J・エドガーの紹介:2011年アメリカ映画。FBI初代長官ジョン・エドガー・フーバー(J・エドガー)の知られざる半生記。隠し通した真実と愛を描く。「だれよりも恐れられ、だれよりも崇められた男。」というキャッチコピーでクリント・イーストウッドが監督、『ミルク』(2008年)でアカデミー脚本賞を受賞したダスティン・ランス・ブラックが脚本を務め、レオナルド・ディカプリオが主役エドガー・フーバーを演じています。
監督:クリント・イーストウッド 出演:レオナルド・ディカプリオ(J・エドガー・フーバー)、ナオミ・ワッツ(ヘレン・ギャンディ)、アーミー・ハマー(クライド・トルソン)、ジョシュ・ルーカス(チャールズ・リンドバーグ)、ジュディ・デンチ(アニー・フーバー)、ほか
映画「J・エドガー」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「J・エドガー」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
J・エドガーの予告編 動画
映画「J・エドガー」解説
この解説記事には映画「J・エドガー」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
J・エドガーのネタバレあらすじ:1.プロローグ: FBI初代長官ジョン・エドガー・フーバー
1960年代、アメリカ、キング牧師を中心とした黒人公民権運動が盛り上がり見せていました。共産主義を嫌悪するFBI初代長官となったジョン・エドガー・フーバーは「キング牧師のCLCは共産党と繋がっている。どんな立派な人間も腐敗する。共産主義とは政治思想ではなく病気なのだ」と語り、キング牧師宅の盗聴を命じました。エドガーは自身の名声を残すため、スミス捜査官にタイプさせ、語り始めました。
J・エドガーのネタバレあらすじ:2.壮烈な人生の幕開け
1919年、エドガーがまだ司法省に入りたての24歳のとき、最初の上司であったA・ミッチェル・パーマー司法長官の自宅が、爆破テロを受けました。その夜は8件の爆破テロが同時に起きました。すべて共産主義者による犯行でした。当時の警察の捜査はとても杜撰なもので、現場に残された犯人の血を血痕も取らずに水で洗い流したり、指紋も採取せずに手袋をしないで証拠品を触ったり、現場のものを動かすなどが当たり前の時代でした。エドガーはその現場で犯人が残した証拠となるビラを拾いました。この爆破事件を受けて司法省は特別捜査チームを編成しました。エドガーはその責任者として任命されました。爆破事件で科学的な捜査が必要と開眼したエドガーは、過激派や容疑者たちをリスト化し、個人情報をファイル化していきました。エドガーは全国民の指紋などの個人情報データを集約し、犯罪捜査に利用する構想を抱いていました。そんな中、エドガーは若くて美しいヘレン・ガンディと出会いました。エドガーは彼女に一目惚れし、結婚を申し込みますが、断られました。エドガーは「仕事に生きる」と言うヘレンを自身の秘書としました。エドガーは部下たちと共に、過激派たちのアジトを襲撃し、見事に一斉逮捕することに成功しました。この成功を機に、エドガーは犯罪者や容疑者から指紋を採取し、データ管理するという科学的捜査を取り入れました。そんな折、エドガーは司法省捜査局の局長代行というポストに任命されました。エドガーはそこで捜査局が政治から切り離される事といった条件を出し認められました。FBIの前進となる組織の誕生です。権力を手中に入れたエドガーは盗聴などで得た極秘資料は、全てヘレンに託すことにしました。エドガーは時の大統領ケネディの盗聴までし、それをネタに自身の保身にも力を入れました。エドガーはクライド・トルソンという男を新任捜査官として雇い、直に副長官に任命して、常に彼を傍に置きました。トルソンは同性ながらも、エドガーに想いを寄せていきました。
J・エドガーのネタバレあらすじ:3.リンドバーグ誘拐事件
1932年、リンドバーグ家の乳児が誘拐されるという事件が勃発しました。この事件を好機とみたエドガーは、これまでの杜撰な捜査を改めるため、全米で採取された指紋など情報データを捜査局に集める法律などを作りました。エドガーの中央集権システムの第一歩が成されました。エドガーは独自の基準で、捜査官を厳選・採用し、綱紀を粛正し、科学捜査を導入してFBIを作り変えていきました。その一方でエドガーは政治家のスキャンダルを極秘ファイルとして収集して、自身の権限を縮小しようとする大統領を黙らせるという隠然とした力を得ていきました。エドガーの奮闘虚しく、リンドバーグ誘拐事件は乳児が遺体となって発見されるという悲劇的な結末に終わりました。しかし、これによりエドガー率いる捜査局は、逮捕権と武器を持つ権利を法的に得ました。そして数年後、エドガーは誘拐事件の犯人としてドイツ人のハウプトマンを逮捕しました。それを機にアメリカ国民は、FBIの指紋採取などの科学捜査の重要性に理解を示しました。エドガーは次第にアメリカでの権力を強固なものとしていきました。
J・エドガーのネタバレあらすじ:4.エドガーの裏の顔
エドガーは実は同性愛者でしたが、その事をひたすら隠して生きていました。母アンナ・マリー・フーバーは同性愛者や女々しい男を忌み嫌っていたからでした。ある日、エドガーは世間の目もあるため、自分を偽ってある映画女優と結婚をしようとしました。エドガーがその事を側近のトルソンに相談すると、トルソンは烈火のごとく怒り、エドガーに二度と女の話をしないように約束させました。エドガーはその権力を使って、政治家などを脅してきました。しかし、エドガーも歳には勝てず、その力は次第に及ばなくなってきていました。そんなある日の朝、エドガーはいつものようにトルソンと食事を共にしました。エドガーはトルソンに、盗聴したテープを使って、キング牧師のノーベル平和賞受賞を阻止しようと画策します。しかし、それは失敗に終わりました。そして、リチャード・ニクソンが新大統領として就任した頃、エドガーは「世の中の動きに無関心で、過去から学ぼうとしない社会は、やがて滅びる。我々は歴史を忘れてはならない」と考え、FBIの権力をより強固なものにしようとしていました。その頃、側近トルソンの様態は芳しくなく、エドガーはトルソンを失うことを酷く恐れていました。また、エドガーは自身の身に万が一のことがあればと、長年秘書として仕えてきてくれたヘレンに言い、極秘ファイルを彼女に託しました。ヘレンは「どんな圧力があっても渡さない」とエドガーに約束しました。
J・エドガーの結末:真実
そして、エドガーはトルソンと食事を共にしました。トルソンは引退しようとしないエドガーに、エドガーがスミス捜査官に自分の功績として語った回顧録は誇張されていて、嘘も混じっていると指摘しました。エドガーはそれを素直に認めて、トルソンに「局内には誰も信頼できる人はいない。君だけなんだ」と告げました。その夜、エドガーは自宅で倒れ、息を引き取りました。翌朝、その一報を聞いたヘレンは、いち早くエドガーの部屋の極秘ファイルを隠匿します。ニクソンは部下たちをエドガーの部屋に送り込み、極秘ファイルを回収しようと心ましたが、デスクの中には何も残ってはいませんでした。極秘ファイルの内容は誰にも知られることはありませんでした。トルソンはエドガーの家を相続し、棺を覆った星条旗を受け取りました。そしてエドガーの墓の傍で、トルソンも永眠しました。
以上、映画J・エドガーのあらすじと結末でした。
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