理由の紹介:2004年日本映画。宮部みゆきの同名の直木賞受賞作を映画化。荒川区の超高層マンションで、一家惨殺事件が起き、その容疑者として石田が指名手配されるものの、捜査が進むうちに一家の4人全員が赤の他人だったことが判明、事件は予期せぬ展開に。インタビュー形式でストーリーは進み、出演者は100名以上に及ぶ。多部未華子の映画デビュー作。
監督:大林宣彦 出演:村田雄浩(交番の石川巡査長)、寺島咲(片倉信子)、大和田伸也(1225号室住人 佐藤義男)、久本雅美(2024号室住人 葛西美枝子)、宝生舞(資産家の妻 とし子)、風吹ジュン(小糸信治の妻 小糸静子)、渡辺裕之(警察庁捜査一課警部)、柄本明(片倉ハウス主人 片倉義文)、小林聡美(2026号室住人 北畠敦子)、加瀬亮(八代祐司)、伊藤歩(宝井綾子)、小林稔侍(石田直澄の弁護士 戸村六郎)、宮崎将(石田直澄の長男 石田直己)、宮崎あおい(石田直澄の長女 石田由香里)、ほか
映画「理由」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「理由」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「理由」解説
この解説記事には映画「理由」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
理由のネタバレあらすじ:起
交番に近所に住む中学生の片倉信子がやってきました。応対した石川巡査長に信子は「週刊誌に載っていた人が家にいる」と話します。信子の実家は片倉ハウスという簡易宿泊所で、そこに「荒川の事件」の重要参考人である石田直澄がいるというのです。石川巡査長は信子とたまたま居合わせた信子の同級生の翔子にここにいるように言って、片倉ハウスに向かいました。残された信子は翔子に「石田さんは人を殺してない」と言いました。
理由のネタバレあらすじ:承
話は5ヶ月前に遡ります。マンションから人が落ちたと通報がありました。このマンションの1225号室に住む少女が転落する人を目撃し、父親と管理人の佐野が通報したのです。同じころ、マンションの住人の葛西美枝子は異変に気が付いていました。2025号室の前を通った時、血が数滴落ちていたのです。10cmほど開いた扉から人影が横切るのが見えました。管理人の佐野は飛び降り自殺も疑って、警察も呼びました。男性が転落したらしい2025号室の部屋に到着した警察は4人の遺体を発見しました。遺体はいずれも後頭部が致命傷でした。警察の調べによってこの部屋には元々小糸信治という3人家族が住んでいて、遺体で見つかった人たちとは別人だと判明したのです。管理人の佐野も知らないうちに入れ替わっていたのです。小糸家は警察から逃げていて遺体の確認に時間がかかりました。個人情報保護法が壁になって警察の捜査は困難を極めました。しかし隣家の北畠智恵子の証言によって住民は7人いたことが判明します。この証言によって入れ替わりは1996年初頭に行われたようです。さらに8階の住人の篠田いずみは小糸家の息子の孝弘と会話をした時、「もうすぐ引っ越す」と話していたと証言します。この証言によって警察と佐野はこの事件には占有屋が絡んでいると見抜きました。
理由のネタバレあらすじ:転
話は数年前に戻ります。小糸家は事件の舞台になったマンションを購入しました。しかし徐々に資金繰りが厳しくなりローンが払えなくなりました。マンションは競売にかけられることになりました。焦った小糸信治は占有屋に頼ったのです。出頭した小糸信治によってようやく被害者の名前が判明します。被害者は砂川一家でした。問題のマンションの買い取りでもめていた石田直澄が重要参考人として手配されました。しかし事態はさらに混迷していきます。砂川一家の中で身元が判明したのは世帯主の砂川信夫だけでした。後の3人は信夫の家族の名前を借りた他人だったのです。信夫は十数年前に失踪していたのです。妻と母の二人はテレビのニュースで広く心当たりの人物がいないか呼びかけた結果身元が分かりました。
理由の結末
二人は秋吉勝子と三田ハツエと判明しました。しかし転落した若い男性の正体は依然分かりません。石田もまだ行方知れずでした。片倉ハウスに辿り着いた石田は信子に素性をみぬかれました。観念した石田は警察に出頭することを決めました。その前に石田はある所に電話をかけることを希望しました。電話をかけた石田は「約束を守れなくなりそうだ」と宝井綾子に話します。砂川家は血の繋がらない家族でした。そこに家族の愛を知らない八代裕司が加わって占有屋として生計を立てていたのです。その裕司が3人を殺害したのです。綾子は恋人だった裕司の子供を産みましたが、裕司は結婚を拒否しました。家族を疎んじていた裕司は砂川家の3人を殺害しました。その光景をみた綾子は裕司ともみ合いになり、転落したのです。居合わせた石田が全ての罪をかぶって逃走していたのです。石田と綾子は出頭しました。事件は解決しましたが、2024号室には幽霊がでるという噂が立つようになりました。
宮部みゆきの作品が大好きで小説を読んでから映画を見たのですが、やっぱり面白かった!!この作品に限らず宮部作品のポイントは「犯人は誰か?」ということよりも「犯行の動機」や「犯人のバックグラウンド」に引き込まれる魅力があると感じています。今回の理由は当時の時代背景も投影した名作です!