ビルマの竪琴の紹介:1985年日本映画。ビルマ(現在のミャンマー)で亡くなった日本兵を鎮魂するために現地の僧侶となった、竪琴の名手である日本兵の物語。1956年に作られた映画の脚本を元にしており、同じ監督によって製作されている。原作は評論家の竹山道雄が執筆した児童向けの文学作品で、彼は毎日出版文化賞と、芸術選奨文部大臣賞を受賞した。
監督:市川崑 出演者:石坂浩二(井上隊長)、中井貴一(水島上等兵)、岡田上等兵(小林稔侍)、北林谷栄(物売りの老婆)、菅原文太(三角山守備隊隊長) ほか
映画「ビルマの竪琴」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ビルマの竪琴」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ビルマの竪琴の予告編 動画
映画「ビルマの竪琴」解説
この解説記事には映画「ビルマの竪琴」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ビルマの竪琴のネタバレあらすじ:起
1945年7月、日本軍はイギリス・インド連合軍に対し苦戦を強いられており、音楽学校を卒業した音楽家の井上隊長(石坂浩二)率いる部隊は交戦国でないタイへ入国しようとしていました。彼の部隊の隊員である水島上等兵(中井貴一)は竪琴の名手であり、部隊はしばしば彼の奏でる竪琴に合わせて合唱をして疲れを癒し、団結力を高めていました。ある日、部隊はとある村で休息をすることになりますが、そこへイギリス軍がやって来ます。日本が降伏して停戦状態になっていたことを知った彼らは武器を捨て、イギリス軍の捕虜になるのでした。次の日、イギリス軍から三角山に潜伏している日本兵たちを説得する任務を与えられた水島は、ムドンの捕虜収容所へ送られる井上隊長と仲間たちと別れて一人山を目指します。潜伏している部隊に合流した水島は、必死の説得を試みますが、彼らは応じようとしません。結局、交渉の時間切れとなり、イギリス軍は砲撃を開始。水島以外の兵士たちは全員死亡してしまいます。
ビルマの竪琴のネタバレあらすじ:承
気を失った水島の元に、一人の僧侶がやって来ます。助けられた水島は、彼が沐浴している最中に僧衣を盗み、頭を剃って僧侶の格好をし、隊員たちのいるムドンへ向かいます。一方、井上部隊は水島が戦死したとの情報を聞き、悲しみに暮れるのでした。道中、各地で戦死した大量の日本兵の姿を目にした水島は、ようやっとムドンの収容所へと辿り着きます。部隊の仲間たちに会えることを喜ぶ水島ですが、ある日、亡くなった無名の日本兵に対して手厚く弔うイギリス人たちの姿を見て、目にした死体の姿がフラッシュバックしてショックを受けます。水島は橋の上で井上部隊と再会しそうになりますが、現地の僧侶のふりをして彼らと別れ、肩にオウムを乗せ、自分が見てきた日本兵の死体を弔い続けるのでした。
ビルマの竪琴のネタバレあらすじ:転
イギリス兵の慰霊祭に参列した井上部隊の隊員たちは、僧の行列の中に水島の姿を見つけますが、なかなか信じることが出来ません。体調は買い取ったオウムに「おーい水島、一緒に日本に帰ろう。」と教え、覚えさせることに成功しますが、水島のオウムは「ああ、やっぱり自分は帰るわけにはいかない。」と彼の独り言を覚えてしまうのでした。ある日、納骨堂にやって来た隊長は、日本式の納骨法を施した木箱を見つけ、あの日見た僧侶が水島だったことを確信します。隊員たちは水島のいる仏像の近くで合唱をしますが、その歌声に反応した水島は彼らの声に合わせて竪琴を弾いてしまいます。水島の名を叫ぶ隊員たちですが、水島は日本へ帰らない決意を固めており、泣く泣く彼らの呼びかけに応じようとしませんでした。
ビルマの竪琴の結末
井上部隊は日本に帰れることになり、隊員たちは水島と共に帰ろうとします。日本に帰る前日、彼らのいる収容所に水島がやって来ます。合唱をする隊員たちの姿に心動かされた水島は、竪琴を弾いて応え、隊員たちは僧侶が水島であることを確信します。一緒に日本に帰ろうと説得する隊員たちですが、水島は泣きながら竪琴で「仰げば尊し」を弾いて立ち去ってしまうのでした。その後水島は、オウムと体調に宛てた手紙を物売りの老婆(北林谷栄)に託します。帰還の船上で体調はその手紙を読み上げ、彼の胸中とタイで正式な僧侶になったことを知った隊員たちは涙を流すのでした。
以上、映画「ビルマの竪琴」のあらすじと結末でした。
「ビルマの竪琴」感想・レビュー
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この映画、今こそ全世界の人たちと共にみたいものです。
第二次世界大戦が終戦間近のビルマ(現ミャンマー)を舞台に、戦争の悲惨さとその中にも音楽を通して得られる楽しみを著した竹山道夫原作の同名小説を市川混監督が映画化したものです。映画の全篇で問われるのは、人間は何か問題に直面した時、その解決に向かってどこまで行動出来るのかということで、真剣に考えさせられる作品です。隊長役の石坂浩二の人情味溢れた役柄の魅力と、中井貴一演じる水島上等兵のビルマ僧侶になってまで、亡くなった日本兵の鎮魂への奉仕への気持ちと日本への帰国の願望に揺れる心の葛藤の演技はとても見事であり、その苦しみや悲しみを想像すると心が痛み感無量になります。また映画の中に流れる数々の日本の歌に、戦争映画だということを忘れてしまう効果は圧巻の構成となっています。終わりごろの仲間たちが捕虜収容所を去り、日本へ向かう日に訪れて来た水島上等兵が、竪琴で奏でる「仰げば尊し」のメロディーを聞いた時には感動で涙が止まりませんでした。古い映画ですが、ご家族でそろって見られることをおすすめできる最高の映画です。