ルパン三世 カリオストロの城の紹介:1979年日本映画。モンキー・パンチ原作のアニメ「ルパン三世」シリーズで劇場版第2弾。宮崎駿初監督作品でもある。世界を股にかける大泥棒ルパン三世。国営カジノから大金を盗み出すが、それは全て「ゴート札」と呼ばれる精巧な偽札だった。ゴート札の出処だと噂されている小国・カリオストロ公国を訪れたルパンは、国を手中に収めようとするカリオストロ伯爵と、それ故狙われている公女クラリスに深く関わっていく。
監督:宮崎駿 出演者:山田康雄(ルパン三世)、小林清志(次元大介)、井上真樹夫(石川五右エ門)、増山江威子(峰不二子)、納谷悟朗(銭型警部)、島本須美(クラリス・ド・カリオストロ)、石田太郎(カリオストロ伯爵(グラフ・ラザール・ド・カリオストロ))、ほか
映画「ルパン三世 カリオストロの城」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ルパン三世 カリオストロの城」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ルパン三世 カリオストロの城」解説
この解説記事には映画「ルパン三世 カリオストロの城」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ルパン三世 カリオストロの城のネタバレあらすじ:起
国営カジノから大量の札束を盗み、ご満悦のルパン一行。しかし、つい今しがた盗んできたそれを、ルパンが捨ててしまおうと言い出し驚く次元。
金は全て「ゴート札」と呼ばれ、その完成度の高さから裏社会では有名な偽札だった。至る所で出回っているゴート札の出処を突き止めるべく、ルパンと次元は札束を車からばらまきながら進路をとった。
ヨーロッパにある世界で一番小さな国連加盟国・カリオストロ公国。人口3500人の閑静な小国こそ、偽札が製造されている噂の絶えない国だった。
中心部に向かおうと車を走らせている途中で、花嫁姿の少女が黒服の男達に追われているところに出くわす。彼女こそカリオストロ公国の公女であり、今は亡き大公の血を引く唯一の一人娘クラリスだった。
ルパン三世 カリオストロの城のネタバレあらすじ:承
カーチェイスに参戦した二人は、黒服を退かせることには成功したが新たな追手が船で現れ、少女はすぐに捕まり連れ去られてしまった。己の失態に憤るルパンだが、その手には彼女が残していった銀色の指輪があった。指輪に彫られた山羊の紋章を見て、過去にクラリスと会っていたことを思い出す。
公国最後の後継者であるクラリスをめとって国を手中に収め、カリオストロの隠された財宝を手に入れようと画策していたカリオストロ伯爵。無理矢理手に入れられようとしている彼女を、ルパンは盗み出し救う決意をする。そこまでする理由が彼にはあったのだ。
ルパンがまだ一人で泥棒業をしていた頃、若気の至りでゴート札が製造されている噂のあったカリオストロ城に乗り込んだ過去があった。しかしすぐに侵入がばれてしまい、逃走の際に負った怪我で倒れていたところを、助けてくれたのが幼いクラリスだった。
斬鉄剣の使い手・五右エ門に協力を仰ぎ、更には自分がカリオストロにいることを流して銭型警部を呼び寄せたルパン。役者が揃い、ルパンは銭型に変装して騒ぎを起こしクラリスのもとへ急ぐ。
ルパン三世 カリオストロの城のネタバレあらすじ:転
単身で潜り込み、偽札を追っていた不二子に遭遇したルパンは、クラリスが高い塔に幽閉されていると聞き現場に向かう。外から屋根を伝い、塔の最上部に侵入したルパンはクラリスと再会するが、待ち構えていたカリオストロ伯爵の手により地下へ落されてしまった。
地下は、国の秘密を追ってそのまま帰ることのなかった者たちが400年間眠り続ける場所だった。同じように落ちて来ていた銭型警部と一時休戦したルパンは、進んだ先で遂に偽札工場を発見する。
何とか城を出たルパンだが、結婚式の日は目前に迫っていた。そこで、一芝居うつ計画を立てることに。結婚式当日、大司教に変装して城に現れたルパン。クラリスと、式で揃った金と銀の指輪を奪って聖堂を奪取する。カリオストロ伯爵の部下が襲い掛かるのを、次元と五右エ門が食い止めている間に城の中を進むルパンとクラリス。
一方その頃、銭型はテレビのレポーターに扮した不二子を連れてルパンを追いかける振りをしながら、ゴート札を作る偽札工場に向かっていた。偽札の証拠を掲げても動かなかった国連に一泡吹かせるべく、世界中継のテレビを使って動かざるを得なくして見せたのだ。
ルパン三世 カリオストロの城の結末
カリオストロ伯爵から逃げる二人だが、クラリスが追い込められ時計塔の針の上に来てしまう。彼女との交換を条件に、ルパンは奪っていた二つの指輪を彼に渡す。しかし、不意を突かれた二人はそのまま湖に落ちてしまった。
それを見届けたカリオストロ伯爵は、時計塔に指輪をはめ込み、隠された財宝を手に入れるべく動くが、突然動き出した針に潰されてあっけなくこの世を去った。
朝になり、湖から無事助かったルパンとクラリスは、仕掛けにより水の引いた湖底に沈む古代都市の遺跡を目にする。隠された財宝の正体に「大きすぎて俺のポケットには入らねえ」とルパンがぼやいた。
別れを告げようとするルパンに、クラリスは自分も連れていってほしいと懇願するが、ルパンは心を殺して願いを拒む。彼女には自由に生きてほしかった。
迎えに来た次元と五右エ門と合流し、ルパンは追いかけて来る銭型から逃げていく。「貴女の心を盗んでいった」と言う銭型の言葉を胸に、クラリスはいつかまたルパンに会える日を夢見るのだった。
以上、映画「ルパン三世 カリオストロの城」のあらすじと結末でした。
前作『ルパンVS複製人間』とは違う時系列の作品です。ギャグの中にシリアスあり、という感じですけど、ラスト周辺の描写力は見事でした。カリオストロとは実在した詐欺師であり、なかなかに痛快な人物であったらしいのですが、宮崎駿氏は悪の魅力溢れる人物として登場させてくれ、楽しませてくれました。偽札作りは実際には非常な努力を必要とし、物資の入手はもちろん容易ではなく(その国家が保持する最高技術の集合体ですから)、独自の流通ルートが無ければ実行は不可能なことですが、美術設定としては秀逸です。汚れなどのリアルな点も手を抜いていませんから。ローマの街が湖の底に隠されていたという結末は素晴らしいことでした。後の多くの作品のモチーフになりましたので。社会の暗部を鋭く描いた作品でした。クラリス姫は宮崎氏の女性像の典型でしたね。思いやりの心に溢れて芯の強さを持っている可憐な美少女。続編でのその姿を見たかった。でも中年になったルパンを見るのもどうもという気もします。思い出はやはり美しい方がいいということかもしれませんね。