ヨコハマ物語の紹介:2013年日本映画。横浜を舞台に、4人の若い女性と一つ屋根の下で暮らすこととなった初老の男性の物語。北乃きいと奥田瑛二が主演をつとめ、監督は「シェアハウス」や「海の上の君は、いつも笑顔」の喜多一郎。定年退職した日に妻を亡くした良典は、ある日若い女性・七海と墓地で出会い…。
監督:喜多一郎 出演者:北乃きい(松浦七海)、奥田瑛二(田辺良典)、佐伯めぐみ(葵)、菜葉菜(麻子)、泉沙世子(実咲)、市毛良枝(田辺薫)、ミッキー・カーチス(藤村征一郎)、ほか
映画「ヨコハマ物語」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ヨコハマ物語」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ヨコハマ物語の予告編 動画
映画「ヨコハマ物語」解説
この解説記事には映画「ヨコハマ物語」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ヨコハマ物語のネタバレあらすじ:起
グリーンキーパーとして、長年勤めてきた会社を定年退職した65歳の田辺良典(奥田瑛二)。退職したその日、良典が家に帰ると、自宅で妻の薫(市毛良枝)が倒れて亡くなっているのを発見します。
四十九日を迎えても、まだ妻の死を受け入れられずにいる良典。広い一軒家にひとり取り残され、これからの人生をどう生きればよいのか悩む良典が、墓参りを済ませて帰ろうとすると、若い女性・松浦七海(北乃きい)が両親の眠る墓に向かって暴言を吐いているのを見かけます。
良典が「お墓に向かってそんなに怒鳴らなくても…」と声を掛けると、「ほっておいてください!これは私の唯一のストレス発散なんで!」と、七海はイライラした様子で答えます。そして大きな荷物を抱えて歩き出した七海ですが、急にその場で倒れ込んでしまいました。
中学生の時に両親を亡くした25歳の七海は、アマチュアバンドのマネージャーをしています。念願のメジャーデビューが決まり、契約金がたっぷり入ると喜んでいた矢先、ボーカルだけが引き抜かれてしまいました。貯金もなく家賃も滞納しアパートを追い出された七海は、食べるものにも困り三日間まともな食事をしていません。そのために墓地で倒れてしまった七海。
良典は七海を家へ連れて帰り、冷凍うどんを作って食べさせます。するとすぐに元気になった七海は、良典の妻が亡くなったことを知ると、「私が家政婦代わりになって、一緒に住むのはどう?」と持ち掛けます。お金ができるまででいいので置いてほしと頼みこまれ、この日から奇妙な共同生活が始まるのでした。
その夜、七海はバンドのボーカルで彼氏だった男性と電話で話している時に、「お前じゃ使えない!」など、ひどい言葉を投げかけられショックを受けます。落ち込む七海に良典は、「そんな男捨ててやれ!」とアドバイスし、やる気を出した七海は新しいボーカルを探して再びバンドを立ち上げることを決めました。
ヨコハマ物語のネタバレあらすじ:承
さっそくボーカルを探し始めた七海ですが、なかなかうまくいきません。そんな時、公園にいた親子が金髪で強面の男から逃げ惑う姿を目撃します。小さな男の子を連れて逃げる母親・葵を家へと連れて帰った七海は、「親子を家に住まわせてやってほしい。」と良典に頼みました。初めは拒んだ良典ですが、親子は住む場所もなく困っている様子から、共に生活することを許可します。
そんなある日、七海が勝手にシェアハウスの広告を作ってばらまいてしまいます。広告を見た会社員の上野麻子も住むことになり、七海と葵、葵の子供、麻子そして良典の5人の共同生活が始まりました。麻子は大学院を卒業したのちに、有名不動産の営業の仕事をしているエリートです。しかし、人との交流が苦手な麻子は、七海たちと交わろうとしません。
ある日、葵は良典に子供を預かってもらい、レストランのホールの仕事の面接に向かいます。その夜、葵がレストランのパンフレットを良典に見せると、そこは良典の妻がかつて一緒に行こうと話していたレストランでした。「パートで臨時収入が入ったから、一緒にレストランに行こう!」と誘われた良典のですが、「貯金でもしておけ!」と妻の誘いを断っていました。そのことを七海に話すと、「おじさん最低。たぶん結婚記念日とか大事な日だったんじゃない?」と言われ、妻が生きていた頃にもっと大事にしておけばよかったと後悔します。
そこへ、酔っ払った麻子が帰ってきました。玄関で寝てしまい、ついには嘔吐してしまう麻子。実は彼女は高学歴ですが愛想がないため営業の成績が悪く、くいつも部長からいびられていました。そのことでストレスが溜まっている麻子を連れて、休日にみんなで横浜の街に出かけることにしました。初めはイヤイヤ行動していた麻子ですが、葵の子供が欲しがっていた人形をプレゼントするなど、七海や良典たちと少しだけ打ち解けることができました。
ヨコハマ物語のネタバレあらすじ:転
そんなある日、良典の一人息子・裕也がふらっと実家に戻ってきます。若い女性とシェアハウスをしていると知った裕也は、「いい歳して!」と怒り出します。これまで芝生の世話ばかりで母親をないがしろにしていた父親が、若い女性の面倒を見ることをよく思わない裕也。家庭を顧みず、仕事にまい進してきた良典は、息子に何も言い返すことができませんでした。
裕也から「あんたたちも早く家を見つけて出て行けよ!」と言われ、葵も七海も麻子もその日は眠れない夜を過ごしまいた。そして翌日、行くあてのない麻子と七海は、公園のベンチで語り合います。悩みを打ち明ける麻子に、七海は幼い頃からの話をしました。両親を亡くし、それからは親戚の家をたらいまわしにされ、まるでもののように扱われてきた七海。
しかし良典の家で暮らし始めて、帰る家があるのは幸せなことだと気付き、「家に帰れば待っていてくれる人がいて、他人でも一緒に住めばまるで家族のようになれる。」と、七海は嬉しそうに話します。そこへ、良典がやってきます。家には葵も帰っておらず、良典は心配で七海たちを探しに来たのでした。しかし良典の姿を見つけた七海は急いでその場を去り、その夜は麻子だけが家に戻りました。
翌日、初めて仕事で成果を出すことができた麻子は、レストランで働いている葵を迎えに行きます。すると葵は、同じレストランで働いていた安西実咲も一緒に連れて戻り、住む場所のない彼女に部屋を与えてやってほしいと良典に頼み、実咲も一緒に暮らすことになりました。
葵はネットカフェなどで寝泊まりしていた七海を見つけ出し、家に呼び戻します。すると風呂場から歌が聞こえてきて、七海は風呂場で熱唱していた実咲と初対面しました。実咲の歌声を聞いた七海は、「やっと見つけた!うちのボーカルやって!」と交渉し、これでようやくボーカルが見つかりバンドを再結成することができました。そして良典の知り合いの店でのライブも決まり、麻子はマンションを売ることができて、すべてが順調に進み始めます。
ヨコハマ物語の結末
しかし葵には、一つだけ気がかりがありました。実は裕也から家を出て行くように言われた翌日、葵は久しぶりに実家を訪れていました。子どもを妊娠して勘当されてから、一度も戻ったことのない実家です。家の前まで行った葵ですが、結局中に入ることはできませんでした。しかし、良典や七海の言葉に突き動かされた葵は、ついに両親に会いに行くことにします。良典も七海も、もう葵が家には戻ってこないと覚悟していまいた。しかし、葵は「ここが私の家だから!」と言って、笑顔で家へと戻ってきます。
そしてライブ当日、たくさんの客が集まり、ライブは大盛況で七海は上機嫌です。ライブには良典や麻子などみんなで見に行き、みんなで家に戻ってくると、家の前に裕也が待っていました。実は、七海が裕也のことを呼んでいたのでした。久しぶりに良典は、裕也と二人きりで話をします。裕也は父親が元気そうにしているのを見て、「シェアハウスもいいんじゃないの。母さんもきっとそう思っている。」と告げ、こうして親子のわだかまりがなくなるのでした。
翌日、七海は家の前に一通の手紙が落ちているのを見つけます。それは、良典の妻が書いた手紙でした。手紙には、良典へのこれまでの感謝の気持ちと、定年退職のプレゼントにサーフボードを買ったことが書かれていました。それを読んだ七海と良典は、急いでトラックを追いかけます。何も知らなかった良典は、サーフボードを粗大ゴミとして出していました。サーフボードが積まれたトラックを走って七海が追いかけ、何とか取り戻すことができ、良典はホッとするのでした。
そして一年後、家を出ていた七海が良典の家に顔を出します。新たにメンバーを集めてバンドを立ち上げた七海は、「今日からここに住まわせてやって!」と、三人の若い女の子を良典に押し付けると、さっさとライブ会場へと行ってしまいました。「どうして君はいつもこう勝手なんだ!」と言いつつも、新しい同居人を笑顔で受け入れる良典。
葵は実家で暮らし、麻子は仕事も恋も順調で、実咲はライブで観客を沸かせて、それぞれの人生を歩んでいるのでした。
以上、映画「ヨコハマ物語」のあらすじと結末でした。
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