ラストナイト・イン・ソーホーの紹介:2021年イギリス映画。第六感を有するファッションデザイナー志望の現代の女性が、過去の有名歌手の身体にタイムスリップしてしまうことから始まる恐ろしい体験を描いたスリラー作品です。本作は2021年の第78回ヴェネツィア国際映画祭でワールドプレミア上映され、同年の東京国際映画祭でジャパンプレミア作品として上映されました。
監督:エドガー・ライト 出演者:トーマシン・マッケンジー(エロイーズ・ターナー)、アニャ・テイラー=ジョイ(サンディ)、マット・スミス(ジャック)、ダイアナ・リグ(ミス・コリンズ)、リタ・トゥシンハム(ペギー・ターナー )、テレンス・スタンプ(銀髪の男)、サム・クラフリン(クラブの客)、ジェシー・メイ・リー(ララ・チャン)、マイケル・アジャオ(ジョン)、シノヴェ・カールセン(ジョカスタ)、マーガレット・ノーラン(セイジ・バーメイド)、リサ・マクグリリス(女性刑事)、ジェームズ・フェルプス(チャールズ)、オリバー・フェルプス(ベン)、アミエ・カセッタリー(エロイーズの母)ほか
映画「ラストナイト・イン・ソーホー」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ラストナイト・イン・ソーホー」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ラストナイト・イン・ソーホーの予告編 動画
映画「ラストナイト・イン・ソーホー」解説
この解説記事には映画「ラストナイト・イン・ソーホー」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ラストナイトインソーホーのネタバレあらすじ:起
現代、イギリス・コーンウォール郊外の町レットルース。エロイーズ・ターナー(トーマシン・マッケンジー)は1960年代のファッションや映画、音楽を好むお洒落な少女です。彼女は自らデザインしたレトロなドレスを古新聞紙で手作りし、「A World Without Lover(愛無き世界)」の曲に合わせて踊っていました。
幼い頃に母(アミエ・カセッタリー)を亡くしたエロイーズは祖母ペギー(リタ・トゥシンハム)とこの町で暮らしていました。エロイーズには不思議な能力が備わっており、鏡を通じて亡き母の姿を見ることができるのです。
そんなある日、エロイーズはペギーからロンドンのデザイン専門学校「ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション」の合格通知を受け取りました。
これで長年の憧れだったファッションデザイナーへの夢が一歩近づいたと喜んだエロイーズは1960年代のレコードとペギーから託された母の写真を持ち、列車でロンドンへと旅立ちました。旅立ちの際、ペギーは「ロンドンは人を呑み込む街。母はロンドンに呑み込まれた」と忠告しました。
ロンドンに辿り着いたエロイーズは駅でタクシーに乗り、一路学生寮へ向かいました。すると、タクシーの運転手がエロイーズに「あんた、モデルか?」と尋ねてきたので、エロイーズはデザイナー志望であることを告げると、運転手は「最初のストーカーになる」と不穏な発言をしてきました。
逃げるようにタクシーを降りたエロイーズは、学生寮で荷物のスーツケースを運び入れようとしましたが苦戦しました。そこに現れた同年代くらいの青年ジョン(マイケル・アジャオ)が手助けしようとしましたが、エロイーズはそれを断りました。
ラストナイトインソーホーのネタバレあらすじ:承
エロイーズは寮でジョカスタ(シノヴェ・カールセン)とルームメイトになりましたが、ジョカスタは何かと田舎者のエロイーズをバカにしてきました。
その日の夜、エロイーズはジョカスタとその友人たちに誘われてパブに出かけましたが、ジョカスタらはエロイーズの母が彼女が幼い頃に自殺したことを散々からかってきました。ひとり足早にパブを後にしたエロイーズは、帰り道で初老の男の視線を感じました。
その後もジョカスタは寮の部屋に男を連れ込んでパーティーを開いていました。居場所がないと感じたエロイーズは下宿を借りる決断をし、大家の老婦人ミス・コリンズ(ダイアナ・リグ)が所有するソーホーの古い家の屋根裏部屋を借りることにしました。8時以降は男子禁止という条件付きでしたが、1960年代をこよなく愛するエロイーズにとってはうってつけの物件でした。
早速コリンズの屋根裏部屋に引っ越したエロイーズはようやく自分の居場所を見つけた感じがしました。レコードをかけながら眠りについたエロイーズは、夢か誠か自分がいつの間にか1960年代のソーホーにタイムスリップしていることに気付きました。
エロイーズはウエストエンドにあるナイトクラブ「カフェ・ド・パリス」に吸い寄せられるように入っていきました。店内の大きな鏡に映るのは自分ではなく、金髪の美女サンディ(アニャ・テイラー=ジョイ)でした。いつの間にか鏡の外にはサンディ、鏡の中にはエロイーズと二人の立ち位置が変わっていました。
サンディはどうやらこのクラブで歌手として働きたいようでした。オーナーに会いに行ったサンディはマネージャーのジャック(マット・スミス)に気に入られ、ジャックはサンディにキスをすると熱く抱き合いました。その際、時々サンディとエロイーズが入れ替わりました。サンディとジャックは翌日の夜8時に会う約束をしました…。
…夢から目覚めたエロイーズは、サンディの夢が何だか妙にリアルだったことに驚きました。エロイーズの首元には、ジャックがサンディにキスした時にできたものと同じ赤い痣がありました。
ラストナイトインソーホーのネタバレあらすじ:転
エロイーズが借りたこの部屋は、サンディの部屋とどこか雰囲気が似ていました。それからというもの、エロイーズは夢の世界でサンディとなり、現代と60年代の二重生活を送るようになりました。やがてサンディはクラブのオーディションに合格し、ジャックとの関係を深めていきました。
エロイーズはペギーを心配させないようにロンドンでの暮らしは充実していると伝え、地味な髪の色をサンディと同じ金髪に染め、サンディの着ていた服を参考にした服をデザインし、教師たちからも高く評価されるようになっていきました。
エロイーズは下宿の家賃を稼ぐため、夜はパブでバイトをすることにしました。そんなある日、エロイーズは謎の老人から「私はこの町の女のことは全て知っている」と声をかけられました。
その夜、エロイーズはいつものようにサンディの夢の中へと入りました。そこでエロイーズは、サンディはクラブに歌手として雇われたのではなく、クラブの地下にあるストリップ劇場でストリッパーとして働かされていることに気付きました。
サンディはジャックにまんまと騙されたのです。ジャックはサンディにストリップを見に来た顧客の相手をするよう命じ、心身共に疲れ果てたサンディは男を自分の部屋に連れ込みました…。
…エロイーズは悲鳴を上げながら目を覚ましました。この日を境に、エロイーズは見知らぬ男たちの亡霊を見るようになっていきました。エロイーズはすっかり服のデザインもできなくなり、見かねたジョンがエロイーズをハロウィンパーティーへと誘いました。
しかし、エロイーズはパーティー会場でも亡霊を見てしまい、助けを求めるように男子禁制を破ってジョンを下宿へと招き入れました。その時、エロイーズは鏡の中でジャックがサンディを殺そうとしている幻影を見てしまい、恐怖のあまり悲鳴をあげて部屋を飛び出しました。
ラストナイトインソーホーの結末
エロイーズはサンディが殺されたものだと思い、警察にそのことを相談しましたが相手にしてもらえませんでした。続いてエロイーズはジョンの協力を得て図書館で1960年代の殺人事件を調べましたが、サンディの件は一向に出てこず、代わりに沢山の男たちが謎の失踪を遂げた記事ばかりが出てきました。
エロイーズはまたしても謎の老人と出くわしました。この老人こそがジャックなのではないかと感じたエロイーズは彼の後を追い、サンディを殺したのはあなたなのかと問い詰めましたが、老人はエロイーズから逃げようとして車に撥ねられて死亡してしまいました。その後、この老人はジャックではなくかつてソーホーの危険地帯を受け持っていた元警察官だったことが明らかになりました。
すっかり疲れ果てたエロイーズはロンドンを出る決意を固め、大家のコリンズに敷金を返してもらうよう交渉に向かいました。コリンズはエロイーズに茶を飲ませながら警察が来たことを明かし、「あなたは部屋で女が死んだと言った。それは一部真実で、死んだ女は私。歌手と女優になる希望と夢を持っていた」と語りました。
実はコリンズこそがサンディ本人であり、コリンズは“自分の夢を盗んだ”男たちを部屋に連れ込んでは殺し、あたかも行方不明になったかのように装っていたのです。エロイーズが飲んだ茶には薬が盛られており、エロイーズは意識朦朧状態に陥りました。
異変に気付いたジョンは部屋に乗り込みましたが、コリンズに腹をナイフで刺されてしまいました。揉み合いのうちにテーブルの灰皿の火が落ち、部屋は炎に包まれてきました。コリンズから逃げようとしたエロイーズは沢山の男たちの亡霊に出くわし、「助けてくれ。あの女を殺してくれ」と呼びかけられました。
亡霊たちは皆コリンズ(サンディ)に殺された被害者たちでした。エロイーズは断りましたが、コリンズの目にも亡霊たちが映っていました。
ジャックの亡霊を見たコリンズは自決しようとし、エロイーズは必死に止めようとしました。コリンズはエロイーズにジョンを連れて逃げるよう命じ、エロイーズとジョンは駆け付けた消防隊に救出されました。コリンズは燃え盛る家と運命を共にしました。
それからしばらくして、学校ではファッションショーが開かれました。エロイーズは自らデザインした60年代チックの服を披露し、観客や教師、そしてペギーやジョンから高く絶賛されました。
楽屋に戻ったエロイーズは鏡の中に母、そしてサンディが静かに微笑んでいるのを見ました。エロイーズは母とサンディに微笑みを返しました。
以上、映画「ラストナイト・イン・ソーホー」のあらすじと結末でした。
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