アンダーカレントの紹介:2023年日本映画。豊田徹也の同名コミックを「愛がなんだ」や実写版「からかい上手の高木さん」などの今泉力哉のメガホンにより映画化したドラマです。亡き父から受け継いだ銭湯を夫と共に切り盛りしていた主人公の女性。ところが、夫は謎の失踪を遂げ、謎の男が夫の代わりに銭湯で住み込みで働くように。女性は風変わりな探偵に夫の調査を依頼しているうちに、ある衝撃の事実と辛い過去が浮かび上がっていきます…。
監督:今泉力哉 出演:真木よう子(関口かなえ)、井浦新(堀隆之)、江口のりこ(菅野よう子)、中村久美(木島敏江)、康すおん(田島三郎)、内田理央(藤川美奈)、永山瑛太(関口悟)、リリー・フランキー(山崎道夫)ほか
映画「アンダーカレント」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「アンダーカレント」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「アンダーカレント」解説
この解説記事には映画「アンダーカレント」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
アンダーカレントのネタバレあらすじ:起
2年前に他界した父から銭湯「月乃湯」を受け継いだ関口かなえ。かなえは夫・悟やパートの木嶋敏江と共に銭湯を守り続けてきましたが、ある日突然に悟は謎の失踪を遂げてしまいました。
ショックを受けたかなえがしばらく銭湯の営業を休業していましたが、意を決して再開することにしました。常連客も少しずつ戻り始めていたある日、銭湯組合から紹介されたという堀隆之という謎の男がやってきました。人手が足りないかなえは臨時の従業員の求人を銭湯組合に依頼していたのですが、堀の履歴書には様々な資格がズラリと並んでいました。かなえは別にこの廃れかけた銭湯で働かなくてもいいのではないかと告げましたが、堀はなぜか住み込みで働かせてほしいと引き下がりませんでした。かなえは仕方なくかつて休憩所だった個室に堀をアパートが見つかるまで住まわせることにし、堀はその日から働き始めました。
買い物に出かけたかなえは、偶然にも大学時代の友人だった菅野よう子と再会しました。悟もまたかなえや菅野と同じ大学に通っていた身であり、両親を交通事故で亡くした悟と早くに母を亡くしたかなえは意気投合して結婚に至ったのです。かなえは菅野に悟が失踪したことを伝え、自分にとって一番辛いのは悟にとって自分は本当の気持ちを話せる相手ではなかったことだと話しました。
数日後、かなえは菅野から探偵の山崎道夫を紹介されました。サングラスに無精髭の山崎は一見チンピラに見間違う風貌の変わり者でしたが、かなえは山崎に調査を依頼することにしました。かなえから悟は人当たりが良く心優しいと伝えられた山崎は、それは本当の自分を隠すために演じているのだと断言しました。かなえは思わず会ったこともない悟の何がわかるのかと問いかけましたが、山崎は逆に人をわかるとはどういうことかと投げかけてきました。かなえは黙り込んでしまいました。
アンダーカレントのネタバレあらすじ:承
山崎は調査期間は3ヶ月、2週間に一度途中経過を報告することで契約に合意しました。やがて堀はアパートが見つかり、銭湯にはそこから通勤することになりました。堀は常連客でタバコ屋を営む“サブじい”こと田島三郎と親しくなりましたが、相変わらず自分の素性を話そうとはしませんでした。
かなえは山崎から最初の途中経過報告のためカラオケボックスに呼び出されました。調査の結果はかなえが想像だにしないものでした。悟は兵庫県出身で交通遺児だと聞かされていたのですが、戸籍謄本を調べた結果、悟の本当の出身地は山形県であり、両親は交通事故には遭っておらず今から2年前に自宅の火災で死亡していたことが明らかになりました。かなえは今まで知らなかった事実に困惑してしまいました。
堀はかなえに全く素性を明かさないまま銭湯で働き続けていました。かなえの銭湯の窯は昔ならではの薪を使うものでしたが、知人のツテで廃業する銭湯から重油式の窯を譲ってもらえることになりました。かなえは堀の運転する軽トラックで現地の下見に向かいましたが、その銭湯は火事で全焼してしまっており、経営者は失踪してしまったとのことでした。
かなえは失意のうちに帰路につくことにしました。帰り道、かなえは堀に自分が幼少期からよく見る夢の話をしました。それは何者か全く知らない誰かからゆっくりと首を絞められ、水の中に沈められるというものでした。かなえは自分が果たして苦しんでいるのか安らいでいるのかわからないと語り、堀は黙ってかなえの話を聞いていました。
アンダーカレントのネタバレあらすじ:転
やがて悟の調査期間である3ヶ月目となりました。かなえは山崎から最終報告を受けるために遊園地に呼び出されましたが、山崎は携帯でメリーゴーランドに乗るよう指示したり、風船を買うよう指示したりとかなえを振り回し、最後は観覧車でかなえを出迎えました。かなえは山崎が遊び心のある人物だと感心しました。
山崎は観覧車の中で最終報告を始めました。悟の銀行口座は彼が失踪した直後に全額引き出されている以外はその後の足取りは全く掴めなかったのですが、悟がかつて勤めていた職場の同僚の女性が横領事件を起こし、悟はその女性を庇って辞めたというのです。その女性と悟は今は全く繋がりがないということでした。山崎は調査が未解決で終わることを詫び、失踪者というのは絶対に見つからないと告げました。結果を受け入れたかなえは堀に黙って出ていかないでほしいと告げました。
そんなある日、かなえの銭湯の常連客・藤川美奈の幼い娘が行方不明になるという事件が発生しました。警察が動くなか、かなえはふと子供だった頃を思い出しました。かなえはかつて、自分とよく似ていた少女・さなえと親しくしていたのです。かなえが木嶋とさなえの話をしているのを聞いていた堀は思わず驚きの表情を見せました。その後、美奈の娘は無事保護されたのですが、かなえはその場に倒れ込んでしまいました―――。
―――今から25年前。かなえは不審者に襲われ、その際にさなえが助けを求めたことから彼女が不審者に捕まってしまい、池に沈められて殺されてしまったのです。かなえは不審者から誰にも言うなと脅され、それ以来さなえの親にも告げることができず、ひとりで真相を抱え込んでしまったのでした。かなえは成人してからも常に気丈に振舞っていましたが、心の片隅では常に「自分が死ねばよかった」という思いを抱え込んだままでした―――。
―――かなえは堀に布団に寝かされて介抱を受けていました。かなえは涙を流しながら「殺して」と呟き、堀はそっとかなえの涙を拭ってあげました。
アンダーカレントの結末
ある日、かなえは山崎から「悟が見つかった」との連絡を受けました。かなえは悟と対面することになり、山崎の車で待ち合わせ場所へと向かいました。その車中、山崎は最終報告の日に遊園地でかなえを引っかき回したのは、悟が雇った探偵が密かにかなえを尾行していたからだと明かしました。
かなえは待ち合わせ場所の海辺のカフェで悟と再会しました。悟は自分が失踪した理由について語り始めました。悟は「嘘をつく方が楽に生きられる。真実より嘘の方が好きだ。本当のことなど誰も知りたくない」というほど昔から大の嘘つきで、罪悪感を感じることもなく常に嘘をつき続けてきたのですが、それがバレそうになるとまた嘘を重ね、嘘に気づかれたら逃げ出すという人生を繰り返してきたのだと打ち明けました。そして前の職場の同僚の女性を庇ったというのも実は嘘で、横領したのは実は悟自身であることも白状しました。
悟は既にかなえとの離婚を決意していました。かなえは悟が何か言いたげだったのはわかっていたと語り、最後に一発殴らせてと言うと自分のマフラーを悟の首に巻き、「体に気をつけて」と別れを告げました。
その頃、堀は荷物をまとめてこの街を離れようとしていました。堀がかなえの銭湯に来たのは銭湯協会の紹介ではなく、かなえが休業中に貼っていた貼り紙を見ての志願だったのです。堀はバス停に向かう途中でばったりとサブじいに遭遇しました。実は堀はさなえの実の兄であり、サブじいはそのことを知っていたのです。
さなえが殺された池は今では埋め立てられて住宅地となっていました。さなえの死後、一家は悲しみから立ち直れずに離散となり、独立して就職した堀はずっとこの街を避け続けてきたのですが、たまたま仕事の都合でこの街を訪れた際にどこかさなえによく似た面影のある女性(かなえ)を見つけたのでした。堀はかなえが今でもさなえのことを覚えていたことを知り、これ以上かなえを傷つけたくないから出ていくのだと話しましたが、サブじいは「自分のままでいいんだ。人は人に頼り迷惑をかけて生きているんだ。どうしても出ていくのか?」と問いかけました。堀は思い留まり、バスには乗らずに銭湯に戻りました。
かなえが銭湯に戻ると、堀は休日なのにも関わらず薪を割っていました。堀は明日の分の準備をしていたとはぐらかし、かなえが作った夕食を食べることにしました。その夕食時、堀は突然泣き出し、かなえに自分はさなえの兄であることを打ち明けました。翌日、かなえは犬の散歩に出かけました。堀は少し距離を保ちながらかなえの後をついて行きました。
以上、映画「アンダーカレント」のあらすじと結末でした。
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