恋する寄生虫の紹介:2021年アメリカ映画。潔癖症の青年と視線恐怖症の少女、2人が出会い惹きあったのは世にも不思議な寄生虫の存在があったのです。奇妙な話の裏には美しい愛の物語がありました。世の中に絶望しかけた2人が分かり合い、惹かれ合う姿も美しいのです。
監督:柿本ケンサク 出演:林遣都(高坂賢吾)、小松菜奈(佐薙ひじり)、井浦新(和泉)、石橋凌(瓜実)、ほか
映画「恋する寄生虫」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「恋する寄生虫」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
恋する寄生虫の予告編 動画
映画「恋する寄生虫」解説
この解説記事には映画「恋する寄生虫」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
恋する寄生虫のネタバレあらすじ:起
防護マスクに防護服、消毒液のニオイのする部屋で、ひとり高坂健吾(林遣都)はパソコンに向かい合っていました。極度の潔癖症である健吾が作成しているのは、Silent Nightというマルウェアソフト。それは12月24日に稼働し、あらゆる通信機器を停止させるというものでした。
それは、幼い頃に両親の自殺を目の当たりにし、そのせいで潔癖症になり、ずっと孤独に生きてきた健吾の、世の中への復讐だったのです。
ある日バスに乗った健吾、手袋とマスクをして乗り込みましたが、吊り革も持てず、周りの人からウイルスが湧き出ているような気持ちになり、気分が悪くなり途中下車。やがて健吾は気を失ってしまいます。
そこに佐薙ひじり(小松菜奈)という女子高生が通りかかります。彼女は人の目が怖いという視線恐怖症で、がっちりしたヘッドホンをして聴覚を遮断しないと耐えられないのでした。ひじりはずっと自分の頭の中に虫がいて、いずれ自分の頭を食い尽くして死んでしまうと考えていて、世の中に絶望しています。
ひじりは自分と同じ臭いを感じ、健吾を助けました。祖父が運営する虫の研究施設に健吾を連れていき、介抱します。やがて健吾は目を覚まし、ボーッとしたまま家路につきました。
恋する寄生虫のネタバレあらすじ:承
その後、健吾に和泉(井浦新)という男から連絡が入り、マルウェアの事をバラされたくなかったら、あるガキの面倒を見ろと脅されてしまいます。
健吾は言われるがまま約束の場所に向かうと、そこにはひじりがいました。ひじりはズカズカと健吾の部屋に上がり込み、制服のままベッドに寝転びます。健吾はショックで気絶してしまいます。
目を覚ました健吾がひじりに自らの潔癖症について説明しますが、ひじりは「知ってる」とだけ話し気にもしていませんでした。完全に健吾はひじりのペースに巻き込まれています。いかにも強そうなひじりでしたが、彼女もまた自分と戦っていました。
ある日、男たちに絡まれたひじりはヘッドホンを取られてしまいます。耐えきれずパニックになったひじりは、助けを求め健吾に連絡しました。駆けつけた健吾はそこで初めてひじりの苦しみを知ります。母親の死、視線が怖い事、世の中に対する絶望感、ひじりも自分と同じ苦しみを感じていたのです。
ここで2人は初めて分かり合える存在に出会いました。それから2人は普通の生活を送るべく、リハビリを始めます。2人で出かけて食事をし、ずっと一緒にいました。そしてクリスマスイブに予定通りマルウェアを送り込み、世の中に復讐する、そう決意したのです。
ひじりの祖父・瓜実(石橋凌)が、ひじりの中にいる虫に対する治療を開始すると言いました。研究者である祖父と和泉は、ひじりの中の虫が摘出できる大きさになるまで待っていました。そろそろ頃合いと判断したのです。しかし、ひじりは治療を拒否します。虫を取ることで健吾を思う気持ちを失くしてしまう、そう考えたからでした。
恋する寄生虫のネタバレあらすじ:転
ひじりは祖父の元から逃げ出します。ひじりがいなくなったと和泉から連絡をもらった健吾は、さらに衝撃の事実を知らされることになります。実は健吾の中にも虫がいて、ひじりの虫と同調仕合い成長するのです。
虫は繁殖のため宿主を引き合わせます。そして接触させることで卵を産み増やしていきます。宿主はやがて精神を病むことになり自殺へと向かっていくのでした。
ひじりの母親も宿主で、おそらく健吾の両親も宿主だったのでしょう。ひじりの祖父は、これ以上家族を虫に殺されたくない思いから必死に研究していたのです。いなくなったひじりを探すため、健吾はひじりの母親が命を絶った場所に向かいます。そこでひじりを見つけました。
懸命に健吾はひじりを止めますが、ひじりは健吾を思う気持ちを失くすくらいなら死んだほうがマシだと話します。健吾は湖の中に歩いていくひじりを抱き止め、君がそう言うなら一緒に死のう、そう告げてひじりにキスをしました。2人の虫が嬉しそうにふわふわ漂っています。
気を失った2人が目を覚ますと研究所の中でした。どうやら2人の治療は終わったようです。
恋する寄生虫の結末
その後、健吾の生活はガラリと姿を変えました。潔癖症も治り、就職もし、普通の生活を過ごしていたのです。そんな中、再び和泉から連絡が入ります。ひじりがまたいなくなったのです。
健吾は自分宛に届いたひじりからのラブレターを目にします。そこには、虫はいなくなったはずなのに消えない絶望感について書かれていました。ひじりは未だ苦しんでいたのです。
その頃、和泉は健吾の血液からわずかな卵を発見します。そしてかつての自分を思い出していました。それは、和泉がひじりの母親を愛した日々だったのです。和泉は虫の宿主で実験のため今も治療することなく過ごしていました。
愛するひじりの母親を亡くした虫はどうするのか、片割れをなくしても成長し続けるのか、また別の虫を求めるのか。その答えは和泉がよく分かっていました。ずっと愛し続けられることを…
クリスマスイブになり、健吾は1人ひじりと約束したツリーの前で、約束のマルウェアをばら撒きますが、それは中途半端な形でばら撒かれます。無事点灯を終えたツリーの前で立ち尽くす健吾。「全然ダメじゃん」の声がして振り向くと、ひじりが立っていました。
「メリークリスマス」二人は笑い合いました。すると電線がショートし、ツリーの電球から火花が散ります。皆逃げ出す中、二人は互いの存在を確かめ合うのでした。
以上、映画「恋する寄生虫」のあらすじと結末でした。
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