ミリオンダラー・ベイビーの紹介:2004年アメリカ映画。ミリオンダラー・ベイビーは巨匠クリント・イーストウッドの監督25作目にしてアカデミー賞主要4部門を制したヒューマンドラマです。うらぶれたボクシングジムの老トレーナーと、ボクサーを目指す愛を知らない女性。やがて女性はボクシングの才能を開花させていきますが、試合中の事故で全身不随に…。老トレーナーの取った決断とは…。
監督:クリント・イーストウッド 出演者:クリント・イーストウッド(フランキー・ダン)、ヒラリー・スワンク(マーガレット・“マギー”・フィッツジェラルド)、モーガン・フリーマン(エディ・“スクラップ・アイアン”・デュプリス)、ジェイ・バルチェル(デンジャー)、マイク・コルター(ビッグ・ウィリー)ほか
映画「ミリオンダラー・ベイビー」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ミリオンダラー・ベイビー」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ミリオンダラーベイビーの予告編 動画
映画「ミリオンダラー・ベイビー」解説
この解説記事には映画「ミリオンダラー・ベイビー」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ミリオンダラーベイビーのネタバレあらすじ:起
アメリカ・ロザンゼルスにあるうらぶれたボクシングジム『ヒット・ピット・ジム』。このジムの経営者兼トレーナーのフランキー・ダン(クリント・イーストウッド)は昔から“止血の名人”と呼ばれるほどボクシングの試合にとってなくてはならない止血係として活躍してきた人物で、20年来の親友で元ボクサーのエディ・“スクラップ・アイアン”・デュプリス(モーガン・フリーマン)と共にジムを切り盛りするフランキーはこれまでに数多くの優秀なボクサーを育て上げてきたのですが、不器用で気難しい面のあるフランキーはボクサーの安全面を考慮するあまり慎重な試合しか組まず、より大きな成功を掴みたいボクサーは別のジムに引き抜かれていくばかりでした。
フランキーは娘ケイティとは長らく音信不通になっており、フランキーがいくら手紙を書いてもいつも宛先不明で戻ってくる始末でした。
ミリオンダラーベイビーのネタバレあらすじ:承
そんなある日、フランキーのジムに、アメリカ中西部の田舎町からやって来たというマーガレット・“マギー”・フィッツジェラルド(ヒラリー・スワンク)という31歳の女性が入門を申し込んできました。マギーは亡き父親以外を除いて誰からも愛されたことはなく、生活保護受給者の母アイリーン(マーゴ・マーティンデイル)や兄弟と共にトレーラーハウスで貧しい暮らしを強いられてきました。
自分の生きる道をボクシングに見出したマギーはウェイトレスとして働いてジム代を工面、フランキーが止血係を務める試合に出向いてトレーナーになってほしいと頼み込みましたが、愛弟子のビッグ・ウィリー(マイク・コルター)を他のジムに引き抜かれたばかりのフランキーは断りました。しかし、スクラップは必死でトレーニングに励むマギーにボクシングの才能を見出してアドバイスを送り、マギーの本気を感じ取ったフランキーも彼女とスクラップの熱意に折れて本格的に指導を開始しました。
やがてプロデビューを果たしたマギーは順調に勝ち続けて評判を集め、フランキーとマギーとの間には実の親子よりも固い絆が芽生えていきました。
ミリオンダラーベイビーのネタバレあらすじ:転
その強さから階級をウェルター級に上げたマギーは英国チャンピオンとのタイトルマッチに臨むことになり、フランキーは背中にゲール語で“モ・クシュラ”と書かれた緑色のガウンをマギーに贈りました。マギーはその言葉の意味を尋ねるも、フランキーはただ言葉を濁すのみでした。
やがてマギーはファイトマネーで故郷の家族のために一軒家を買いましたが、アイリーンは生活保護が打ち切られると文句を言い、娘がボクシングをしていることを快く思っていませんでした。そんなマギーとフランキーの元に100万ドルの巨額なファイトマネーがかかった大きなタイトルマッチの話が舞い込んできました。
対戦相手は反則などお構いなしのヒールなWBA女子ウェルター級チャンピオン、“青い熊”のビリー(ルシア・ライカ)。試合はマギーが優位に進めていきましたが、ラウンド終了後にビリーが放った反則パンチを浴びたマギーはコーナーの椅子に頭から突っ込み、そのまま病院に搬送されました。
ミリオンダラーベイビーの結末
マギーは全身不随となり、人工呼吸器が欠かせない身体になっていました。深い負い目を感じたフランキーはありとあらゆる医者に相談しましたが、頚椎が折れ神経も切れた今のマギーはもはや何の施しようもありませんでした。リハビリ施設に移ったマギーの元に、旅行で遊び惚けたアイリーンら家族がやってきましたが、マギーへの愛情や思いやりは微塵もないうえに家や財産を横取りされそうになり、深く傷ついたマギーは家族に絶縁を叩きつけました。
やがて生きる望みを完全に失ったマギーは自殺未遂をするようになり、遂にはフランキーに対して「自分らしく死なせてほしい」と安楽死を懇願しました。フランキーは苦悩の末に、ガウンの“モ・クシュラ”とは“愛する人よ、お前は私の血”を意味するのだと告げると、マギーから生命維持装置を外してアドレナリンを大量に投与、マギーはフランキーに微笑みかけながら静かに息を引き取りました。
フランキーはそのまま姿を消し、二度とジムに戻ってくることはありませんでした。今、ジムはスクラップがトレーナーとなり、若いボクサーを育てながらフランキーの帰りを待ち続けています。
以上、映画ミリオンダラーベイビーのあらすじと結末でした。
ボクシングを題材にした映画は数多くありますが、女性ボクサーを主人公にした映画は珍しく、例えばロッキーのような成長物語とは一味違ったストーリーが楽しめます。一方でクリント・イーストウッド監督の作品はどれもそうですが、道徳や人道では判断できない問題を提起していて考えさせられます。映画のラスト、フランキーの決断は涙を誘います。