紙の月の紹介:2014年日本映画。直木賞作家である角田光代の長編小説「紙の月」が原作。宮沢りえが演じる一見小心者で控えめな印象の主婦が、契約社員の銀行員となり、年下の男性との関係に溺れていき、最初は少しずつだが、徐々に巨額の横領に手を染めていってしまうサスペンス。
監督:吉田大八 キャスト:宮沢りえ(梅澤梨花)、池松壮亮(平林光太)、石橋蓮司(平林孝三)、田辺誠一(梅澤正文)、大島優子(相川恵子)、近藤芳正(井上祐司)、小林聡美(隅より子)、中原ひとみ(名護たまえ)、平祐奈(中学時代の梅澤梨花)、ほか
映画「紙の月」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「紙の月」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
「紙の月」の予告編 動画
映画「紙の月」解説
この解説記事には映画「紙の月」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
「紙の月」のネタバレあらすじ:起
オルガンの音色に合わせて女子中学生たちがキャンドルを持ち、学校の礼拝堂でクリスマスの讃美歌を歌っている。一人教室でお金を数えて封筒に入れる長い髪の女生徒。
それから十数年が経った1994年。朝の通勤電車。自分の降りる駅で夫と別れ、ホームに降りたのは、あの長い髪の女生徒が成長した姿。結婚し、名前は梅澤梨花(宮沢りえ)という。元々は普通の主婦だったが、パートで入った銀行で最近契約社員となり、外回りの営業を担当していた。自転車で裕福な高齢者の顧客回り、金融商品を販売したり、預金を預かったりしていた。
前任者から引き継いだ、いやらしい目つきの平林(石橋蓮司)という老人の家を訪ね、国債を勧めるが、前任者と言うことが違うと苦情を言われる。しかし、平林は最終的に国債を買うことにするが、手続きの前にお茶を入れろという。前任者は入れたぞ、と。台所でお茶を入れる梨花の肩に平林が手を置こうとしたとき、平林の孫で大学生の光太(池松壮亮)が現れ「大丈夫ですか」と声を掛け、難を逃れた。
「紙の月」のネタバレあらすじ:承
契約社員になり大きな契約を取った記念に、夫・正文(田辺誠一)と自分にペアウォッチを買って帰った梨花だが、時計を見た夫は「ゴルフの時に着けるよ」と、あまり喜んでくれたようには見えない。彼は仕事で上海と関わっており、すぐに席を立ち、奥のソファーで中国語を勉強し始めた。梨花には満たされない思いが残った。
そんな時、平林の孫、光太と駅の改札ですれ違い、「一度お会いしましたよね」と声をかけられる。梨花の美しい顔が忘れられなかった光太は改札を再び入り、梨花をホームに追いかけ同じ車両に乗る。梨花はそれに気づくが、自分の駅で降り、光太もそれ以上は追わなかった。
しかし後日再び駅のホームで偶然会った二人は、無言のままホテルに向かい、関係を結ぶのだった。梨花が家に帰ったのは朝方だったが、梨花の夫、正文は、ちょうど上海出張で、それよりも後に帰宅したため、梨花の朝帰りはバレなかった。正文は上海土産に先日の時計よりも高価な時計を免税店で買い、梨花にプレゼントしたが、当然梨花の心に響く贈り物ではなかった。
「紙の月」のネタバレあらすじ:転
梨花と正文には子供がおらず、正文は上海に転勤となるので梨花についてきてほしかったが、梨花は仕事が忙しいといって上海行きを断る。2年間の海外転勤中に、梨花は光太との関係に溺れていく。光太が平林から学費を借金していることを知り、光太に200万を渡すために顧客から預かった金を着服する。夫の居ない家は梨花が証書を偽造するための散らかったオフィスのようになっていた。梨花の服装も化粧もだんだん派手になっていった。同僚の相川恵子(大島優子)に「身に着けるものとか、見張られてますよ」と忠告される。恵子は無邪気に人様のお金を扱っているとおかしくなりそう、悪いことしないように私の手を見張っててくれませんか、などと言ったり、次長の井上(近藤芳正)と不倫関係にあることなどを梨花に打ち明ける。
「紙の月」の結末
そんな折り、梨花と光太の逢瀬の場所だったマンションに、光太が若い女性を連れ込んでいるところに出くわし、梨花と光太の関係は終わる。梨花の横領に薄々感づいていた行員歴25年の隅より子(小林聡美)は、次長にそのことを話し、次長は梨花を問いただすが、次長と相川の関係はバラさないからと次長を脅し、梨花はその場を何とか凌ぐ。横領した金額を返すために、今度はまた「プラチナ金利」などの嘘のチラシを作り、顧客から金を預かり、それを着服することで、雪だるま式に横領額が増えていき、消費者金融にも頼ろうとするが思いとどまり、正直に次長や隅に打ち明ける。隅は穏やかに、「自分があなただったらどうするだろうと考えてみた」と語りかけた。「私が自分よりみじめな立場になったら、優しくするんですか?」と梨花。隅は「お金でやりたいことを全部やったあなたから見たら、私のほうがみじめじゃないの?」と言い返す。梨花は2階の会議室の窓ガラスに椅子を投げて割り、そこから逃走する。
ラストシーン。梨花はどこか東南アジアの国に居た。中学生のときに寄付によって貧しい子供を助けていた国だ。学校のシスターが呼び掛けたその小さな寄付活動は、どこか当初から感覚が狂っていた梨花によって中止となった。梨花が父親の財布から盗んだ大金を寄付していたためだ。この国に逃亡してきた梨花の目の前には、梨花が助けていた子供が成長し、果物売りをしていた。彼は、茫然と立ち尽くし、言葉も通じない様子の梨花に、りんごを恵んでやる。そのりんごにかぶりつく梨花の姿で物語は幕を閉じる。
以上、映画「紙の月」のあらすじと結末でした。
「紙の月」感想・レビュー
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最後 梨花が助けた少年はもちろん梨花の事を知る訳もなく
梨花がりんごをかじる瞬間ちょうど警官が2人先から来ていて
助けた少年はりんごの代金を払わず去っ梨花の事をその警官に告げ
あの後警官に捕まり日本からの逃亡者
だとわかったのではないかと想像したた。
女優陣がすごい。
あの宮沢りえが、最初はとてもまじめで地味な主婦にみえるのもすごいし、それが犯罪を重ねるにつれ、どんどん妖艶になって行く様もさすが。
小林聡美の静かに追い詰めて行く演技もすばらしく、どちらにも感情移入してしまう。
誰でも犯罪者になってしまうかもしれないと思わされる。