君たちはどう生きるかの紹介:2023年日本映画。日本が世界に誇る巨匠・宮﨑駿。2013年の『風立ちぬ』公開後に長編映画製作からの引退を表明するも2017年に引退を撤回、約7年かけて完成させた渾身の冒険活劇ファンタジーです。宮﨑監督が少年時代に感銘を受けた吉野源三郎の小説『君たちはどう生きるか』を物語のキーワードとして起用し、太平洋戦争時代を舞台に継母を迎え入れることになった少年の不思議な冒険が描かれます。
監督・脚本・原作:宮﨑駿 プロデュース:鈴木敏夫 音楽:久石譲 主題歌:米津玄師『地球儀』 製作:スタジオジブリ 声優:山時聡真(牧眞人)、菅田将暉(青サギ/サギ男)、柴咲コウ(キリコ)、あいみょん(ヒミ)、木村佳乃(夏子)、竹下景子(いずみ)、風吹ジュン(うたこ)、阿川佐和子(えりこ)、大竹しのぶ(あいこ)、滝沢カレン(ワラワラ)、もう中学生(紙芝居屋)、小林薫(老ペリカン)、國村隼(インコ大王)、火野正平(大伯父)、木村拓哉(勝一)ほか
映画「君たちはどう生きるか」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「君たちはどう生きるか」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「君たちはどう生きるか」解説
この解説記事には映画「君たちはどう生きるか」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
君たちはどう生きるかのネタバレあらすじ:起
太平洋戦争真っ只中の時代。少年の牧眞人は空襲で母・久子を亡くしました。その3年後の1943年、眞人は軍需工場の経営者である父・正一、久子の妹で正一の再婚相手である夏子と共に東京を離れ、母方の実家へと疎開しました。夏子のお腹には眞人の弟か妹となる赤ん坊が宿っていました。
眞人の新たな住処となる屋敷には使用人のばあやたちが雇われていました。屋敷の近くには塔がある洋館が建っており、そこには1羽の“覗き屋のアオサギ”が住んでいました。興味を示した眞人は塔の中へ入ろうとしましたが、駆けつけたばあやたちに止められました。
その夜、眞人は夏子から塔についての話を聞きました。この塔はその昔に大叔父様が建てたのだそうです。頭は良かったものの、本の読みすぎで頭がおかしくなったとされる大叔父様はこの塔をたいそう気に入り、そこで暮らしているうちにいつの間にか忽然と行方をくらましてしまったということです。その後、塔の近くの川が増水した際、塔の地下には巨大な迷路があったことから、久子と夏子の父によって塔の入口は封鎖されてしまったとのことでした。
翌日、眞人は正一に連れられて転校先の学校へ登校しました。しかし、裕福な過程の眞人は周囲とはなじめず、地元の少年にいじめられてしまいました。その後、眞人は道端に転がっていた石で自分の頭を殴って大怪我を負ってしまいました。夏子やばあやたちは事情を尋ねましたが、眞人は自分で転んだとしか言いませんでした。
眞人が部屋で寝込んでいると、あのアオサギが部屋に入り込んできました。アオサギは眞人の母は本当は死んではおらず、眞人のことを待っていると告げてきました。しかし、眞人はアオサギを全く信用してはおらず、アオサギは駆けつけた夏子たちによって追い払われました。
正一は眞人の怪我の件で校長に文句を言いにいきました。一方、つわりに苦しむ夏子は何度も眞人の顔が見たいと周囲に話しましたが、当の眞人は夏子にそっけない態度を取ってしまいました。
君たちはどう生きるかのネタバレあらすじ:承
眞人はアオサギから身を守るため、使用人のじいやに弓矢作りを教わりました。眞人は完成した弓矢にアオサギが落としていった羽“風切りの七番”をつけました。そんなある日、眞人は夏子が森の中へと入り込んでいく様を窓越しに目撃しました。この時は特に深く気に留めることはしなかった眞人でしたが、久子が眞人のために遺しておいた吉野源三郎の小説『君たちはどう生きるか』を見つけ、読んでいるうちについ涙を流してしまいました。
夏子がいなくなったことで屋敷中は大騒ぎとなりました。眞人は弓矢を手に、ばあやの桐子と共に夏子の後を追って塔の中に入りました。アオサギを見つけた眞人は弓を放ち、その嘴を撃ち抜きました。アオサギは半鳥人の姿から元の鳥の姿に戻れなくなりました。すると塔の最上階からこの塔の主と思われる人物の声が聞こえました。眞人とアオサギ、桐子は「下の世界」へと落ちていきました。
眞人が落ちたところは海の上に浮かぶ島のようなところでした。眞人はそこでペリカンの大群に襲われましたが、“キリコ”と名乗る通りすがりの船乗りの女性に助けられました。眞人はひとまずキリコの家に身を寄せましたが、そこで眞人は自分の周りに屋敷のばあやたちによく似た小さな人形が置かれていることに気付きました。
眞人はキリコの仕事を手伝うことにしました。キリコはやがて地上で赤ん坊として生を受ける前の魂“わらわら”に魚を与える仕事をしていました。栄養を得たわらわらたちは空へと舞い上がり始めましたが、それを狙っていたかのようにペリカンたちがやってきて、わらわらを食べ始めました。その時、舟に乗って現れた“ヒミ”と名乗る少女が炎を操り、ペリカンたちを撃退しました。キリコは駆けつけてくれたヒミに感謝しました。
君たちはどう生きるかのネタバレあらすじ:転
眞人は今にも息絶えそうな老ペリカンと出会いました。老ペリカンは眞人に、海には今や魚がほとんどおらず、仕方なくわらわらを食べるしかないこと、子孫の中には飛ぶことをやめた者がいること、そしてどこまで飛んでも島にしか辿り着かないということなどを語った後に息を引き取りました。眞人は老ペリカンを丁重に葬りました。
眞人のもとにアオサギがやってきました。アオサギは夏子の居場所を知っていると眞人に告げました。キリコは眞人にアオサギと一緒に夏子を探しに行くよう促され、お守りとして桐子そっくりの人形を渡されました。
その頃、元の世界では、正一と使用人たちが眞人と夏子、桐子の行方を探していました。そんな時、ばあやの一人が正一に塔が出来た真相を語り始めました。実はあの塔は大叔父様が建てたのではなく、隕石が落下した際に石の塔が出現し、大叔父様はその塔の周りを隠すように建物を作ったというのが真相でした。続けてばあやは、かつて久子も今回の眞人たちと同じように“神隠し”にあったのですが、1年後に失踪時と同じ姿で戻ってきたことも明かしました。正一は塔へ向かうことにしました。
その頃、「下の世界」では眞人とアオサギは夏子の行方を追っていました。眞人は自分の弓矢でアオサギの飛行能力が失われたことから、その力を取り戻すためにアオサギの嘴の穴に木の枝を削ってあてがってやりました。
眞人とアオサギは夏子がいるらしい鍛冶屋の小屋へと辿り着きましたが、その小屋は既に、獰猛な二足歩行のインコの集団に占拠されていました。アオサギはこの家の者たちはインコに食べられたのではないかと忠告しましたが、眞人は危うくインコに食べられそうになってしまいました。その時、駆けつけてきたヒミが炎でインコたちを焼き尽くし、その隙に眞人を連れて脱出しました。
ヒミの家に逃げ延びた眞人は、ヒミからあの塔はどの世界にも存在していることを教えられました。眞人とヒミは夏子を助け出すため、彼女がいるとされる産屋へと向かいました。その途中、眞人たちは同じようなドアがいくつも並んでいる部屋へと入りました。これらのドアの向こうはそれぞれ別の時代へと通じており、「132」と書かれたドアは眞人のいた元の世界へと通じているとのことでした。
その時、インコ集団が眞人とヒミに襲い掛かってきました。眞人とヒミは「132」のドアから元の世界へと逃げ込みましたが、インコたちも後を追ってきました。インコたちは元の世界では二足歩行から普通の姿になり、たまたま居合わせた正一は眞人がインコになってしまったと勘違いしました。
眞人とヒミは「下の世界』に戻り、何とか夏子のいる産屋へと辿り着きました。眞人は夏子に元の世界に戻るよう説得しましたが、夏子は拒否しました。その時、周りを取り囲む石の力によって眞人とヒミは産屋を追い出され、インコたちに捕まってしまいました。
君たちはどう生きるかの結末
気絶した眞人は夢の中で大叔父様と邂逅しました。大叔父様は「下の世界」の均衡は自分が石で作った“世界を形作る積み木”によって保たれていること、そして眞人に自分の後継者になってほしいことを告げました。
意識を取り戻した眞人は、インコたちに紛れていたアオサギに助けられました。一方、ヒミは「下の世界」の支配者の座を大叔父様から奪おうと目論むインコ大王のもとに連行されていました。インコ大王と手下たちはヒミを連れて大叔父様のもとに向かい、眞人とアオサギはその後を追いました。
眞人たちはインコ大王の妨害に遭いながらも何とかヒミと合流し、大叔父様のもとに辿り着きました。余命が短いことを悟っていた大叔父様は13個の穢れていない石を指し示すと、改めて眞人に自分の後を継いでほしいと頼みました。しかし、眞人は大叔父様に自らつけた傷を見せると、自分は大叔父様が思うような悪意のない人間ではないと言い、元の世界でキリコやヒミ、アオサギのような友達を作って生きていきたいと告げました。
大叔父様が眞人の気持ちを理解したその時、現れたインコ大王が世界を形作る積み木を崩してしまいました。「下の世界」は崩壊を始め、大叔父様は眞人に元の世界に戻るよう告げました。眞人はヒミやアオサギと共にドアのある部屋に向かい、夏子や駆けつけたキリコと合流しました。
眞人はヒミに一緒に元の世界へ来るよう言いましたが、ヒミは自分の正体は夏子の姉で、眞人の母・久子の少女時代の姿であることを明かしました。ヒミは眞人と夏子に別れを告げ、キリコと共に久子の少女時代へ通じるドアの向こうへと入っていきました。眞人と夏子、アオサギは「132」のドアの中に入り、元の世界へと帰還しました。
塔は崩壊し、アオサギは鳥の姿に戻って森の中へと消えていきました。眞人のポケットの中に入っていた桐子の人形は元の人間の姿に戻りました。眞人と夏子、桐子は正一と再会を果たしました。
それから2年後、戦争は終わりました。眞人は正一と夏子、そして2歳になった弟と共に東京へと戻っていきました。
以上、映画「君たちはどう生きるか」のあらすじと結末でした。
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