台北に舞う雪(台北飄雪)の紹介:2009年中国,日本,香港,台湾映画。台湾北部のローカル線の終着駅周辺を舞台に、声が出なくなった大型新人の女性歌手とこの町で孤児として育った青年との出会いとほのかな恋を描きます。『山の郵便配達』『故郷の香り』などを手がけた中国の巨匠フォ・ジェンチイ監督がメガホンを執っています。
監督:フォ・ジェンチイ 出演:チェン・ボーリン(シャオ・モウ)、トン・ヤオ(メイ)、トニー・ヤン(レイ)、モー・ズーイー(ジャック)、ジャネル・ツァイ(リサ)、テレサ・チー(ウェンディ)、ほか
映画「台北に舞う雪」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「台北に舞う雪」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
台北に舞う雪の予告編 動画
映画「台北に舞う雪」解説
この解説記事には映画「台北に舞う雪」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
台北に舞う雪のネタバレあらすじ:起
台湾北部・台北県(現・新北市)の小さな町・菁桐(チントン)。この町にはシャオ・モウ(チェン・ボーリン)という青年が暮らしていました。モウは幼くして父を亡くし、母もモウを町に残して蒸発していました。その後、モウは祖母に引き取られたのですがその祖母も亡くなってしまい、孤児となったモウは町の人々の支えを受けながら生きてきたのです。モウはこの町で人々の様々な雑用を一手に引き受けながら生活していました。
ある日。この町を走るローカル線・平渓線の終着駅・菁桐駅に中国・青島(チンタオ)からやってきた新人女性歌手・メイ(トン・ヤオ)が密かに降り立ちました。モウはカフェで働くウェンディ(テレサ・チー)と会話をしていたところ、カフェの店主から酔っぱらった客に宿泊先を探してほしいと頼まれました。
その客は泥酔したメイであり、モウはひとまず馴染みの旅館を案内することにしました。その際、メイは掠れた声で自分は声が出ないと伝え、モウは何かあったら連絡してほしいと自分の電話番号をメイに教えて引き上げていきました。
現在売り出し中の大型新人であるメイは新曲発表直前という大切な時に急に声が出なくなってしまい、誰にも告げずに記者会見をキャンセル、部屋も引き払ってこの町に逃げ隠れるようにやってきたのです。都会のマスコミはメイの失踪を大々的に報じていました。
台北に舞う雪のネタバレあらすじ:承
メイはモウの計らいで、モウの知り合いの下宿屋に住むことになりました。モウはメイを行きつけの食堂に連れて行き、かつてこの食堂で働いていたことのあるモウは女将(チュワン・ワン)に頼まれて手伝いをすることになりました。その際、メイは「皿洗い募集」と書かれた張り紙を目にしました。
メイはモウと筆談でやり取りし、自分は歌手であること、声が出なくなったのは最近のことであることを明かしました。モウは医者を紹介すると告げましたが、メイはジェスチャーで食堂の女将にここで働かせてほしいと頼みました。女将はメイが新人賞を獲った有名歌手であることを知っており、一瞬ためらいましたが、メイの熱意に押されて2日ほど雇うことにしました。
その頃、芸能記者のジャック(モー・ズーイー)はメイの行方を必死で探していました。スクープを狙うジャックはメイが菁桐の旅館に泊まったという情報を掴み、菁桐の町で聞き込みを開始しました。途中でウェンディが働くカフェに立ち寄ったジャックは、そこにメイのサインがあるのを見つけ、ウェンディにメイの行方を尋ねましたが、ジャックの態度の悪さにイラついたウェンディはそんなことはいちいち覚えていないと冷たくあしらいました。それでもジャックは仕方なくこのカフェで待つことにしました。
一方、モウはメイを医者のマー(チン・シーチェ)の元に連れて行っていました。マーはメイの症状はストレスによるものであり、喉を休ませたらすぐに良くなると判断しました。
その頃、メイが所属する芸能事務所のプロデューサーのレイ(トニー・ヤン)は他の歌手からメイの喉の症状を聞き出していました。レイはこのことを知っていたスタッフのリサ(ジャネル・ツァイ)になぜメイを病院に連れて行かなかったのか問い質しました。
台北に舞う雪のネタバレあらすじ:転
ジャックはウェンディにぬいぐるみをプレゼントすることで懐柔し、彼女からモウの存在を聞き出しました。ジャックは毎日カフェの前を通るというモウを辛抱強く待つことにしました。
モウはメイの下宿屋の大家から屋根の鳥のフンの始末を頼まれました。モウがホースで流した水は、部屋にいたメイにとってはまるで雨のように見えました。メイは密かにレイに淡い想いを抱いており、以前レイが雨を見ながら「雨は哀しいな」と言っていたことを思い出していました。
やがて菁桐の町にも天燈祭の季節がやってきました。ジャックはウェンディを通じてモウに近付き、遂にメイの居場所を突き止めました。しかし、ジャックが書いたメイの記事は編集長からもっと有名な人のスクープを持ってこいと一蹴され、ジャックはリサにメイの居場所を教えました。
天燈祭の当日。レイはリサやジャックと共に祭の会場を訪れました。すっかり喉の調子が良くなったメイは特設ステージに上がり、美声を披露してモウら町の人々を魅了しました。レイやリサ、ジャックもメイの歌に酔いしれていました。
歌い終えたメイはレイと再会を果たし、メイたちはモウを残してウェンディのカフェに向かいました。一人取り残されたモウは食堂の女将から「どうにもならないこともある」と慰められました。
その後、モウが会場の後片付けをしているところにメイが戻ってきました。モウはメイに失踪した母の話をしました。モウはかつて、祖母から台北に雪が降ったら母が帰ってくると聞かされており、それ以来ずっと雪が降るのを待ち続けていました。
しかし、いくら待っても温厚な気候の台北には雪など降らず、モウはようやく雪が降らないということは母はもう二度と戻ってこないことを意味しているのだと悟りました。既にこの町を出ていく決心を固めていたメイは、モウに「あなたを忘れない」と伝えました。
台北に舞う雪の結末
その頃、ジャックはウェンディのカフェで、ウェンディにモウとメイに対して申し訳ないことをしたと語りました。ジャックはメイがモウに想いを寄せていたことに気付いており、もしメイがモウと一緒になるのなら間違いなくメイは幸せになれるが、レイと一緒にいることは間違いなく今後苦しむことになると考えていました。ジャックはウェンディもこの店も好きだと伝え、また来ると告げてカフェを後にしました。
モウは帰り道でジャックと遭遇しました。ジャックはモウに、レイを連れてきたことを恨んでいるかと訊き、しまいには俺を殴れと挑発してきました。モウとジャックは殴り合いになってしまいました。
翌日。メイの下宿にレイとジャックが迎えに来ました。モウはメイを見送ることはありませんでした。
メイがこの町を離れ、モウはいつもの日常に戻りました。そんなある日、モウはマーの家が火事に見舞われているのを目撃し、家の中に飛び込んでマーを助け出しました。その際、消防車が噴射する消火剤の泡がモウの目にはまるで雪が降っているかのように映りました。
時は流れ、メイは再び歌手として活動を再会していました。ある日、メイは再び菁桐の地を訪れました。ウェンディは恋人ができたのでこの町を離れることにしており、モウは母を探すために既にこの町を出て行ったことをメイに伝えました。
メイはしばしこの町でモウと過ごした日々を思い出していました。すると、メイの前には微笑みながら彼女を見つめるモウの姿がありました。
以上、映画「台北に舞う雪」のあらすじと結末でした。
この映画の感想を投稿する