予兆 散歩する侵略者 劇場版の紹介:2017年日本映画。黒沢清監督『散歩する侵略者』のスピンオフ作品としてWOWOWで5話にわたって放送された『予兆 散歩する侵略者』の劇場版。『散歩する侵略者』と別の町で起きる、人から概念を奪う侵略者の物語。そして、侵略者に翻弄される夫婦の愛の物語。
監督:黒沢清 出演者:夏帆(山際悦子)、染谷将太(辰雄)、東出昌大(真壁司郎)、岸井ゆきの(浅川みゆき)、中村映里子(斉木葉子)、大杉漣(西崎)ほか
映画「予兆 散歩する侵略者 劇場版」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「予兆 散歩する侵略者 劇場版」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
予兆 散歩する侵略者 劇場版の予告編 動画
映画「予兆 散歩する侵略者 劇場版」解説
この解説記事には映画「予兆 散歩する侵略者 劇場版」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
予兆 散歩する侵略者 劇場版のネタバレあらすじ:幽霊が家にいる
ある日、山際悦子が帰宅すると、先に帰っていた夫の辰雄がぼーっと外を眺めている。それが異変の始まりだった。悦子の家を訪れた会社の同僚、浅川みゆきが家に幽霊がいるから泊めてほしいと言う。翌日みゆきと悦子がみゆきの家に行くと、彼女が恐れている幽霊は彼女の実の父親だった。臨床工学技士として辰雄が勤務する病院の心療内科へみゆきを連れて行った悦子は、連続する地震のようなものを感じる。それに続いて現れた新任の外科医、真壁司郎を辰雄から紹介されたが、悦子は彼に得体の知れないものを感じる。小森医師の診立てでは、みゆきは父や母というものがわからない、家族という概念が欠落しているということだった。
予兆 散歩する侵略者 劇場版のネタバレあらすじ:もしこの世界が消えるとしたら
小森医師によると、概念が欠落する人が各地で報告されているという。一方、悦子は真壁と常に行動を共にする辰雄のことが心配である。彼の右腕に麻痺が生じているようだ。もしこの世界が消えるとしたらどうするという夫の不思議な問いかけに、辰雄といっしょなら最後まで生きたいと答える悦子だった。真壁の正体は宇宙から来た侵略者の一人であり、辰雄は二週間前に彼に腕を握られてから彼のガイドになっていた。辰雄が適当な人間を真壁に紹介し、真壁がその人間の額を押すとその人間からある概念が奪われるのだ。だが、真壁が辰雄の中学時代の担任の先生から「過去」、「未来」等と次々と概念を奪っていくのを見て辰雄はガイドに嫌気がさしていた。辰雄の苦悩の原因が真壁であるに違いないと感じた悦子は真壁に会いに行く。真壁は自分の正体をあかし、悦子から一つの概念を奪おうとするが、彼女からは奪えない。悦子は特別な人間だった。真壁は悦子をサンプルとして生かすことに決める。
予兆 散歩する侵略者 劇場版のネタバレあらすじ:束縛される辰雄
辰雄と真壁は二人で通行人の男を誘拐し人里離れた場所で生き埋めにして「死の恐怖」という概念を奪う。辰雄はすきをついて真壁の後頭部をスコップでたたいて逃げるが、殺人に加担したことを悔やむ。悦子の職場の上司、粕谷も、彼の妻のガイドであることを悦子に告白する。粕谷のせいでみゆきは「家族」という概念を奪われたのだった。彼はもう妻のガイドはしたくなかったが、結局妻の束縛を逃れることはできなかった。職場に現れた妻は次々と社員たちの概念を奪って失神させていく。だが悦子のだけは奪うことができなかった。真壁のガイドをもうやめようと思う辰雄の右腕に猛烈な痛みが走り始める。悦子は辰雄を連れて真壁に談判に行くことにする。
予兆 散歩する侵略者 劇場版のネタバレあらすじ:囚われた真壁
そのころ、真壁も次々と病院にいる人たちを失神させていく。その中には、小森医師の電話を偶然聞いて真壁に関心をもって近づいた、悦子の同僚の葉子もいた。もう真壁は概念を奪うのに相手の額を押す必要がなかった。悦子と辰雄が病院に着いた時に真壁はいない。しかし西崎という厚労省の役人が現れる。彼は小森からの連絡で悦子の特別な能力を知っていた。悦子は彼らに協力することになる。 ファミリーレストランで一人食事を取っていた真壁が逮捕される。車いすにがんじがらめに結び付けられた真壁と悦子は対面する。侵略回避のために人類の期待を担っているはずだが、彼女が真壁と会う一番の目的は辰雄を右腕の痛みから救うことだった。しかし、真壁はその痛みは辰雄本人の問題だと言う。
予兆 散歩する侵略者 劇場版の結末:愛の力
月が異常な動きを示し異常気象が続く。人々は逃げ出す。悦子と辰雄も自動車で逃亡を図るが、辰雄はますます右腕の痛みに苦しむ。悦子は辰雄のために真壁を連れてくることにする。当局の人間たちも逃げ出し、真壁は一人縛られたまま放置されていた。辰雄の待つ、見捨てられた倉庫へ真壁を悦子は連れてくる。真壁は自分への忠誠を辰雄に求めるが、辰雄は天井にある巨大なパイプを真壁の頭上に落とす。真壁はこれで死んだかと思ったが、やはり辰雄の右腕の痛みは去らない。真壁は血を流しながらパイプの間から起き上っていた。悦子は西崎から護身用にもらったピストルを構えて真壁を探す。真壁と出くわした悦子は真壁に何発も弾丸を撃ちこむ。真壁は心臓が止まるのを感じ、死の恐怖を実感し、なぜ人間たちが「共存」なるものを求めるのか理解する。そして「愛」が悦子に自分を撃たせたのだと思う。 外で悦子と辰雄は抱きしめ合う。雨が降り始め、二人は侵略が始まる音を聞いていた。
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