
北のカナリアたちのネタバレあらすじ:起
図書館で働いていた川島はる(吉永小百合)が、定年退職を迎えました。そんなある日、彼女の元に二人の刑事が訪ねてきます。彼らは、はるの元教え子である飛び職人の鈴木信人(森山未來)を探していました。
勤務先の社長を殺害した疑いで刑事に追われている信人。そんな彼の部屋には、はるの家の住所が書かれたメモが残されていました。しかしはるは、「信人とは、年賀状のやり取りすらもしていない。」と首を傾げます。刑事から信人がどんな生徒だったか尋ねられたはるは、北海道にいた頃を思い出すのでした。
夫で大学教授をしている川島行夫(柴田恭兵)と共に、北海道の離島に渡り住んだはる。それまで札幌で教師をしていたはるは、小さな分校で働くことにします。教え子はたったの6人。その中でも信人は一番小さく、彼は祖父と二人で暮らしていました。
はるは久しぶりに北海道に戻り、教え子1人1人に会いに行くことにします。まずは戸田真奈美(満島ひかり)に会いに行ったはるは、信人が中学の時に祖父が亡くなり、その後は誰かに引き取られて神奈川に行ったことを教えられました。
久しぶりに恩師と再会した真奈美は、20年前のバーベキューの日の話を始めます。はるの夫・行夫と生徒たちで浜でバーベキューをしていた時、安藤結花(宮崎あおい)が足を滑らせて海で溺れたことがありました。この出来事はただの事故だと思っていたはるですが、真奈美は「私が結花を自殺においやったのかもしれない…」と打ち明けます。
実は夏の合唱大会で、結花は独唱をする予定でした。しかしある日を境に声が出なくなり、歌えなくなってしまった結花。バーベキューの日、真奈美は結花に「私が独唱をかわってあげる!」と言います。すると「私が死ねばよかったと思ってるんでしょ!」と結花は怒り出し、それからしばらくして海で溺れているのを発見されます。
結花は助かりましたが、彼女を助けるために海に飛び込んだはるの夫は亡くなってしまい、真奈美は今でも行夫の死は自分のせいで、はるがこの村を追われたのも自分のせいだと思い込んでいました。
北のカナリアたちのネタバレあらすじ:承
次にはるは、札幌にいる生島直樹(勝地涼)に会いに行くことにします。彼は、はるにずっと謝りたいことがありました。彼の父親は結花の母親の店に入りびたりで、まともに働きもせず、家がとても貧しく状態にありました。
そのことを結花のせいにして、彼女に八つ当たりしてしまった直樹。結花の声が出なくなったのは、その喧嘩の直後からで、直樹はバーベキューの日に謝ることにしました。しかし避けられ、その直後に結花が海に落ちたため、直樹も行夫が亡くなったのは自分のせいだと悩んでいます。
直樹から結花の居場所を紹介してもらったはるは、久しぶりの再会を果たします。彼女は幼稚園で先生をしていました。結花も行夫が死んだのは自分のせいだと思い、ずっと後ろめたい気持ちで生きてきました。合唱の前に声が出なくなったのは、直樹と喧嘩したせいではありませんでした。
離れて暮らしている父親が、合唱を見に来てくれると思うと緊張で声が出なくなった結花。バーベキューの日、何もかも嫌になり自殺するふりをするつもりだった結花ですが、足を滑らせ海に落ちてしまいます。結花は「先生がバーベキューの時、『男に会いに行っていた』と言いふらしたのは私の母です。」と告白。自分の母親は嘘つきの悪い女だと話す結花に、はるは「男と会っていたのは本当のことです。」と告げるのでした。
はるは夫の行夫が脳腫瘍で余命半年だった事。そして直樹が話したがっている事を伝え、結花と別れました。結花は直樹に会いに行くことにします。結花が手を差し出すと、その手を直樹が強く握りしめてくれました。そして強く抱きしめられた結花は、直樹に「好き…」と告白するのでした。
北のカナリアたちのネタバレあらすじ:転
次にはるは、溶接の仕事をしている藤本七重(小池栄子)に会いに行きます。実は彼女は信人と東京で会っていました。その時信人は年上の女性と一緒で、「その女性と結婚するつもりだ」と幸せそうにしていました。七重は「先生のご主人が亡くなった時、先生が男の人と会っていたとみんなに言いふらしたのは私です。」とはるに打ち明けます。
バーベキューの日、熱があって行けなかった七重ですが、結花の代わりに独唱がしたかった七重は自分がいない場所で独唱が真奈美に変更になるのが嫌で、自転車をこいで浜へ行くことにしました。その途中、はるが男性と会っているところを偶然目撃した七重は、信頼していた先生が不倫していた事に大きなショックを受け、そのまま家へと帰ってしまいます。
しかし今の七重は、はるの気持ちがよく理解できます。なぜなら今彼女は、親友の夫と不倫をしているからです。人を愛してしまうとどうしようもない感情が生まれ、そのことを知った七重ははるに謝罪するのでした。
はるが不倫していた男性は、警官だった阿部英輔(仲村トオル)という男です。彼はある事件で人質となっていた女子高生を死なせてしまい、心に深い傷を負っていました。腕のたついい警官だった阿部ですが、その事件以来まともに仕事ができなくなり、駐在所勤務となっていました。そんな彼と深い関係になったはるとの噂は、小さな村中に広まります。
はるは父親からきつく咎められますが、行夫は違いました。死が目前に迫っている行夫は、自分が亡きあとの妻のことを案じ、はるが男と会っていることを見て見ぬふりをしてきました。そしてバーベキューの日、阿部が警察をやめて島を出ることを行夫ははるに伝えます。行夫から阿部の元に行くよう促されたはるは、急いで阿部に会いに行くのでした。
北のカナリアたちの結末
一方分校の生徒だった松田勇(松田龍平)は、島の駐在所で勤務をしています。彼は信人がもしかすると島に戻っているかもしれないと、島中をくまなく探し回っていました。すると物陰に隠れている信人を発見。信人は急いで走って逃げて、煙突のはしごによじ登ります。しかしはしごから転落し、彼は病院へと運ばれてしまいました。そのことを聞きつけたはるが、急いで病院へと向かいます。
久しぶりに勇と再会したはるは、彼が当時行夫のことが嫌いだったと知りました。勇は野良犬を飼っていました。その野良犬に当たり散らす行夫を見て、彼の行動が理解できなかった勇。皆の前では気丈だった行夫も、死への恐怖に耐えきれなかったのです。また、阿部の心の傷を知った勇は、はるが阿部に惹かれた事にも理解を示します。
その後、目を覚ました信人が社長殺しを自供。勤務先の社長は、自分の妻にひどい暴力をふるっていました。祖父が亡くなってからは知り合いの家で居候をして、高校にも行かせてもらえなかった信人もまた、周りからの暴力に耐えて生きてきました。社長の妻が暴力を振るわれ、その彼女をかばうようになった信人は、勤務先を辞めて社長の妻と同棲を始めます。
その女性と結婚を決めた信人でしたが、ある日社長が二人の居場所を突き止め家へとやってきます。その時に妻が走って逃げて車と接触し、亡くなってしまいました。その後社長とつかみ合いの喧嘩になり、もみ合った結果社長を殺してしまった信人。
社長を殺してしまった信人は、自殺をするつもりではるに電話をかけます。するとはるから「最後の授業をさせてちょうだい。先生が行くまで生きて待っていて。」と言われ、信人は島へと戻ってきました。
移送される途中、刑事は分校に信人を連れて行きます。勇が刑事に土下座をして頼んだのでした。分校に行くと真奈美や勇ら5人とはるが待っていました。6人で「歌を忘れたカナリア」を歌います。信人ははるに「俺、生きていてもいいんだよね?」と問い、はるは「いいのよ。」と深く頷きます。信人は残り5人の生徒の合唱で見送られ、船で移送されていきました。
実はバーベキューの日、阿部に会ったはるは彼に別れを告げていました。そんな彼から毎年一枚のはがきが実家に届いています。ハガキには「生きている」とだけ書かれていました。外国で地雷を撤去する仕事をしている阿部が無事に生きていることを知り、はるはほっとした表情を浮かべるのでした。
以上、映画「北のカナリアたち」のあらすじと結末でした。
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