零落の紹介:2023年日本映画。漫画家・浅野いにおが描いた同名コミックが原作。俳優の竹中直人が実写映画化した。主役は斎藤工が務め、風俗嬢役は朝の連続テレビ小説「ブギウギ」でヒロイン役を務めた趣里が演じる。漫画家の深澤薫は風俗嬢のちふゆと出会い…。
監督:竹中直人 出演者:斎藤工(深澤薫)、趣里(ちふゆ)、MEGUMI(町田のぞみ)、山下リオ(冨田奈央)、吉沢悠、ほか
映画「零落」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「零落」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「零落」解説
この解説記事には映画「零落」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
零落のネタバレあらすじ:起
学生時代、深澤薫(斎藤工)は年下の彼女と付き合っていました。猫顔の彼女を愛していた薫ですが、ある日突然フラれてしまいます。そのため、猫顔の女性を見ると薫は緊張してしまいます。
仕事で知り合った町田のぞみ(MEGUMI)と結婚して10年が経とうとしています。売れっ子作家を担当する編集者ののぞみは忙しく、すれ違いの日々です。
8年間続いた連載が終わったため、打ち上げパーティーが開かれることになりました。集まった編集者やアシスタントを前に、薫はこれまでの感謝を伝えます。ぼそぼそと話す薫の話をまともに聞く人はほとんどいません。誰も元売れっ子には興味がないのです。
この日、薫は風俗を利用することにしました。やってきたのは、想像とは違う大柄な女性でした。女性にやさしくされた薫は、泣き出してしまいます。
その後、広告漫画の仕事の依頼が舞い込みますが、「次回作に集中したいので」と断ってしまいます。虚無感や焦燥感で、なかなか次の漫画が描けない薫。
ある日、学生時代の友人の結婚式がありました。久しぶりに会った友人はみんな結婚して子どもがいます。子どものことを聞かれた薫が、「妻が忙しいから…」と言います。
家に帰った薫は、将来のことをのぞみと話し合うことにします。のぞみは、担当作家が賞を獲ったことで、これまで以上に忙しくしていました。多忙な妻とまともに話すこともできないと感じた薫が、別れを切り出しました。あまりの突然のことにのぞみは驚きました。
離婚届を渡されても、離婚する気がないとはっきり伝えるのぞみ。「仕事に嫌気がさしたからって、別れるつもりはない」と妻に言われ、薫は離婚の話と仕事のことは別だと激怒します。キレる夫にのぞみは「自分の漫画が売れなくなったからって、当たられたら困る!」と逆ギレしてしまい、二人の溝は深まるばかりです。
零落のネタバレあらすじ:承
漫画のアイデアが浮かばない薫は、「次の連載が決まるまでの間、解散します」と二人のアシスタントに伝え、頭を下げます。女性アシスタントの冨田奈央 (山下リオ)は「突然そんなこと言われても困ります!」と、薫を睨みつけます。
ソファーに寝転びながら、SNSをチェックする薫。自分の漫画に対する酷評が目につきます。薫は再び風俗を利用することにします。部屋にやってきた女性を見て、薫は緊張しました。なぜなら彼女の目が、猫のようだったからです。猫顔のちふゆ(趣里)に惹かれる薫は、次も必ず指名すると約束します。
インタビューを受けた薫はうんざりしていました。世間は、面白い漫画や売れている漫画にしか興味がありません。担当編集者からぞんざいな扱いを受け、アシスタントだった冨田からハラスメント行為を受けていたと言われ、薫は精神的に追い込まれます。
ちふゆを指名した薫は、ホテルで彼女が来るのを待ちました。学生のちふゆは、ゴールデンウィークに友人と海外へ行っていたようです。自分の周りは、流行ばかりを追いかけて面白くないのだと話すちふゆ。薫は「俺の周りも同じだよ」と言います。猫のように自由気ままで、つかみどころのないちふゆに、薫はどんどん惹かれます。
零落のネタバレあらすじ:転
勤め先近くに家を借りたのぞみが家を出て行きます。別居は離婚のための前準備だと薫は考えていますが、のぞみは離婚する気などありません。
ちふゆを指名する薫は、彼女が今月で風俗を辞めることを知ります。ショックを受ける薫は、辞める理由を尋ねました。「実家に帰ることにしたの。倒れた祖母の面倒をみるために。」と話すちふゆは、夏休みの間だけ地元に戻るのだと言います。薫が「途中まででもいいから一緒について行きたい」とお願いします。しばらく考えたちふゆは「いいよ」と返事をしました。
この日、薫とちふゆはLINEを交換します。電車に乗って、二人でちふゆの地元へ向かいます。ちふゆが風俗店で働くようになったのは、引っ越し資金を貯めるためでした。次第に金銭感覚がマヒして、普通のバイトに戻れなくなったちふゆは、学生の間はこの仕事を続けるつもりのようです。
零落の結末
漫画家であることを内緒にしていましたが、LINEを交換したことで、ちふゆに正体がばれてしまいます。別れ際、ちふゆはサインを書いてほしいと頼みました。サインをもらったちふゆは「大事にするね」と言い、去って行きます。
こうして夏が終わり、妻と別居した薫は仕事部屋を引き払い、家に戻ります。今も仕事は手つかずのままです。飼っていた猫はのぞみが連れて行ったため、会えずにいます。かわいがっていた猫に会えず、薫は寂しくてしかたがありません。自分からちふゆに連絡をすることはなく、ちふゆから連絡が来ることもありませんでした。年の瀬が近づき、薫はちふゆを食事に誘いました。既読がつきましたが、返事はありません。
出版社に出向き、担当編集者に会いに行きますが、会ってもらえませんでした。自由に描いてみようと思いますが、やはり何もアイデアが浮かびません。
元アシスタントの冨田がやってきます。彼女と言い合いになった直後、のぞみが郵便物を取りに家へやってきました。離婚届けを書いたか尋ねますが、のぞみは別れるつもりはないようです。猫が手術をすることを知った薫が、「どうしてそんな大事なこと言わないんだよ!」と怒ります。言い合いになる中、のぞみが仕事に出かけようとします。担当作家との打ち合わせがあると知った薫が、のぞみを無理やり押し倒します。
昔はやさしかった薫。漫画が売れなくなったことで、ようやく自分だけのものになるとのぞみは思いました。妻の本音を聞いた薫が「売れたらいいんだろ!」と部屋を出て行きます。
半年後、猫は他界しました。のぞみとは協議離婚し、薫は再び漫画を描き始めます。その後薫の漫画が話題となりました。書店でサイン会が開かれます。アシスタントだった冨田の漫画を書店で見つけた薫が本を購入し、中をチェックします。書店員から、冨田の漫画も話題になっていると言われた薫が「こんなんが売れてるんですか」と、漫画を机に投げ捨てます。「売れればそれが正義」と吐き捨てる薫。
サイン会には行列ができています。その中には、熱烈な薫のファンがいました。SNSに悪口が書かれる中、いつも味方でいてくれた女性が新作を絶賛してくれます。すると薫が「君は何もわかってない…」と嘆きます。
薫には漫画の才能があります。漫画に対して真剣な薫は、それが正しいことだと思い込んでいます。そのため、他人を思いやる気持ちを忘れがちです。「漫画を描き続ける限り、あなたは誰かを傷つける。死ぬまで一人ぼっち。君は化け物なんです。」と、学生時代の彼女に言われ、フラれた薫。だから猫顔の女性を見ると、薫は緊張してしまうのです。
以上、映画「零落」のあらすじと結末でした。
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