東京オアシスの紹介:2011年日本映画。小林聡美を主演に迎えて、東京で生きる人々の姿を描いた人間ドラマ。深夜の高速を車で走る男や映画館で働く女性、それに動物園にアルバイトの面接に来た女性など、どこか別の場所を求めてさまよう人々とヒロインとの姿をやさしい視線で追った物語です。
監督:松本佳奈、中村佳代 出演:小林聡美(トウコ)、加瀬亮(カガノ)、黒木華(ヤスコ)、原田知世(キクチ)、森岡龍、大島依提亜、光石研、市川実日子、もたいまさこ、ほか
映画「東京オアシス」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「東京オアシス」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
東京オアシスの予告編 動画
映画「東京オアシス」解説
この解説記事には映画「東京オアシス」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
東京オアシスのネタバレあらすじ:起
深夜の国道沿いにあるコンビニで、アイスクリームを買って食べていたナガノ(加瀬亮)は、走るトラックへ向かって駆け出す喪服を着た女・トウコ(小林聡美)を見つけます。ナガノは思わず走り出し、見事な回転レシーブによって彼女を助けることができました。
すると、「回転レシーブをしましたよね…」と、笑い出すトウコ。ナガノは「危ないじゃないですか!」と怒ります。車に乗り込もうとするナガノに、トウコは「乗せてください!」と走り寄ります。ヒッチハイクではなかなか車が止まらず、飛び込もうとしたのだと説明するトウコ。ナガノは、「何で車に乗せないといけないんですか!」と怒り口調です。
「それに見ず知らずの男の車に乗ることを、怖くはないのですか?」と、ナガノは尋ねます。するとトウコは、「こんなにたくさんレタスのダンボールを積んでる人に、悪い人はいませんよ。」と答え、二人を乗せた車は高速道路へと進みだしました。
トウコが喪服を着ていることもあり、ナガノは「葬式の帰りですか?」と尋ねます。トウコはそれには答えず、どこへ行くのか尋ね返します。「僕は高速をおりるところまで乗ります。」と答えるナガノ。するとトウコは、どこで高速道路をおりるかわからないにもかかわらず「そこまで乗せていってほしい。」と頼むのでした。
しばらく沈黙が続き、トウコは自分は女優をしていると話し出します。コンビニの近くで映画の撮影があり、撮影の休憩中に衣装を着たまま現場から抜け出してきたと話すトウコ。その話を聞いていたナガノですが、腑に落ちません。すると「嘘つきました…」と明るくトウコが言い、その後は他愛もない話を始めました。どこかとらえどころのないトウコの話を、ナガノは半ば疑いながら聞くのでした。
東京オアシスのネタバレあらすじ:承
しばらくすると、トウコの話が途絶えます。ナガノが車のラジオを付けると、結婚詐欺師の話が話題になっていました。しばらくそのラジオを聞いていた二人ですが、急にナガノがラジオのチャンネルを変えてしまいます。トウコは「どうして変えるの?」と尋ねます。すると「自分が結婚詐欺師だから…」と言い出すナガノ。
二人は高速道路の途中にある休憩所で、きつねうどんを食べました。偶然にも同じメニューを頼んでいた二人。トウコは、ナガノにバレーボール経験者かと尋ねます。トウコもバレーボール経験者で、回転レシーブをして助けてくれたナガノに、「今は回転レシーブをしている人はいなくて、コートですると逆に目立ちますよ。」と教えてくれました。その後、駐車場でエアバレーボールをして楽しむ二人。次第に二人は打ち解けていきました。
再び車に乗り込んだ二人は、再び夜の高速道路を走り出します。夜が明けて、出口が見えて高速道路をおりることにしました。やがて車は夜明けの海岸へたどり着きます。朝もやのかかる風景の中、水平線のその先を見つめるトウコとナガノ。「これからどこに逃げるんですか?」とナガノは尋ねます。
トウコは、自分が目的としていたところはここで、ナガノはどこへ逃げるのか尋ねました。「僕はどこへも逃げたりしません。真剣にレタスを運ぶだけです。」と言い、二人は別れました。ナガノが車に乗り走り出すと、トウコが走って追いかけます。食べていたアイスを放り出して自分を助けてくれたナガノに、アイスクリーム代を払い、再び二人は別れるのでした。
東京オアシスのネタバレあらすじ:転
映画館で働くキクチ(原田知世)は、ある日映画を見終わったにもかかわらず、ベンチに腰かけたまま帰らずにいる、一人の老女に気が付きます。夜も遅かったため心配になったキクチは、同じ映画館で働く青年のヨシダ(森岡龍)に老女を家まで送っていってほしいと頼みました。
その後館内の見回りをしたキクチは、映画を見ながら眠ってしまったトウコの姿を見つけます。キクチとトウコは知り合いで、久しぶりの再会を果たしました。
この日は仕事終わりに食事をして、飲みすぎてそのまま映画館に立ち寄ったと話すトウコ。ある日突然姿を消したキクチのことを、トウコはずっと心配していました。かつてシナリオライターをしていたキクチは、ある日書き続けることに意味を感じなくなります。しかし仕事仲間からはそんな風に彼女はうつっておらず、他人からどう見られているのか気になっていたキクチは仕事から離れることで、ようやく解放されることができました。
そして、これまで見えなかったことが少しずつ見えてきたキクチ。仕事を辞めた後は外国に行くなどして、数年前に映画館で働き始めました。映画館ではトウコが出演した映画が上映されることもあります。
最近、シナリオを書いていた時のことを時々思い出すようになったキクチ。トウコは「また書いてみればいいよ。」とすすめます。「もう一度書けば、きっとうまくいくと思う。」と、トウコは笑顔で話すのでした。
トウコが帰った後、ヨシダが戻ってきました。老女を家まで送ったヨシダは、お土産にミカンをもらっていました。キクチとヨシダは、二人で並んでミカンを食べるのでした。
東京オアシスの結末
ある晴れた日、動物園のチケット売り場の面接を受けるヨシコ(黒木華)。アルバイト経験はなく、愛想のないヨシコは志望動機もまともにこたえられません。面接は早々に切り上げられ、その後ヨシコは動物園の中を見て回ることにしました。
ツチブタのオリの中をのぞくヨシコに、トウコが声を掛けます。「夜行性なので、エサやりの時しか見ることができないよ。」と、トウコが教えてくれます。エサやりの時間まで時間があったので、二人は他の動物を見ることにしました。
ヨシコはまだ見たことのないツチブタを想像して、スケッチブックに描いてみます。ヨシコの絵が上手でトウコは驚きますが、「無駄に絵がうまいんです…」と自虐的に答えるヨシコ。彼女はこれまで大学受験に5回も失敗しました。この日受けたアルバイトの面接も、多分落ちただろうと予想します。
トウコは子どもの頃によく動物園でわざと迷子になった話をしました。写真に凝っていた父親にポーズを求められることが嫌で、逃げていたトウコ。「最近も逃げ出したことがある」と言います。「子どものころとは違って、大人になると一人で行って一人で帰ってくることになったけど…」と、トウコは切なそうに語るのでした。
その後、二人で鳥を見ました。檻に入れられた鳥を見て、かわいそうだと思うヨシコですが、トウコは「意外と逃がしても、同じ場所に帰ってくるかもね。」と言いました。その後、ツチブタのエサやりを見るために戻ったのですが、結局ツチブタは他の動物園へ移動していたために見ることはできませんでした。
実際に動物が暮らすサバンナなどに行ってみたいヨシコですが、「飛行機に乗ったことがないので怖い。」と打ち明けます。するとトウコが、「めったに落ちないから大丈夫。私も行くよ!」と、ヨシコの腕をポンとたたいて去っていくのでした。その後、トウコは大勢の人がいる街をさっそうと歩くのでした。
以上、映画「東京オアシス」のあらすじと結末でした。
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