愛、アムールの紹介:2012年フランス,ドイツ,オーストリア映画。認知症を患い介護が必要な身体になってしまった妻と、献身的に介護する夫の老夫婦の最期の愛の日々を描いた人間ドラマで、カンヌ国際映画祭の最高賞パルムドールやアカデミー賞の外国語映画賞に輝いています。
監督:ミヒャエル・ハネケ 出演者:ジャン=ルイ・トランティニャン(ジョルジュ)、エマニュエル・リヴァ(アンヌ)、イザベル・ユペール(エヴァ)、アレクサンドル・タロー(アレクサンドル)、ウィリアム・シメル(ジョフ)ほか
映画「愛、アムール」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「愛、アムール」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
愛、アムールの予告編 動画
映画「愛、アムール」解説
この解説記事には映画「愛、アムール」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
愛、アムールのネタバレあらすじ:起
フランス・パリ都心部の高級アパートに住むジョルジュ(ジャン=ルイ・トランティニャン)とアンヌ(エマニュエル・リヴァ)夫妻は共に音楽家として活動し、長年に渡って深い愛情と共に連れ添ってきました。
ある日、夫婦は愛弟子のアレクサンドル(アレクサンドル・タロー)のリサイタルに招かれ、楽しいひと時を過ごしました。しかしその翌日、二人はいつものように朝食を摂りながら何気ない会話をしていたその時、アンヌは突然石のように固まって動かなくなってしまい、ジョルジュの問いかけにも反応しません。
しばらくするとアンヌは元通りに回復しますが、アンヌは自分の異変に気が付いていません。最初はアンヌがわざと驚かせようとしたのだと思っていたジョルジュでしたが、アンヌを一度病院へ診察に行かせることにします。
愛、アムールのネタバレあらすじ:承
診断の結果は、静脈硬化の病による発作でした。アンヌは早速手術を受けますが、手術はまさかの失敗に終わり、アンヌは右半身に麻痺が残ってしまいました。元々病院や医療に対して不信感を抱いているアンヌは自宅療養を主張して譲らず、ジョルジュも不安ながら妻の願いを聞き入れて在宅介護の日々に入ります。
ジョルジュとアンヌの一人娘エヴァ(イザベル・ユペール)はアンヌを引き取りたいと提案しますが、アンヌが夫の不倫発覚など家庭に問題を抱えていることからジョルジュは迷惑をかけたくないと自分でアンヌの面倒を見ることを決意します。
愛、アムールのネタバレあらすじ:転
ジョルジュは車椅子生活となったアンヌを献身的にサポートします。ジョルジュは老骨に鞭を打ってアンヌのトイレや入浴などを手伝います。アンヌもまたこれまで通りの暮らしを貫き、エヴァや階下に住むアパート管理人夫妻も彼らの意志を尊重し温かく見守っていました。
しかしアンヌの病状はさらに悪化、認知症の症状も進行していきました。アンヌはジョルジュに昔の写真が収められたアルバムを持ってこさせ、自らの人生を振り返っていました。
愛、アムールの結末
アンヌはやがて言葉を発することすらも困難になっていき、ジョルジュは看護師を雇います。しかし看護師は不適切な対応を取り、怒ったジョルジュは看護師を解雇します。ジョルジュは時に苛立ちながらも深い愛を持って介護を続けてきましたが、いよいよアンヌはうわ言しか発せなくなり、ジョルジュはアンヌに向かって過去の懐かしい思い出を語り出します。
そしてジョルジュはアンヌの顔に枕を押し付けて窒息死させてしまいます。ジョルジュはアンヌの遺体に喪服を着せて周囲を花びらで飾り、遺書を書き残すといずこへと去っていきました。その後、エヴァは誰もいなくなったアパートの部屋で物思いにふけっていました。
以上、映画「愛、アムール」のあらすじと結末でした。
「愛、アムール」感想・レビュー
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世界中で起こっている現実介護!老人施設で働いているが、世話をするスタッフ同士で絆を強くし、頑張れるが、アムールは限界が来る!どんなに愛していたとしても目の前の現実には皆降参!なのである。
自分が理想を求め提案を拒否することは、強いては周りの者たちを疲弊させてしまう、と言う不幸な側面があることを想像できないのが、今まさに起こっている老老介護や虐待なのである。経済的事情もあろうが排泄が自力で出来なくなったらサイン!プロに任せるのが最前の道!アムールは妻の想いを重視した結果の悲しいものでした。淡々と描かれていて、冒頭言ったような世界中で起きていることです -
認知症の妻の気持ちを最後まで大事にしつつ反対に介護する側が疲弊してしまうという現実に対し、今現在、好まない義理の父と同居し、心から愛する老犬の介護する私に身につまされるこころに残る映画でした。
私も父方の祖父が晩年に認知症を患っていたので鑑賞する前から共感できる自信はあったのですが、認知症のリアルさがとにかく伝わる作品でした。認知症患者に対して家族が時に非情な対応をせざるを得ない現実、家族が認知症を患っても愛は変わらないものであるという真理を、再認識させられました。