ソロモンの偽証(後篇・裁判)の紹介:2015年日本映画。宮部みゆき原作の長編推理小説を映画化した『ソロモンの偽証』の後編。「前編・事件」に続いて公開となった「ソロモンの偽証 後編・裁判」で、ようやくクリスマスに死んだクラスメイトの死の真相が明らかになる。この作品は4部門で日本アカデミー賞を受賞した。
出演:藤野涼子(藤野涼子)、三宅樹理(石井杏奈)、神原和彦(板垣瑞生)、大出俊次(清水尋也)ほか
映画「ソロモンの偽証(後篇・裁判)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ソロモンの偽証(後篇・裁判)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ソロモンの偽証 後篇・裁判の予告編 動画
映画「ソロモンの偽証(後篇・裁判)」解説
この解説記事には映画「ソロモンの偽証(後篇・裁判)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
映画はソロモンの偽証 前篇・事件から続きます。
ソロモンの偽証(後篇・裁判)のネタバレあらすじ1
いよいよ中学校での学校内裁判が始まりました。裁判には生徒だけでなく、亡くなった柏木(望月歩)や浅井松子(富田望生)の両親をはじめ、多くの父兄が観に来ていました。裁判は5日間にわたり、執り行われました。裁判への参加を嫌がっていた大出俊次(清水尋也)や三宅樹理も出廷します。
1日目は事件の概要が説明され、事件を担当した刑事が出廷しました。また、校長の津崎(小日向文世)も出廷しました。最初の事件の対処を誤り、他の生徒まで犠牲になってしまったことを詫びます。
ソロモンの偽証(後篇・裁判)のネタバレあらすじ2
2日目は退職した元担任の森内恵美子(黒木華)が出廷しました。森内は、告発文を受け取っておらず、隣人の女が郵便物を盗っていたこと、そしてその後、その女に頭を殴られて大けがを負ったことが明かされました。森内は、死んだ柏木の目が怖く、生徒と向き合う覚悟ができていなかった、と詫びます。
3日目は、三宅樹理が出廷します。樹理は、「浅井松子が、大出くんが柏木を殺したところを見て、告発文を書いた」と罪を擦り付けます。真実を話す、と藤野涼子と約束したのにもかかわらず、虚偽の告白をしたのです。
ソロモンの偽証(後篇・裁判)のネタバレあらすじ3
4日目は、大出のアリバイを崩す証人が現れました。大出の無実が事実上証明されたのですが、大出の弁護人である神原は、「殺人犯としてはめられたのはなぜか」と大出に問います。「いじめられた人の気持ちになったことがあるのか」と三宅樹理を庇うような発言をしたのです。裁判が進む中、藤野涼子は神原を疑い始めていました。柏木の通話記録にあった公衆電話の場所を調べ、それが神原と結びつくことを知ります。
5日目は論告の日でしたが、藤野涼子は新たに2人の証人を出廷させます。公衆電話で神原を見た、という証人と、神原でした。神原はそこで初めて、柏木との関係や、クリスマスの日のことを告白します。
ソロモンの偽証(後篇・裁判)の結末
クリスマス、神原は柏木に学校の屋上へ呼び出された。神原には、父親が母親を殴り殺して自殺したという辛い過去がありました。それを克服するため、柏木に「両親との思い出の場所を巡る」というゲームを提案され、それを成し遂げます。それにより辛い過去を克服したと告げます。柏木は神原が泣いて悲しむと思っていたが、神原は逆に幸せな思い出を思い出させてくれてありがとう、と感謝します。柏木が欲しかったのはそんな言葉ではなく、ゲームに失敗した神原の打ちひしがれる姿を見たかったのだ。腹を立てた柏木は神原を酷く汚い言葉で罵ります。神原は友人だと思っていた柏木に裏切られたことにショックを受け、彼を置いて帰ろうとする。帰ろうとする神原に柏木は、自殺する!と言うが、神原はそれを無視してその場を立ち去ります。そのあと柏木は自殺し、神原はそれを翌日知るのでした。
裁判の評決、それは大出は無罪というもの。そして神原は自分の責任を殺人罪として裁いてくださいと裁判官に言うが、涼子はそれに対して「ここにいる誰もあなたを裁くことはできない」と言う。こうして全ての真相が明らかになり、裁判は閉廷します。犯人は自殺をした柏木本人だったのです。
その回想を、38歳・教師となった中原涼子(旧姓:藤野)が母校の校長に話すのです。最後は、裁判で助け合ったクラスメイトがみんな笑い合って別れる、というシーンで終わります。
以上、映画 ソロモンの偽証のあらすじと結末でした。
前編の、ソロモンの偽証 前篇・事件のネタバレあらすじと結末はこちら
ソロモンの偽証の出演者・監督
※柏木卓也(望月歩)…クリスマスの朝に死体で見つかる
※三宅樹理(石井杏奈)…告発状の出し主、大出が犯人と主張。
※大出俊次(清水尋也)…柏木殺害を疑われる不良で裁判の被告人
※藤野涼子(藤野涼子)…学級委員の優等生、検事。
※神原和彦(板垣瑞生)…柏木の小学校の時の友人、弁護人。
※野田健一(前田航基)…柏木の死体の第一発見者、弁護人助手。
※井上靖男(西村成忠)…優等生、裁判官(判事)。
※浅井松子(富田望生)…樹理の友人、交通事故で死亡
※森内恵美子(黒木華)…藤野涼子らの担任
※中原涼子(尾野真千子)…教師になった38歳の藤野涼子
※三宅未来(永作博美)…三宅樹理の母
※藤野剛(佐々木蔵之介)…藤野涼子の父で刑事
※藤野邦子(夏川結衣)…藤野涼子の母親
※津崎正男(小日向文世)…校長
※北尾(松重豊)…教師
ほか
監督:成島出
ソロモンの偽証のレビュー・感想1
この数年を振り返ってみて、ソロモンの偽証ほど見応えのある日本映画が、はたしてあっただろうか。あまりのエネルギーに、いつしかスクリーンへと引きずり込まれてしまう、そんな錯覚を起こすほどだ。怒り、哀しみ、驚き、興奮し、涙し、そして胸震わせられる。そんな感情の数々が、中学生を演じる素人同然の十代の子供達によって引き起こされているということが、すごい。すごすぎる。映画に限らず、小説においても言えることだが、前振りに徹し無責任に盛り上げられる前半部分よりも、つじつま合わせを強いられる後半部分のほうが、ドラマは失速することが多いし、作る側からしても難しいものだ。この『ソロモンの偽証 後篇・裁判』も、そんな困難さに直面している。ソロモンの偽証の原作を読んだ観客なら、まるでダイジェストのようにあっけなく過ぎていく裁判シーンに不満を抱くだろうし、肝心要の柏木卓也の屈折と絶望はもっと深く描いてほしかったとも思う。しかし、そんな欠点も、1万人規模のオーディションから選ばれた子供達の熱演の前では霞んでしまう。彼女ら彼らの強く真剣なまなざしが、観る者の心を容赦なく射る。役になりきった彼女らの演技を超えた存在に、観客もただ座席に座っていることを許されない。観客は、映画の、ではなく、裁判の傍聴人として、想い、考え、涙し、感動するのだ。そんな映画が、ここ数年、いや、かつてあっただろうか。
ソロモンの偽証のレビュー・感想2
ソロモンの偽証は事件の残虐性では無く、登場人物の言動の不可解さが作品の緊迫感を高めていることに、そしてそれを演じているのが、ほとんど中学生であることに驚かされる。前編・後編併せて約4時間30分の大作だが、緊迫感は最後まで途切れることは無く、それは題材の魅力というよりも、むしろ1シーン、1シーンに自分の持てる力を全て注ぎ込んでいる、成島出監督の気迫によるものと思われる。また「現実をどうにか凌駕したい。」という願いが、随所に感じられる。その思いは、ラストに流れる音楽U2のWith or Without Youと呼応している。
ソロモンの偽証のレビュー・感想3
ソロモンの偽証は生徒が殺された殺人事件の真相を生徒自身が裁判で決着をつけよう、という物語。ソロモンの偽証の後編は裁判の準備から裁判が終わるまでとその後が描かれています。学校で裁判をやるなんてこと自体リアリティはまるでないんだけど、裁判で描かれている内容自体はすごくリアリティなんだよな。なんか子供の頃の大人や世間に対する苛立ちとか、大事なことは未来じゃなくて今なんだ、今知りたいんだ、今守りたいんだ、今やらないと後悔するんだってとこ。「今でしょ!」とはよくいったもので、大人って子供には二度と戻れなくて自分があのときこうしておけばよかったって後悔したことを子供にしてほしくないからそれを止めようとするんだけど 子供のとききづかなった自分もわかっているはずなんだけどね。なんかそんな青春時代の思い出というかああ自分もこうだったなというのが思い出されました。2015年の映画の中でもソロモンの偽証は心に残る作品になるでしょう。
ソロモンの偽証のレビュー・感想4
ソロモンの偽証の後編、遂に前代未聞の学級裁判が開廷、と思いきや後編に突入しても裁判なかなか始まらず焦らしが続くのだけど目玉の裁判シーンは意外にあっさり風味だったというね… 驚愕の真相と謳ったわり真実については肩透かしというか無難に纏めたなというのが率直な感想でミステリー映画としては地味過ぎる。飽くまで学級裁判というシチュエーションが本作、ソロモンの偽証の醍醐味であり、それに関わる人々の多種多様な主張とそれぞれの立場を曝け出させる為の舞台装置のようなものだった。ただ人物の掻き分けは見事で決して一方的な主張で終わらせていないのがミソ。嵌められた不良少年にしても、告発文を投稿した樹理にしても、事件に執着する他中学の神原にしても、それを見守る大人たちも、主演の藤野にしたって、夫々の思惑を胸に秘め爆発させるという、収集がつくなくなりそうな混沌な状況を、綺麗に纏めたのは本当に素晴らしい。ソロモンの偽証はミステリー映画としては疑問が残るけど群衆映画としは近年では抜きん出た完成度だったと思う。ということで自分はかなり満足してます。ただ謎の死を遂げた柏木君の肉付けが浅かったかなと思うけど…。嘘つきは大人の始まりということで、ラストの意味深な終わり方は面白い。今でも友達とは言ってたけどあれは本当なのか嘘なのか。まぁそのままの意味だと思うけどね。
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