愛のめぐりあいの紹介:1995年フランス,イタリア,ドイツ映画。作品の構想を練る旅をする映画監督を案内役とした4話からなるオムニバス映画。病気で再起を危ぶまれていたミケランジェロ・アントニオーニがヴィム・ヴェンダースの補佐を得て久々に送り出した作品。本編4つをアントニオーニが、プロローグ、各話のつなぎ部分、エピローグをヴェンダースが演出した。日曜画家とその友人という役でマルチェロ・マストロヤンニとジャンヌ・モローが友情出演。R-15指定。
監督:ミケランジェロ・アントニオーニ 出演者:ジョン・マルコヴィッチ(映画監督)、キム・ロッシ=スチュアート(シルヴァーノ)、イネス・サストル(カルメン)、ソフィー・マルソー(港町の女)、キアラ・カゼッリ(イタリア人の女)、ピーター・ウェラー(アメリカ人の男)、ファニー・アルダン(パトリツィア)、ジャン・レノ(妻に逃げられた男)、ヴァンサン・ベレーズ(青年)、イレーヌ・ジャコブ(教会に行く女)ほか
映画「愛のめぐりあい」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「愛のめぐりあい」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
愛のめぐりあいの予告編 動画
映画「愛のめぐりあい」解説
この解説記事には映画「愛のめぐりあい」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
愛のめぐりあいのネタバレあらすじ:第1話 ありえない恋の物語
一つの作品を完成した映画監督が、次の作品の構想を練るために濃い霧の立ち込めるフェラーラに来たのは、友人から聞いた物語のせいである。
排水管技師のシルヴァーノは、仕事で来た田舎町で一人の女性にお勧めの宿を尋ねる。その宿にはカルメンという名で教師だというその女も泊まっていた。二人は散歩の途中にキスを交わし、夜、お互いのことを思いながらも、各々の部屋に眠った。翌朝、シルヴァーノが目覚めると、彼女は宿を出た後だった。その後二人は会うことがなかった。
数年後、二人はフェラーラの映画館を出たところで再会する。あの晩、あなたのことを待っていたと言うカルメン。二人は彼女の広いアパートに行く。カルメンはそこで1年間、恋人と暮らしてきたと言い、10日前に恋人から来た手紙を暗唱する。女はことばが欲しいものよ、と言われて、いたたまれずシルヴァーノはアパートを出るが、思い直して引き返す。
二人は裸で向き合う。だがシルヴァーノの手も唇も、カルメンの皮膚を囲む空気をなぞるばかりで、彼女に触れることがない。とうとうシルヴァーノは立ち上がり、外で一度、彼女のいる窓を見つめてから去っていった。彼は手に入らない女を愛し続けたという。
愛のめぐりあいのネタバレあらすじ:第2話 女と犯罪
曇天の日、監督は浜辺の遊園地に来た。一枚の絵ハガキを拾う。
ストーリーを求めて来た、絵ハガキの中の港町ポルトフィーノの路地で、監督は若い女に偶然出くわし、彼女が働く店まで彼女を尾行して、無言のまま店から出る。
別の日、海辺のカフェの屋外のテーブルにいた監督を見つけた女が話しかけてくる。私は父親を殺した、12回刺したと。それは1年前のことで、3か月拘置所にいたが裁判で無罪になったと言う。その後二人は女の部屋のベッドの上で裸になり激しく抱き合った。
「なぜ殺した」という問いの答えを得られないままに監督は女の部屋を後にする。プールの側で「12」という回数の意味について考えた後、監督はこの町をもう去らなければならないと感じる。
愛のめぐりあいのネタバレあらすじ:第3話 私を探さないで
パリのカフェで、イタリア人の女がたまたま居合わせたパリに住むアメリカ人の男に話しかけ、彼女が読んだメキシコの、魂が追い付けないせいで自動車を停めたタクシー運転手の話をする。3年後、男の妻パトリツィアは、魂の女との関係解消を夫に求める。酒に溺れる妻を見て、今度こそ女と別れると約束した。だが女のアパートで、3年間妻と寝ていないと言う男に女は、自分は3年間男についているパトリツィアの匂いに耐えてきたと不平を言う。結局男は彼女の体を貪る。
ある男がアパートに帰ると、ほとんどの家具が消えていた。電話が鳴り、「私を探さないで」と言うだけで切れる。愛人の元に去った妻のクレアからだった。そこへドアをノックして入って来たのはパトリツィア。彼女はクレアが出した新聞広告を見てこの部屋を借りたのだった。
男は最初パトリツィアを追い返そうとするが、境遇を知って同情し部屋を使わせることにする。そこにまた電話が鳴る。夫からの電話にパトリツィアは「私を探さないで」とだけ答えて受話器を置く。
そのころ、映画監督は考えることに疲れ、列車の車窓から外を見たり本に目を通したりしている。彼のいるコンパートメントに乗り込んできた女性の携帯電話が鳴り、彼女は「二度と電話しないで」と言って切る。
愛のめぐりあいのネタバレあらすじ:第4話 死んだ瞬間
映画監督はホテルの壁にかかる絵を見ていたが、設計事務所の住所をフロントで尋ねた青年が気になる。ホテルの向かいにある設計事務所から出てきた青年は、入り口で出くわした若い女を追う。
教会へ行くと言う彼女に、彼はしきりと話しかける。厭世的なことを話すが満ち足りた微笑を浮かべる女。君は誰かに恋している、満足しているから人を遠ざけるのだろうと青年が言うと、彼女はそれを肯定する。
教会で、ミサが終わるのを待とうと青年は座るが、いつしか眠ってしまう。目を覚ますと会衆は一人もいない。外は既に暗くなっていた。だが、彼女は広場の噴水の側にしゃがんで花の形を指でなぞっていた。
雨が降り始め雷が鳴るが、恋に落ちた青年は彼女のことをもっと知りたいと願い、彼女が歩くのについていく。とうとう彼女の部屋の前まで来て、「明日も会えるね?」ときくと、彼女は「明日、修道院に入るの」と答える。
雨の中を歩き去る青年の後ろ姿を監督は見送り、様々な人が泊まるホテルに入っていく。
以上、映画「愛のめぐりあい」のあらすじと結末でした。
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