ソロモンの偽証（前篇・事件）の紹介：2015年日本映画。宮部みゆき原作の現代ミステリーの最高傑作と謳われた小説ソロモンの偽証を映画化。クリスマスの朝、学校で転落死した男子生徒は自殺と断定されたが、殺人を目撃したという告発状が届く。さらに増える犠牲者とマスコミの過熱。そして、学校内裁判が始まった。
藤野涼子（藤野涼子）、神原（板垣瑞生）、三宅樹理（石井杏奈）ほか
映画「ソロモンの偽証（前篇・事件）」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ソロモンの偽証（前篇・事件）」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ソロモンの偽証（前篇・事件）の予告編 動画
映画「ソロモンの偽証（前篇・事件）」解説
この解説記事には映画「ソロモンの偽証（前篇・事件）」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ソロモンの偽証（前篇・事件）のネタバレあらすじ1
クリスマスの朝、記録的な大雪が降った日に、城東第三中学校の２年生、柏木くんが遺体で発見されました。第１発見者は、同じクラスの藤野涼子でした。警察は自殺と断定しましたが、間もなくして藤野涼子と学校に、「柏木くんを殺した人を目撃した」という告発状が届きます。容疑をかけられたのは、クラスメイトの３人の男子でした。また、担任の森野の家のゴミから、破られた告発状が見つかったことをマスコミが取り上げ、「自殺ではないのではないか」という報道が過熱していきます。森野は告発状の存在は知らない、と言いましたが、教諭たちにも信じてもらえず、学校を辞職します。
ソロモンの偽証（前篇・事件）のネタバレあらすじ2
藤野は柏木くんのことを思い出していました。容疑をかけられたクラスメイト３人は素行が悪く、三宅樹理と友人の松子に暴行をはたらくなどのいじめをしていました。藤野はその現場を見て見ぬふりをしたところで、柏木に声をかけられ「偽善者だ」と責められます。藤野はそれが忘れられず、死を意識したほどでした。
また告発状を書いたのは、実は三宅樹理と松子で、このいじめの復讐のために、柏木君を殺すところを見てもいないのに、３人の名前を記したのでした。警察の捜査により、この告発状を書いたのは樹里と松子ではないか、という推測が出て、保護者説明会では「告発文の内容はいたずらではないか」という話が出たと知ると、松子は樹里の下へ出かけます。しかしその帰り道、松子は車に挽かれ、帰らぬ人となります。樹里はそれがショックだったのか、声が出なくなりました。
ソロモンの偽証（前篇・事件）の結末
３年生の夏になった藤野涼子は、大人や警察の介入なしに、ただ事件の真実を知るために、学校内裁判をしないか、と２年生時のクラスメイトに呼びかけます。藤野が検事、柏木の小学生の時の友人・神原が、容疑をかけられたクラスメイトの弁護士、判事が井上、と決まりました。
そのころ、学校内裁判をメディアで取り上げるよう、樹里がマスコミにメールを打っているところを母親の三宅未来に見つかったところで、前編は終了します。
以上、映画 ソロモンの偽証（前篇・事件）のあらすじと結末でした。
続編の、ソロモンの偽証 後篇・裁判のネタバレあらすじと結末はこちら
ソロモンの偽証の出演者・監督
※柏木卓也（望月歩）…クリスマスの朝に死体で見つかる
※三宅樹理（石井杏奈）…告発状の出し主、大出が犯人と主張。
※大出俊次（清水尋也）…柏木殺害を疑われる不良で裁判の被告人
※藤野涼子（藤野涼子）…学級委員の優等生、検事。
※神原和彦（板垣瑞生）…柏木の小学校の時の友人、弁護人。
※野田健一（前田航基）…柏木の死体の第一発見者、弁護人助手。
※井上靖男（西村成忠）…優等生、裁判官(判事)。
※浅井松子（富田望生）…樹理の友人、交通事故で死亡
※森内恵美子（黒木華）…藤野涼子らの担任
※中原涼子（尾野真千子）…教師になった38歳の藤野涼子
※三宅未来（永作博美）…三宅樹理の母
※藤野剛（佐々木蔵之介）…藤野涼子の父で刑事
※藤野邦子（夏川結衣）…藤野涼子の母親
※津崎正男（小日向文世）…校長
※北尾（松重豊）…教師
ほか
監督：成島出
ソロモンの偽証（前篇・事件）のレビュー・感想
ソロモンの偽証 前篇・事件について、結論から先に言えば、非常に見応えのある日本映画だった。原作があまりに傑作だと、後追いとなる映画はどうしても不利なものだ。ましてや、文庫で全六巻、群像劇、さらに中学生達が主人公という原作を映画化するとは、そもそもが無理な話なのである。しかし成島出は、後篇で行われる裁判に物語を集約させるため、登場人物の役割を大胆に刈り込んでいく。結果、藤野涼子を柱としたドラマを選択する（その代償として、野田健一の背景が削られてしまうのだが）。となれば、涼子役の俳優に大きな責任が課せられるのは必然だ。映画の出来を左右する大役を、素人同然の中学生に託すのは、ある意味賭けのようなものだったのかもしれない。が、役名と同じ名を持つ新人・藤野涼子は、その期待に充分応えている。強い眼差しと凛とした姿勢で、映画をリードすらしているのだ。彼女と同じように、オーディションで選ばれた十代の俳優達が、実に輝いている。中でも、松子役の富田望生は、観客の共感を誘う素晴らしい存在感を放っている。そんな中学生達を、キャリアのある大人の俳優達が支えているのもいい。前篇、後篇、と分けての上映が主流かされつつある昨今ですが、前篇はどこまで後篇への期待値を上げることができるのか、そこが重要なポイントだと思います。その点ではこのソロモンの偽証は文句なしの良作です。原作は全六巻もある長編だそうですが、とても丁寧に細部まで緻密に計算されて作り上げられていると思います。ソロモンの偽証 前篇・事件は事件とその後の事象について描かれており、裁判は行われません。誰もが秘密を抱えていそうな、ミステリアスな雰囲気。さて、隠された真実とは一体なんなのか。それを自分なりに考察しながら後編への期待としたい。原作を大胆に刈り込んだと書いたが、映画オリジナルの展開も用意され、『ソロモンの偽証 前篇・事件』は、驚きと興奮に満ちた映画となっている。後篇が待ち遠しくてたまらない。
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