つる-鶴-の紹介:1988年日本映画。名匠市川崑監督が吉永小百合を主演に迎え、民話として有名な「つるの恩返し」を映画化した作品。つるの夫太寿役の野田秀樹を始め、樹木希林、川谷拓三、菅原文太といった豪華な俳優陣が脇を固めています。本作は吉永小百合の映画出演100本目にあたる記念すべき作品でもあります。
監督:市川崑 出演者:吉永小百合(つる)、野田秀樹(大寿)、樹木希林(由良)、川谷拓三(馬右衛門)、菅原文太(鼻把の長者)、岸田今日子(吉備)、石坂浩二(ナレーション)、ほか
映画「つる-鶴-」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「つる-鶴-」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「つる-鶴-」解説
この解説記事には映画「つる-鶴-」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
つる-鶴-のネタバレあらすじ:起
ある冬の晩のこと。貧しき小作人大寿の家に美しい女性つるが訪ねてきました。道に迷い今晩泊めて欲しいと言われ、太寿はつるを家の中に招き入れます。つるはこの家の嫁にしてもらえないかと頼みはじめます。明日食べるものにも困窮している太寿はこの申し出を断ろうとしますが、身体の不自由な太寿の母由良はつるを一目見て気に入りました。由良は甲斐性はないものの心根の優しい息子であると話し、本当に嫁になってもらえるのかとつるに確認します。つるは喜んで頷き、太寿も母に背中を押されて結婚を決めます。こうして二人は夫婦になりました。つるは美しいだけではなく働き者の良く出来た女性でした。近所に住む百姓馬右衛門は美しい女が太寿の家に出入りしている光景を目にし、妻を連れて様子を見にやってきます。つるは見知らぬ人間が訪ねてきたことに怯えた様子を見せます。
つる-鶴-のネタバレあらすじ:承
村の大地主である鼻把の長者に嫁が来たことを報告していなかったこともあり、由良はつるにしばしの間隠れているよう指示しました。家に入ってきた馬右衛門は確かに女が出入りしているのを見たのだと訴えますが、由良は見間違いだとしらを切ります。馬右衛門は諦めて退散していきました。つるは由良の部屋に使われていない機織り機があるのを見て、織らせてもらえないだろうかと願い出ます。その日からつるは納戸に作った機場に籠って、機を織りはじめます。機を織っている間は決して戸を開けてはならないというつるの言葉に従い、太寿は機織りが終わるのを待ち続けます。つるが一晩をかけて織り上げた織物は驚くほど見事な出来栄えでした。由良もまるでつるの羽のような美しい布だと称賛します。泰司が鼻把の長者に布を売りに行ったところたいそう喜ばれ、沢山の銭を貰うことができました。家に戻った太寿はこの銭でなんでも好きなものを買ってあげるぞとつるに言います。しかしつるは太寿の喜ぶ顔を見れたことだけで十分だと答え、機を織るのはこれが最初で最後だと念押しします。喜びで浮かれる太寿はつるの身体がすっかり痩せ細ってしまっていることには気付きませんでした。つるが食事を用意をしようと戸を開けると外に立っていた馬右衛門夫妻と鉢合わせしてしまいました。太寿が布を売って大金を得たという噂を聞きつけた馬右衛門は、布を織ったのは太寿の嫁に違いないと確信していました。隠しきれなくなった太寿は仕方なく夫妻につるを自分の嫁だと紹介します。馬右衛門はつるが織った織物が高値で売れることから、もっともっとつるに布を織らせるべきだと太寿を唆しはじめます。
つる-鶴-のネタバレあらすじ:転
ある日つるは馬右衛門の家に借りていた塩を返しに行きますが、不注意から籠の中の鶏を逃がしてしまいます。太寿とつるは怒りをあらわにする馬右衛門にひたすら謝り、許しを得ることができましたが、その後つるが姿を消してしまいます。心配する太寿が家のまわりを探しまわると、つるが雪の中から姿を現します。何故逃げようとしたのかと問われたつるは太寿から離れられなくなるようで怖くなってしまったのだと答えます。そして自分の本性がどんなものであっても愛してくれるかと恐々と尋ねてみたところ、太寿はどんなものよりもお前を愛おしく思っているのだと答えました。つるは太寿を抱きしめ、家に帰ることを決断します。つるは長者にも正式に太寿の嫁として認められましたが、太寿は長者からもう一度つるに布を織って欲しいと頼まれます。長者は布を織ってくれれば前回の倍の銭を払うと言ってきました。太寿からなんとかもう一度だけ布を織ってくれないだろうかと懇願されるつるでしたが、あの布は一生に一度しか織れないのだと拒絶します。その後太寿は長者のもとに謝りに行きますが、布を持っていけば銭だけでなく畑も貰えると聞き、結局断れずに引き返してきます。由良はすっかり欲に目が眩んでしまった息子を諫めます。しかし布を持っていかなければ逆に小作畑を取り上げられてしまうと聞かされたつるは太寿のため再び布を織る決意をするのでした。つるは太寿に布を織るのはこれが最後であり、織るところは決して覗かないよう再び念押しします。
つる-鶴-の結末
その日からつるは再び機場に籠って布を織りはじめますが、太寿はいつ織りあがるのか気が気でなりません。由良は機の音に耳を澄ませながら、昨秋太寿が助けたつるのことを思い出していました。由良はつるが人間でないことに気付いており、それとなく太寿に伝えようと試みますが、鈍感な太寿は気づきません。機の音が止まっては動き出すのを聞いているうち、太寿は次第に中を覗きたい欲望を押さえられなくなっていきます。恐る恐る中を覗いてみると、一羽のつるがくちばしで自分の羽を引き抜き、機に挟んで織っていました。太寿はその姿に驚きおののき、つい叫び声をあげて座り込んでしまいました。つるは機場から出てくると、自分は弓で射られたところを太寿に助けてもらった鶴であると告白します。恩返しのためのつもりが一緒に暮らすうち、本気で太寿を愛してしまったつるは、夫のため命を削って機を織っていたのです。そして悲しみに身を震わせながら、本当の姿を知られた以上はもう人の世に住むことはできないと告げます。そして太寿と由良に別れを告げると鶴へと姿を変えて羽ばたいていきました。つるを失った太寿は外に飛び出し、戻って来いと叫びますが、鶴は大空へと消えていきました。春になると村には鶴の群れが飛んできましたが、その中に太寿の愛したつるがいたのかは分かりません。
以上、映画「つる-鶴-」のあらすじと結末でした。
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