未来のミライの紹介:2018年日本映画。『バケモノの子』『サマーウォーズ』などの細田守監督による長編アニメ映画。兄ちゃんになった4歳のくんちゃんは、一人遊びの最中に中庭で不思議な体験をする。そして曽祖父のいた過去まで遡ったくんちゃんは?「アニメ界のアカデミー賞」と呼ばれる第46回アニー賞で「未来のミライ」は長編インディペンデント作品賞を受賞。日本アカデミー賞では最優秀アニメーション作品賞を受賞するなど数々の映画賞にもノミネートされるなど海外でも大きな評価を得ている。
監督:細田守 声優:上白石萌歌(くんちゃん)、黒木華(ミライちゃん)、星野源(おとうさん)、麻生久美子(おかあさん)、宮崎美子(ばあば)、役所広司(じいじ)、福山雅治(青年)、ほか
映画「未来のミライ(細田守監督)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「未来のミライ(細田守監督)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「未来のミライ」の予告編 動画
映画「未来のミライ(細田守監督)」解説
この解説記事には映画「未来のミライ(細田守監督)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
映画「未来のミライ」のネタバレあらすじ:起・くんちゃんの妹
おかあさんが出産を終え、おとうさんと共に赤ちゃんを連れて無事に帰宅した。まだ名前のない妹を守ってあげてね、仲良くしてあげてね、と言われ、張り切るものの、まだ生まれたばかりの赤ちゃんは眠るばかり。数日後、妹は「未来」と名付けられた。
おとうさんは妹が生まれたのを機に会社を辞め、フリーの建築家になり、編集者として外で働くおかあさんの代わりに家事をすることに。生活が一変し、小さな妹にばかり両親や祖父母の関心が行ってしまっているような気がして、くんちゃんは駄々をこねる事が多くなった。
映画「未来のミライ」のネタバレあらすじ:承・不思議の庭
そんなある日、いじけて中庭に出るとそこに謎の男が。両親の愛情を奪われた気がしているのだろう?と確信を突いてきた。彼はくんちゃんがこの家に来るまではこの家の両親に可愛がられていたが、今では隅に追いやられてしまったと言った。彼はこの家で結婚当初から飼われている犬の「ゆっこ」だった。
また別の日、眠る妹の相手をするも手持無沙汰になり中庭に出ると、そこにセーラー服の女の子が、鼻の上に、さっきミライちゃんの鼻の上に乗せたビスケットを乗せて、顔で遊ばないでと仁王立ちしていた。手にあざがある彼女は未来のミライちゃんだった。彼女のお願いは、飾りっぱなしにされてしまいそうな雛人形を、結婚が遅れてしまわないように片づける事だった。
そして、妹のミライちゃんとどうしても仲良くできないと泣きながら中庭に出た日は、アルバムで見せてもらった幼いおかあさんと家の中で散らかし放題にして遊んだ。くんちゃんの散らかしぐせは母親譲りだった。
映画「未来のミライ」のネタバレあらすじ:転・突然の成長
どうしても自転車が欲しかったくんちゃんは、幼いおかあさんがしていたように、毎日靴の中にメモを入れておく作戦で、自転車を買ってもらった。自転車に乗るため公園へ行ってみると、広場にいる子供たちはみな補助輪のない自転車に乗っていた。不安げなおとうさんに補助輪を取ってもらって練習をしたけれど転んでばかりで、もう自転車には乗りたくないと、家でヘルメットを中庭で投げると、今度はどこか倉庫のような所に出た。そこにはバイクをいじる青年がいた。
くんちゃんを見ると、バイクに興味があると思ったのか青年は尋ねたが首を振るので、馬を初めて見ると言うくんちゃんを乗せてあぜ道を歩きながら、怖がっていないで遠くを見るように言った。そして、戦争で片脚を傷めている彼は、走れない代わりにバイクにくんちゃんを乗せて道を走った。
そんな事があってか、くんちゃんは遠くを見る事で、自転車に一人で乗れるようになった。すんなり乗れるようになった。そして、馬やバイクに乗せてくれたのは亡き曽祖父だとアルバムの中の古い写真を見て知った。
映画「未来のミライ」の結末:迷子の行き先
ある夏の休日、家族で出掛けようとするも、ズボンの色が気に入らないくんちゃんは、駄々をこねて、両親に構ってもらおうと家の中に隠れた。しかしいつの間にか誰もいなくなった家に、慌ててリュックに食べ物を入れて外に出ようとした。するとそこは古い駅舎で高校生くらいの男の子が、家族で思い出を作ろうと言うのにその態度はなんだ?とくんちゃんを叱った。そこへ、駅舎には似つかわしくない新品の列車に飛び乗ると、終点は未来の東京駅だった。迷子になってしまったくんちゃんが駅の受付に行くと、アナウンスをするために自分が誰なのか説明しなければならなかった。けれど自分の両親の名前を言えないくんちゃんは、帰る場所のない子供が載る列車に乗るように言われ、いつの間にかホームにいた。その列車はまるで妖怪の列車で、これに乗ってはいけないと思ったくんちゃんはホームに赤ちゃんのミライちゃんを見つけ、自分がミライちゃんの兄だと叫ぶと、アナウンスが流れ、未来のミライちゃんが助けにやって来た。
駅から脱出した二人は、中庭の樫の木の中の記録を辿り、過去や未来へ飛び、ミライちゃんの住む「今」で別れ、自分のいる時間へ帰った。そしてあの古びた駅舎で自分を叱ったのは、未来の自分だと知った。
気がつくと両親はまだ車の荷積みをしていて、これから出発するところだった。
以上、映画「未来のミライ」のあらすじと結末でした。
映画「未来のミライ」の考察:呼び名と役割
この作品の中には、「名前」が出てこない。「おかあさん」、「おとうさん」、「ばあば」、「じいじ」等役割ので呼ばれる。主人公の「くんちゃん」はたしかに「くん」という名札があるが、ちゃん付けで呼ばれているのであだ名のように聞こえる。主要な登場人物で名前がはっきりしているのは妹の「未来」と犬の「ゆっこ」のみ。目下の者の目線に立って役割で呼ぶと言うのは日本語ではよくあることで、不自然さは感じない。むしろこの習慣が後々の帰る場所のない迷子騒動の引き金になる。
ラストで、両親がそれぞれ、ちゃんと「おかあさん」と「おとうさん」に自分たちはなれているかと互いに話す場面に、役割で呼ぶ大切さと日本の家族のありかたの一面を垣間見る。
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