図書館戦争の紹介:2013年日本映画。言論の自由・表現の自由を守るため武力による検閲から本を守る防衛組織「図書隊」、その命がけの戦いのなか成長する新入隊員の恋と活躍を描く。人気作家有川浩のベストセラー小説を実写映画化。
監督:佐藤信介 出演:岡田准一、榮倉奈々、田中圭、福士蒼汰、西田尚美、橋本じゅんほか
映画「図書館戦争」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「図書館戦争」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
図書館戦争の予告編 動画
映画「図書館戦争」解説
この解説記事には映画「図書館戦争」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
昭和から「平成」でなく「正和」とかいう元号に変わる。
昭和の終わりに「メディア良化法」という法律が成立、言論統制が合法化され、いわゆる「放送禁止用語」を使った本、雑誌などを良化隊と呼ばれる軍隊が本屋から無理やり奪い去るような社会になる。そこで 図書館が発行された本を守る立場になり、「発禁」処分の本を奪われないよう図書隊という名の軍隊を組織し、図書施設の敷地内では専守防衛で実弾を使っての抗争が合法化され、それをしてまで良化隊から図書を守る、言論の自由・表現の自由を守る、その命がけの戦いのなか成長する新入隊員の恋と活躍を描く。
王子様との出会い:図書館戦争のあらすじネタバレ
榮倉奈々演じる笠原郁は高校生の時、書店で買うのを楽しみにしていた本を手にするが、まさにその時、その書店に良化隊の検閲が入りその本を廃棄図書として取り上げられてしまう。 しかしどうしてもその本を手放したくなく隊員と奪い合いになり暴力を受ける。 そこへ王子様のように現れたのが岡田准一演じる図書隊員、堂上(どうじょう)。 見はからい図書として図書隊が買い取る形で彼女に渡す。 「君のおかげで、この本は焼かれなくて済んだ」 というカッコいいセリフを残し、笠原の頭をクシャクシャっとなでる。
図書隊への入隊:図書館戦争のあらすじネタバレ
感激した笠原は、顔も覚えていないその王子様のような図書隊員に会いたくて図書隊に入隊する。 入隊後の過酷な訓練で、教官・堂上は何故か笠原に特に厳しく当たる。訓練後、運動能力が認められた笠原は、入隊訓練後すぐの配属は異例で女性隊員は全国で初めて防衛員(戦闘要員)の精鋭部隊である「図書特殊部隊」に配属されるが、堂上は笠原に辛く当たり続け、更に笠原の「王子様」を堂上は「図書隊員として失格」と切り捨てる。しかし、堂上は笠原をただ嫌悪しているのではなく何やら事情がある様子。
メディア良化法の秘密:図書館戦争のあらすじネタバレ
ある日のこと小田原の情報歴史図書館が閉館されることになり、すべての資料は関東図書隊に移管されることになった。しかしその中にメディア良化法に関する資料が含まれており、それはメディア良化法成立の極秘情報がある言われているもので、メディア良化委員会はその資料を狙っている。資料移管の日には図書隊とメディア良化委員会との衝突が避けられないことは決定的となった。そして図書特殊部隊にこの大規模な戦闘が予想される任務が下される。 しかし堂上は笠原を戦力外だからと除外し基地司令の警護に当てる。外されたことにショックを隠せない笠原に堂上は何も言わずにいた。
図書館戦争の結末
全面対決がはじまるが、そこへ思いもよらぬ事件が起こったと堂上の耳に入る。極秘資料を狙う良化隊と繋がる黒幕が仁科司令(石坂浩二)と笠原を誘拐したのだ。仁科の義足に仕込まれたGPSを頼りに監禁された廃書店へと堂上や小牧(田中圭)ら図書隊が急ぐ。激しい戦闘の末、笠原が黒幕を銃殺、仁科司令や笠原も無事救出され図書隊の勝利となる。堂上は笠原に戦力外は撤回すると伝え謝る。結末のシーン、堂上に頭を撫でられた笠原はその瞬間、堂上が王子様だと悟るのだった。
エンドロールへ。
以上が映画 図書館戦争のあらすじとネタバレ結末でした。
図書館戦争 待望の続編「図書館戦争THE LAST MISSION」は2015年10月10日公開
熾烈を極めた小田原の攻防戦から1年半、メディア規制の圧力は強まるばかり。不当な検閲に対抗できる唯一の組織・図書隊に所属する笠原郁(榮倉奈々)は、防衛部の精鋭集団・図書特殊部隊の中で、上官の堂上篤(岡田准一)からの厳しい訓練指導にも耐え、堂上班の一角を担う存在となっていた。そんな中、堂上、笠原が所属する関東図書基地に警備の依頼が入る。それは、図書隊に唯一残されたある一冊の本を守ること。やがて図書隊の存続を揺るがす事件へと発展する…。いま「図書館戦争」史上、最大の戦い【LAST MISSION】が始まる!
—————————————————————-
図書館戦争の感想とレビュー
図書館戦争では、本編主人公の一人、「笠原郁(榮倉奈々)」の入隊から、シリーズ中最大規模の良化委員会と図書隊の武力衝突となった、通称“小田原攻防戦”のエピソードまでが描かれている。
物語の背景、舞台設定、ストーリー、登場キャラクターの全ては一部を除き原作小説そのままで、主役の岡田准一と榮倉奈々を始めミスキャストと思えるような配役は無く原作ファンを失望させる事は無いだろう。原作と異なるのは、関東図書基地指令のキャラクター。原作では稲嶺という人物だったが、映画では稲嶺氏は(作中で“日野の悪夢”として語られる)過去の事件で亡くなっており、氏の遺志を継いだ仁科巌(石坂浩二)が指令の役職に就いている。
しかし、仁科指令のキャラクター設定は稲嶺氏そのものであり、観る側としては名前以外の違いを意識する事は無い。
原作は、良化委員会との戦闘や表現の自由について語られるシリアスパートと、隊員同士の恋愛や人間関係に触れたラブコメパートがバランス良く織り交ぜられ、軽妙なテンポで物語が進行していくところが魅力。
映画においても原作同様に、シリアスパートとラブコメパートがどちらにも偏らず上手く織り交ぜられていて、ハードすぎず甘ったるすぎずの絶妙なバランスを保っており、原作の持っている魅力を損なっていない。
各キャラクターの人物像の掘り下げがやや浅くなってしまってる気がするが、約2時間という映画の枠に納めるためにはやむを得ないだろう。むしろ、そのせいで図書館戦争のテーマがぼやけずに済んでいる。
図書館戦争のテーマである“表現の規制への抵抗”や“政治への無関心に対する批判”については、映像だけで描くのは難しいし、ナレーションで説明してしまうととってつけたようになってしまうところだが、“日野の悪夢”のシーンをフラッシュバックとしてインサートしつつ仁科指令というキャラクターに語らせることで、物語に厚みを持たせることに成功している。この辺の演出は上手い。
映像面では、実在の図書館をロケに使用したためか非常にリアリティのある「図書館」が表現出来ていると思う。また、戦闘シーンで使われる銃火器や車両についても自衛隊の協力があったようでリアリティが高い。
銃撃戦も格闘もかなりハードだが嘘くさい誇張は無く、さりとて写実的過ぎず程よく派手な見せ場もあって見応えがある。岡田准一の格闘も見事。日本映画にありがちな中途半端なアクションシーンで白けてしまうような事はない。
全体的にみてこの映画図書館戦争は原作ファンでもかなり満足のいく出来になっていると思うし、原作を全く知らない人が観ても十分楽しめるエンターテインメント作品になっていると思う。
ただ、この物語は元号が「昭和」から「正化」となった日本が舞台、つまりジャンルとしてはパラレルワールド物のSF作品になるわけだが、冒頭で語られるその歴史や世界観に“嘘っぽさ”を感じてしまう人だと楽しさが減点されるかもしれない。
真っ直ぐで懸命な郁の姿が大好きで、榮倉奈々さんの演技が原作のイメージにぴったりでした。堂上が自分の憧れの王子様だと知らない郁が、堂上の目の前で王子様のことを熱く語るシーンが面白くて可愛くて好きです。そんな郁に堂上は厳しく戦力外通告までしてしまいますが、それでも強く戦い抜いた郁の頭を撫でる最後のシーンが大好きです。キュンときました。