ミステリと言う勿れの紹介:2023年日本映画。第67回小学館漫画賞一般向け部門受賞作である田村由美の同名漫画を原作とし、菅田将暉の主演でテレビドラマ化されたミステリー作品の劇場版です。本作は原作の「広島編」を映像化、神経質で面倒くさい性格の主人公の大学生・久能整(菅田将暉)が辿り着いた広島で遺産相続に絡む事件に巻き込まれ、解決していく様を描きます。
監督:松山博昭 出演者:菅田将暉(久能整)、松下洸平(車坂朝晴)、町田啓太(狩集理紀之助)、原菜乃華(狩集汐路)、川田秋妃(幼少期の狩集汐路)、萩原利久(波々壁新音)、鈴木保奈美(狩集ななえ)、滝藤賢一(狩集弥)、でんでん(志波一巳)、野間口徹(赤峰一平)、松坂慶子(鯉沼鞠子)、石橋蓮司(狩集幸長(写真出演))、ダンディ坂野(宝田完次)、春風亭昇太(劇団主宰者)、松嶋菜々子(君原奈津子)、伊藤沙莉(風呂光聖子)、尾上松也(池本優人)、筒井道隆(青砥成昭)、永山瑛太(犬堂我路)、角野卓造(真壁軍司)、段田安則(車坂義家)、柴咲コウ(赤峰ゆら)ほか
映画「ミステリと言う勿れ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ミステリと言う勿れ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ミステリと言う勿れ」解説
この解説記事には映画「ミステリと言う勿れ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ミステリと言う勿れのネタバレあらすじ:起
8年前。山道を猛スピードで走行していた1台の車がカーブを曲がり切れずガードレールを突き破りました。車はそのまま崖下へと転落して爆破炎上し、乗っていた男女4人は命を落としました・・・。
・・・そして現代。テレビ本編で起こった事件により指名手配となった犬堂我路は狩集汐路と会っていました。我路は汐路の一族が抱える「闇」を一緒に覗く依頼を受けており、自分の代わりにテレビ本編にて知り合ったもじゃもじゃ頭の大学生の青年・久能整を紹介しました。
当の整本人はたまたま広島に訪れていました。汐路は観光中の整に会い、自分は殺されるかもしれないと整に命と金のかかったボディガードのバイトを依頼してきました。整は話が全く理解できぬまま狩集家に連れていかれました。
狩集家には汐路の従兄姉たち、顧問税理士の真壁軍司、顧問弁護士の車坂義家が集まっていました。会合の内容は先月亡くなった汐路の祖父・狩集幸長の遺言に関することでした。幸長の後継者たる実子4人は既に死亡しており、狩集家の後継者は幸長の孫である狩集理紀之助、赤峰ゆら、波々壁新音、そして汐路の4人の中から1人を選ぶという遺言を遺していました。
汐路ら4人にはそれぞれ狩集家の蔵の鍵が渡され(理紀之助は『明聡の蔵』、ゆらは『温恭の蔵』、新音は『忠敬の蔵』、そして汐路は『問難の蔵』)、「それぞれの蔵において あるべきものをあるべき所へ過不足なくせよ」というお題を解き明かした者のみが相続人になるというものでした。
汐路は、狩集家の遺産相続時では必ず揉め事が起こり、何人も人が死んでいると語りました。汐路の父・弥もまた他のきょうだい3人(理紀之助の父・新音の母・ゆらの母)と共に8年前に自動車事故で死亡しており、これら一連の死やトラブルは全て事件扱いされず警察も動きませんでした。汐路からボディガード兼謎解き要員に指名された整はまずは理紀之助、ゆら、新音と話し合いを持とうとしましたが断られました。
整はこの日は狩集家に泊まることにし、幸長のいとこ・鯉沼鞠子の世話を受けることになりました。玄関には魔除けや泥棒除けの効果があるとされるアメジストドームが置かれ、家中の至る所にお札や盛り塩が置かれていました。
ミステリと言う勿れのネタバレあらすじ:承
翌日、整と汐路は『問難の蔵』へと向かいました。途中、汐路の近くに崖の上から植木鉢が落ちてきましたが、崖には人はいませんでした。
狩集家の蔵は普段は開かずの蔵であり、弥が一度だけ入ったことがあるくらいでした。『問難の蔵』のには9体の日本人形があり、それらには12ヶ月を示す花の模様が描かれていました。整は人形はあと3体足りず、それが「菊」「牡丹」「桜」であることに気づきました。
汐路は自分の蔵を見せることと引き換えに新音の『忠敬の蔵』を見せてもらうことにしました。新音の蔵の中には宮島焼の茶碗が大量にあり、それらは2個ずつで片方が本物、もう片方は偽物でした。
その後、汐路は整に、義家の孫で弁護士見習いの車坂朝晴を紹介しました。朝晴は汐路の初恋の人であり、代々車坂家に生まれたら弁護士、真壁家に生まれたら税理士になる定めを背負っていました。汐路たちは宮島焼工房まで出向き、店主から話を聞きました。茶碗の偽物はどうやら弥と新音の母が用意したものであり、弥たちは本物の“持ち主“に返すと言っていたとのことでした。
その頃、『温恭の蔵』に入ったゆらは蔵の中に座敷牢があることに気づきました。その時、蔵は何者かによって閉じられ、ゆらは閉じ込められてしまいました。その夜、ゆらの夫・赤峰一平は彼女の不在に気づき、理紀之助、汐路、新音と共に探しに行きました。
その途中、何者かが階段に油を塗っており、汐路と新音は階段から滑り落ちてしまいました。その後、ゆらは無事助け出されましたが、植木鉢や階段など一連の不可解な出来事に汐路たちは互いに不信感を抱きました。
ゆらが閉じ込められた件は汐路、新音が否定したことから理紀之助が疑われました。理紀之助は無実を証明すべく自らの『明聡の蔵』を見せることにしました。蔵の中には古い兜や血がついたまま錆びた古い刀がありました。整は兜に付着していた髪の毛から狩集家の人々の髪の毛は代々直毛だと感じましたが、弥、新音の母、理紀之助は天然パーマでした。結局、それ以上の手がかりは見つからず、汐路ら4人の不信感は高まるばかりでした。
その夜、汐路は庭の柵の近くの地面に短刀を刺していました。それを見た整は、植木鉢や階段の油、ゆらの監禁などの不可解な現象は汐路の仕業であることを見抜きました。整は汐路が弥の死因は居眠り運転ではなく他殺だと信じていたかったのだと看破しました。そこに理紀之助・新音・ゆらが現れ、汐路を許すと共に「誰が勝っても恨みっこなし」を条件に互いに協力しあうことにしました。
ミステリと言う勿れのネタバレあらすじ:転
これで問題はひとまず解決したと感じ、翌日にも東京に戻ることにした整でしたが、コインランドリーからの帰り道で危うく車に轢かれそうになりました。川に転落し、ずぶ濡れになった整は狩集家に戻り、自分は核心に迫り過ぎたがために狙われたのではないかと考えました。
整は汐路の母・狩集ななえから狩集家の代々の家族写真を見せてもらいました。名前に「・」と印されたのは早死にした人で、ある共通点があることに気づきました。整は汐路ら4人と朝晴を呼び出し、早く死亡した人はいずれも「天然パーマで肌が色白」(逆に長生きした人はいずれも直毛で色黒)という共通点があり、遺産相続に見せかけた別の理由があるのではないかと推理を述べました。
弥はこの家族写真を見て異変に気づき、さらに蔵を調べたところ偽物を作った人物に辿り着いたのです。弥は他のきょうだい3人と共に車で出かけたところ事故に遭ったのです。整は自分も車に轢かれそうになったことから、弥たち4人は事故に見せかけて殺害されたのだと断定しました。
整は汐路たちと共に警察に行き、8年前の弥たちの事故を担当した志波一巳刑事に当時の状況を訊いたところ、弥の死因は居眠り運転であることは間違いないとしながらも車内からは菊の人形と茶碗、そしてUSBメモリのキャップらしきものが発見されたとの証言を得ました。
整たちは手分けして、重要なデータが入っているであろうUSBメモリを探しましたが見つかりませんでした。整と汐路はその最中にたまたま「鬼の集」という舞台のチケットを見つけ、劇団に問い合わせたところ、この舞台は9年前に上演され、脚本家は謎の自殺を遂げたとのことでした。この脚本を書いたのは鞠子の弟であり、金に困ると狩集家の蔵に忍び込み、高価な陶器を自分が作った偽物とすり替えて売っていたとのことでした。
整は劇団から「鬼の集」朗読劇バージョンのDVDを借り受け、汐路らに見せました。内容は江戸から明治にかけての動乱期に3人の“鬼”がいたことを描いたものでした。鬼の首領は天然パーマで色白であり、“狩田”という農家を乗っ取って一族や使用人を皆殺しにし、死体を埋めた場所に4つの蔵を立てたのです。
しかし、狩田の主の娘が難を逃れて逃亡し、鬼たちは狩田の娘の報復を恐れて家の至る所に魔除けをすると共に、自分と同じ特徴(天然パーマ・色白)を持った子孫が誕生したら殺すという掟を作ったのです。
そして蔵の地下には大量の人骨が埋まっていました。整は「鬼の集」は実話を元にしたものであり、狩集家の真実を知ってしまった弥は「鬼」の掟を今なお守り続ける鬼の家系によって消されたのだろうと推理しました。
整、汐路ら4人、朝晴は喫茶店でそれぞれが得た情報を持ち寄りました。情報を整理した整は、弥は鬼の魔の手を逃れた狩集家の娘の末裔の存在に辿り着き、その情報を密かにUSBメモリに保存すると共に蔵の人形や茶碗などを末裔に託そうとしていたことに辿り着きました。
朝晴がその場を立ち去った後、汐路は新音が飲み物をこぼしてしまったことから、弥がこれまで調べてきたことを記した手帳があった場所を思い出しました。それを聞いた整はUSBメモリは「厳島神社の大鳥居の太陽の側」に隠されていると言い出し、関係者全員に知らせるよう告げました。
ミステリと言う勿れの結末
その夜、何者かがこっそりと厳島神社に現れ、隠し場所からUSBメモリを見つけ出しました。その人物は早速USBメモリのデータからとある場所を突き止め、ガソリンを撒いて放火しようとしましたが、駆け付けた志波刑事によって現行犯逮捕されました。逮捕されたのは何と朝晴でした。
その場に現れた整は、USBメモリは偽物であり、朝晴を罠に嵌めるためあえて偽の住所を流したことを伝えました。汐路は8年前の事故直前、朝晴が弥にジュースを持ってきたことを思い出しました。弥は飲んだのですが、汐路は飲まないといってジュースをこぼし、それが弥の手帳にかかったのです。手帳からは睡眠薬の成分が検出されていました。
整は「3匹の鬼」とは狩集家・真壁家・車坂家であり、鬼の首領である狩集家に仕える真壁家・車坂家は掟に従って天然パーマ・色白の者、そして謎に迫る者を暗殺してきたのだと断言しました。朝晴はあっさり罪を認め、遺産相続を餌にして本物の狩集家の末裔を探し出して殺すつもりだったこと、8年前に汐路が弥の行動を全て教えてくれたおかげで弥をきょうだい諸共殺すことができたことを白状しました。
そこに軍司と義家が現れて朝晴を制止しようとしましたが、整は4つの蔵の名「明聡」「温恭」「忠敬」「問難」をつなぎ合わせれば論語の「君子の九思(明・聡・温・恭・忠・敬・問・難・義)」になること、そして最も重要な「義」がなかったことを指摘しました。朝晴は「僕は必要なことをしているだけ」と悪びれることなく、義家や軍司と共に警察に連行されていきました。
本物のUSBメモリは狩集家の玄関のアメジストドームの中に隠されていました。整と汐路たちはそのデータをもとに、本物の狩集家の末裔である君原奈津子との対面を果たしました。奈津子は生前の弥から真の後継者の証である人形をもらったこと、子供たちのためにも自分の代で「鬼」に関する全てのことを明るみにし、バカなことは終わらせると誓っていたことを明かしました。奈津子はアメジストドームなど石のアクセサリーを作っており、汐路たち4人にそれぞれの親から注文されていた、それぞれの性格に合わせたパワーストーンのブレスレットを託しました。
事件は解決し、整は汐路ら4人に見送られて東京へと戻っていきました。一方、我路の行方を追っていた大隣警察署は弥と我路が顔見知りであったこと、そして朝晴らの逮捕現場に整が居合わせていたことに驚愕しました。その頃、クルーザーで航行していた我路は汐路からメールを受けて微笑みました。メールには事件解決の知らせ、そして整は面倒くさい性格であったことが綴られていました。
以上、映画「ミステリと言う勿れ」のあらすじと結末でした。
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