モリのいる場所の紹介:2017年日本映画。「画壇の仙人」との異名を持つ画家・熊谷守一(1880~1977)。彼が晩年の30年間をほとんど外に出ずに過ごした東京の自宅を舞台に、彼と妻とのある1日を史実とフィクションを織り交ぜて描いたヒューマンドラマです。
監督:沖田修一 出演者:山崎努(熊谷守一)、樹木希林(熊谷秀子)、加瀬亮(藤田武)、吉村界人(鹿島公平)、光石研(朝比奈)、青木崇高(岩谷)、吹越満(水島)、池谷のぶえ(美恵)、きたろう(荒木)、林与一(昭和天皇)、三上博史(知らない男)、嶋田久作(文部大臣)ほか
映画「モリのいる場所」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「モリのいる場所」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
モリのいる場所の予告編 動画
映画「モリのいる場所」解説
この解説記事には映画「モリのいる場所」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
モリのいる場所のネタバレあらすじ:起
1974年(昭和49年)、東京。
とある美術館で開かれた展覧会。「伸餅」とのタイトルがついた絵を目にした昭和天皇(林与一)は思わず「これは何歳の子が描いたのか?」と質問しました。
「伸餅」の作者である御年94歳の画家・熊谷守一、通称“モリ”(山崎努)は東京にある自宅から約30年近くほとんど外に出ることなく、小さな庭で草花や昆虫など小さな自然を観察するのが日課となっていました。76歳になる妻・秀子(樹木希林)とは連れ添ってかれこれ50年、長年かけてじっくりと味わいを増した生活道具に囲まれて暮らす夫婦の日課と言えば、ルール一切無視の碁に興じることでした。
そんなある日、長野・蓼科にある旅館「雲水館」の主人・朝比奈(光石研)が、モリに看板を書いてほしいと依頼してきました。最初は断ったモリも朝比奈が遠路遥々と駆け付けてきてくれたことから依頼を受けることにしました。しかし、モリが書いたのは「雲水館」ではなく、自らの座右の銘である「無一物」でした。秀子曰く、モリは気に入った言葉しか書かないのだそうです。
モリのいる場所のネタバレあらすじ:承
モリの家では、画商の荒木(きたろう)や家事を手伝ってくれるモリの姪の美恵ちゃん(池谷のぶえ)らがモリと朝比奈とのやり取りを見ていました。その中になぜかこの場の誰も知らない謎の男(三上博史)が紛れ込んでおり、「モリが書いてくれるなんて凄いじゃないか」と言うなりその場から姿を消しました。
モリの家の表札はよく何者かに盗まれるようで、美恵ちゃんは郵便屋にまた表札が盗まれたことを話すと、郵便屋は「先生が書いたものは高く売れますからね」と返しました。そこでモリは新しい表札を書くことになり、朝比奈が手土産で持ってきたまんじゅうの木箱の蓋に「豊島区千早 熊谷守一」と書き、今度こそ盗まれないように門の壁に釘で頑丈に打ち据えておきました。
モリのいる場所のネタバレあらすじ:転
朝比奈が帰っていった後、モリの家には彼を密着取材しているカメラマンの藤田武(加瀬亮)とアシスタントの鹿島公平(吉村界人)が訪れました。藤田と鹿島はそのままモリの日常の昆虫観察に付き添い、モリから「アリは左の第2足から歩き出す」という説明を受けていました。そこに文部大臣(嶋田久作)直々から文化勲章授与の電話が掛かってきましたが、モリはこれを辞退しました。
藤田と鹿島が帰った後、今度はモリの家の前に建設予定のマンションのオーナー・水島(吹越満)と工事現場監督の岩谷(青木崇高)が訪ねてきました。水島と岩谷は、建設予定地周辺に立てかけられているマンション建設反対の立て看板をどうにかしてほしいと要請しに来たのです。モリはトイレに隠れたため代わりに秀子が応対、モリを慕っている若手芸術家がやっていることなんでどうにもできないと回答しました。岩谷がトイレを借りようと家に上がり込んだところ、トイレに隠れていたモリと遭遇しました。岩谷は幼稚園に通う息子が書いた絵をモリに見せ、才能があるかどうか見てもらったところ、モリは「下手だ。ただ下手も絵のうちだ」と評しました。
モリのいる場所の結末
モリは岩谷に見せたいものがあると言って庭に連れて行き、そこで自ら30年かけて掘った穴を見せました。驚く岩谷に、モリはマンションが建ったら陽が差すのがここだけになるから埋めようと思うと言い、どれくらいの土の量が必要か見積もってもらいました。
日が暮れ、水島と岩谷が帰っていくと、美恵ちゃんが夕食にと肉を買ってきました。しかし、あまりにも安かったのでつい大量に買い過ぎてしまい、とてもモリと秀子、美恵ちゃんの3人だけで食べ切れる量ではありません。そこで秀子はマンション建設の作業員たちを自宅に招き、せっかくだからと美恵ちゃんとともに夕食を振る舞いました。作業員たちが食べ終えて家を後にしたあと、ただ一人だけその場に残った人がいました。よく見ると作業員ではなく、モリが午前中に雲水館の看板を書いていたときにいた知らない男でした。知らない男の正体は何と宇宙人であり、男はモリに「宇宙に行かないか?」と誘いましたが、モリは「自宅の庭で十分」と言うと男は帰っていきました。夜も更け、ようやく夫婦二人だけの静かな時間が訪れました。そして朝になり、またいつもの日常が始まります。
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