海すずめの紹介:2016年日本映画。雀は愛媛県宇和島の図書館”自転車課“で図書を島民に配達する仕事をしている。雀は賞をとったことがある小説家だが、二作目が書けず故郷に戻ってきたのだった。街をあげての宇和島伊達祭りが近づく中、復刻される着物の模様を記した書物が見つからずに、図書館は大騒ぎとなる。雀は空襲で焼けた旧図書館にあった可能性を信じ、仲間達と本を探すことにする。そのうちに何事にも真剣に向き合うことができなかった雀の心境にも変化があらわれ・・。
監督:大森研一 出演:武田利奈(赤松雀)、小林豊(岡崎賢一)、内藤剛志(赤松武男)、岡田奈々(赤松京子)、目黒裕樹(赤松辰三)、宮本真希(兵藤秀子)、二階堂智(原田貴之)、 佐生雪(原田ハナ)、上野優華(渡部美咲)、佐藤永典(清家壮太)、野川由美子(戸田サチ)、吉行和子(三好トメ)、ほか
映画「海すずめ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「海すずめ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
海すずめの予告編 動画
映画「海すずめ」解説
この解説記事には映画「海すずめ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
海すずめのネタバレあらすじ:起
宇和島市立図書館で働く雀は、遅刻をしたり頼まれ事もおざなりで仕事に身が入っていません。雀がいる「自転車課」はロードバイクで人々に本の貸し出しを行っており、雀・賢一・ハナの三人が所属しています。
宇和島では伊達の長男が宇和島に来てから400年が経った宇和島伊達400年祭が開催されることになり、ニュースでもその話題でもちきりです。中でも武者行列が目玉であり姫役は復刻衣装に身を包むことになっていました。
雀の祖父は歴史ガイドをしており、父は漁協に努めています。雀は父親とあまりうまくいってはおらず、父親は一度文学奨励賞をとり東京に行って戻ってきた雀が執筆活動もせずに自転車課にいることを快く思っていません。しかし、雀にかつて自転車を教えたのは父親だと、雀を温かく見守る母親はおかしそうに言うのでした。
雀は渡し船に乗り常連のトメに図書の配達をします。そしてトメの家でトメの若い時の話を聞きます。トメは雀と同じ図書の司書をしていました。その頃あった図書館は伊達家が明治のはじめに私財を投じて建てた私立伊達図書館で70年前の空襲で焼けてしまいました。トメはそこで一緒に働いていた戸田健に思いを寄せており気持ちを告げましたが健は何も言わないまま戦争に行って帰らぬ人となってしまいました。トメを訪ねた帰り道に雀は小説のネタ帳を開きますが、東京で編集者に言われた二作目へのプレッシャーを思い出し、ネタを塗りつぶしてしまいます。
海すずめのネタバレあらすじ:承
雀が図書館に帰ると図書館は大騒ぎとなっていました。400年祭で復刻させる着物(打掛)の模様が載った本が「ある」と雀が答えたことが発端で企画が進んでいましたが、本がどこにあるかわからないというのです。皆で本を探すこととなりましたが、雀は身が入りません。
高校の同窓会に出た雀は、そこで同じ課の賢一がかつては有望な自転車の選手だったが一瞬で消えたということを知ります。また同窓会で同じ図書館で働く壮太に着物の図書のことで怒られ会場を後にします。一人になった雀は東京のカフェで聞いた編集者の言葉を思い出します。次の作品に期待しているように見えて、その実は、雀の売りは若さとルックスである程度書ければどうとでもなると思われていたのでした。
ある日、雀は賢一の自転車のパンクを直したことをきっかけに賢一の仕事への気持ちを聞くこととなります。賢一はロードレースの選手だったが怪我をしてレースに出ることができなくなり宇和島に帰ってきました。自暴自棄になっていた時もありましたが配達の仕事をやっていると生きがいを感じているといいます。そんな賢一に小説を書いているのかと聞かれますが雀は答えることができませんでした。
海すずめのネタバレあらすじ:転
そんな折、自転車課を廃止するという話があると原田に聞かされます。検討となっているがほぼ決定事項であり、原因は効率が悪いことでした。更に、着物の本もあと三日のうちに探し出せないとおしまいだと聞かされます。
雀はトメから聞いた伊達図書館のことを思い出し、トメから昔は貸し出した本を持ち出すことがあり記録は伊達の蔵にあるのではと教えて貰います。雀は家族に図書のことを話しますが父親に「重大なことだから中途半端にするな」と言われてしまいます。父親と険悪なままで食事が終わりますが母親から父親が雀の小説を大量に買い仕事場でも配っていたと教えられるのでした。
雀は原田に昔の貸し出し名簿を教えて欲しいというが原田に却下されます。しかし食い下がり、本を見つけたら自転車課の存続を認めるという条件を出します。それを見ていた館長が承認し、雀たち自転車課は三人で伊達家の蔵に名簿を探しに行くこととなりました。
そこで賢一が雀の小説を読んでおり、世界観が面白いと褒められます。またハナも同意し雀の小説を読んで自分も書いてみようと思ったと打ち明けます。作業が続く中、祖父や高校の同級生などが手伝いに来てくれ、また、雀の父親も差し入れを届けてくれます。そして雀は遂に貸し出し名簿を見つけます。それには貸し出されたままで本が残っていることを示しており、本を借りたのはトメの思い人であった戸田健でした。
海すずめの結末
雀はトメと一緒に健の家に向かい、たまたま掃除に来ていた健の妹に迎えられます。健は出征前に荷物を蔵に整理しており、雀とトメは蔵の中で目当ての本を見つけます。同時に見つけたトメ宛ての手紙には自分が帰れなくても幸せに生きて欲しいと健の気持ちが書かれていました。
こうして雀は期限までに本を届けることができ、無事に祭りで大武者行列が行われました。驚いたことに宇和島そのものを表現した素晴らしい着物を着たお姫様役はなんと図書館の館長でした。祭りは終わりましたが、自転車課は廃止が決定しました。雀は終わりとなると当たり前だったことが愛おしく感じ仕事に励みます。
そして自転車課最後の日。課をひきあげようとした雀達に館長から待ったがかかります。雀が書いたコラムを読んだ市民から4万人分の署名が集まったというのです。館長が予算をかけあってくれることとなり、署名の中には雀達に厳しかった上司の原田の名前もありました。
それから季節が廻り、雀の家には一緒に自転車を楽しむ雀と父親の写真が飾られています。また自転車課も存続し雀は業務をこなしています。二冊目「海渡る図書」を書きあげた雀は「三冊目の本」を書いています。
以上、映画「海すずめ」のあらすじと結末でした。
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