静かな雨の紹介:2019年日本映画。直木賞作家の宮下奈緒のデビュー作品を映画化した作品。事故による後遺症で記憶を一日しか維持できなくなったこよみと、彼女を愛する主人公の行助がおだやかに過ごすも、少しずつ疲弊し、ぶつかる二人の行方を描いています。
監督:中川龍太郎 出演:仲野太賀(行助)、衛藤美彩(こよみ)、三浦透子(斉藤真理)、坂東龍汰(男子高校生 木村)、古舘寛治(医者)、川瀬陽太(パチンコ屋の店長)、河瀬直美(こよみの母)、萩原聖人(牧原貴志)、村上淳(酔っ払いの親父)、でんでん(教授)、ほか
映画「静かな雨」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「静かな雨」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「静かな雨」解説
この解説記事には映画「静かな雨」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
静かな雨のネタバレあらすじ:起
大学の研究室で働く行助(仲野太賀)は、生まれつき足が麻痺しているため、うまく歩く事が出来ません。とはいえ、行助はそれを言い訳にせず、自分の仕事を全うしています。
ある日、行助はパチンコ屋の裏のたいやき屋に顔を出し、そこで屋台を切り盛りしているこよみ(衛藤美彩)と出会います。思わず声をかけてしまった行助、以降二人は仲良くなり、やがて互いに惹かれ合っていきます。
そんな幸せがいつまでも続くと思っていました。「じゃあまた」と去っていく行助、そこには静かな雨が降っていました。
ある日、突然行助の元に連絡が入ります。こよみが事故に遭ったとの一報でした。意識が戻らない中、寄り添う行助。
静かな雨のネタバレあらすじ:承
目を覚ましたこよみは、いつものように挨拶をします。しかし、こよみは事故以前の記憶があるものの、事故以降の記憶は1日しか記憶できないという障害を負ってしまうのです。
つまり、行助との思い出は記憶されないということでした。しかし、たいやき屋に通いつめ、こよみに覚えてもらった行助だから1日1日共に過ごす事ができるのではないか、そう考えた行助は、こよみと暮らす決意をします。
朝目覚めると「ここゆきさん家?」、窓を見て「雨上がったね」から毎日が始まります。それに対し行助は「少し長くなるけど聞いてくれる?」とこよみに説明を始めるのです。
やがて、こよみはたい焼き屋に戻り働き始めます。これは事故以前なので、こよみはすぐに日常に戻り、問題なく仕事をこなすのでした。
静かな雨のネタバレあらすじ:転
ある日、行助がたい焼き屋に立ち寄ると、こよみと親しげに話す男がいました。どうやら元彼のようです。元彼の記憶はあるのに、自分の記憶は1日経つとすぐに忘れてしまう、行助の中に嫉妬と不安が巡ります。
そして、毎日のように行助が嫌いなブロッコリーを出される事に、つい「ブロッコリーは好きじゃない!」とこよみにそのイライラをぶつけてしまうのでした。こよみにとっては仕方のないこと…。しかし、傷ついてしまったこよみはとっさに家を飛び出してしまいます。
一人残された行助、冷静になり、ふと目をやった先にノートがありました。そこには「ゆきさんはブロッコリーが嫌い」と書いてあったのです。よく見てみると、あちこちにこよみが記憶を留めるためのメモが貼られています。それを見た行助は、雨が降っているにも関わらず飛び出していきました。
静かな雨の結末
いくら探しても見つからず、思いつく限りの場所を探し、月の見える川辺でしゃがみ込んでいるこよみを見つけました。行助の脳裏に教授の言葉が過ぎります。記憶は頭だけではなく内臓でも出来るのではないか?特に味覚。記憶になくとも味は覚えている、そんなこともあるのかもしれない…。
こよみは初めて行助に会った時の事を話しました。行助の目が好きなんだと言います。こよみに残る記憶の中には確かに行助がいる。忘れてしまうことがほとんどだけど、行助の中には希望が生まれました。
仲直りした二人。並んで座り、美味しそうにたい焼きを頬張ります。
以上、映画「静かな雨」のあらすじと結末でした。
幻想的な雰囲気・精密なカメラワーク・世界観にフィットする迫力ある音楽を兼ね揃えた映画作品です。改めて映画とは様々な要素が一つに集結して巨大な作品ができあがるのだというのを再認識させられます。行助が足不自由になった理由・毎朝忘れてる彼女に伝える方法など説明されていないところ、余白の多い映画ですが、むしろそこが日本らしい映画だと感じます。