湯を沸かすほどの熱い愛の紹介:2016年日本映画。銭湯「幸の湯」を営む幸野双葉は夫が蒸発し、1人娘の安澄を育てながらパートで働く主婦です。しかしある日、体調不良で仕事中に倒れてしまい病院で診察を受けるとステージ4の末期がんであることがわかり、余命2ヶ月という宣告を受けてしまいます。治療の施しようもない中、双葉は残された時間でやっておくべきことをやると決めて動き出します。「湯を沸かすほどの熱い愛」は、日本アカデミー賞で、宮沢りえが最優秀主演女優賞、杉咲花が最優秀助演女優賞を受賞しています。
監督:中野量太 出演:宮沢りえ(幸野双葉)、杉咲花(幸野安澄)、篠原ゆき子(酒巻君江)、駿河太郎(滝本)、伊東蒼(片瀬鮎子)、松坂桃李(向井拓海)、オダギリジョー(幸野一浩)、ほか
映画「湯を沸かすほどの熱い愛」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「湯を沸かすほどの熱い愛」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
「湯を沸かすほどの熱い愛」予告編 動画
映画「湯を沸かすほどの熱い愛」解説
この解説記事には映画「湯を沸かすほどの熱い愛」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
「湯を沸かすほどの熱い愛」ネタバレあらすじ:起
パートとして働く主婦・幸野双葉(宮沢りえ)は夫が蒸発し、営んでいた銭湯「幸の湯」も休業し、1人娘の安澄(杉咲花)を育てています。ある日、パートの仕事中、双葉は倒れてしまい、病院で診察を受けるとステージ4の末期がんであることを宣告され、余命2ヶ月ほどであることがわかります。ショックを受け、1人銭湯の片隅で泣き崩れる双葉でしたが、自分が死ぬまでにやることを決め、動き出します。まず探偵の滝本(駿河太郎)から情報を得て、蒸発した夫の住まいを突き止めて会いに行きました。アパートの1室で別の女性と住んでいた一浩(オダギリジョー)は双葉と対面、双葉は事情を話し、銭湯を再開させるため、一緒に暮らすことを提案します。事情を知った一浩は別の女性の連れ子であった鮎子(伊東蒼)と一緒に双葉の元へ戻り、安澄を驚かせます。双葉はこれから銭湯を再開するため、4人で銭湯を掃除し、働くことを伝えます。
「湯を沸かすほどの熱い愛」ネタバレあらすじ:承
4人の家族生活が始まった中、安澄は学校で悩みを抱えていました。クラスメイトからいじめを受けていたのです。ある日、体育の時間が終了した直後、安澄の制服がクラスメイトによって隠されてしまい、ジャージで授業を受けなければならなくなってしまいました。翌朝、安澄は学校に行きたくないと双葉にいいますが、1人立ちしてほしい双葉は「このまま逃げていては変わらない、立ち向かわないと」と安澄を説得します。安澄は学校に行き、双葉の言葉を思い出し、先生もいるクラスの中で1人ジャージを脱いで下着姿になり、「制服を返してください、今は体育の時間じゃない」と訴えます。誰からともなく制服が返ってきた安澄が家に着くと、双葉が「がんばったんだね」と声をかけ、抱きしめます。一方連れ子であった鮎子は銭湯のお金を盗み、1人母親に会いに行きます。いつまでも帰ってこない鮎子を待っていた双葉たちですが、鮎子の誕生日が今日であったことで母親に会いに行ったことに気づきます。そして以前一浩が住んでいたアパートの前で座っている鮎子を見つけた双葉は、一緒に帰ろうと話します。翌日、鮎子は「ママが好きでもみんなと一緒にいていいですか。」と伝え、家族として双葉たちと生活していきます。
「湯を沸かすほどの熱い愛」ネタバレあらすじ:転
ある日、銭湯は一浩に任せ、双葉、安澄、鮎子の3人は車で旅行に出かけます。旅行の途中、向井拓海(松坂桃李)という青年が双葉たちに声をかけます。拓海は北海道出身のバックパッカーで、どこまで自力でいけるか旅をしているとのことでしたが、双葉はタバコを吸っていたその表情から拓海の嘘を見破ります。拓海は北海道出身ではなく、家への反発から目的なく旅に出たと告白します。双葉は拓海に対し、今から北海道に向かうことが目標であることを告げ、拓海を抱きしめます。感動した拓海はまた会いに来てもいいですかと約束を取りつけ、双葉たちと別れます。そしてカニを食べるために立ち寄った食事処で、双葉は安澄の本当の母親である酒巻君江(篠原ゆき子)と会います。君江は耳が聞こえない障害をもちながら、食事処で働いていました。自分の娘が来ていることに気づかないことから双葉は君江を引っ叩きます。そして安澄に本当の母親は自分ではなく君江で、娘の声が聞こえないなど、母親としての役割を果たせないことで育てられなくなった君江に代わって自分が一浩と結婚し、安澄を育てたことを伝え、この場に残り君江に会うよう安澄に伝えます。君江は外で待っていた安澄に筆談で、もしかして安澄ちゃん?と尋ね、2人は手話で会話し始めます。安澄に、将来必要になるからと双葉が手話を勉強させ、毎年送られてくる君江からのカニのお礼の手紙も安澄に書かせていました。こうして、父親と一緒に暮らして銭湯を再開する、気の優しい娘を独り立ちさせる、娘に本当の母親のことを伝える、という3つのやるべきことを果たした双葉。安澄と君江の会話が終わった後、鮎子に安澄を迎えに行くよう伝えますが、病気の悪化からか、双葉はその場に倒れてしまいます。
「湯を沸かすほどの熱い愛」結末
双葉は入院することになり、銭湯は双葉以外の3人で営業するようになりました。君江と安澄はメールで連絡を取り合う仲となり、近々会いに来る予定です。一浩は入院している双葉が心配で、いつも面会に行っている安澄と鮎子に、なんか言ってた?と尋ねますが一浩へのメッセージは特にありません。そんな中、双葉は探偵・滝本(駿河太郎)に自分の本当の母親を調べてほしいとお願いし、世田谷に健在であることが分かります。そして会いに行くことにしました。昔、双葉は母親に捨てられた過去があったからです。しかし滝本が双葉に代わり先に家へ行って尋ねるとそこには違う家族と暮らしている母親が。しかし母親は、自分にはそんな娘はいないと言って追い返してしまいました。悔しい双葉は玄関にあった置き物を投げつけ、窓ガラスを割って逃げました。双葉の体調は日に日に悪くなっていきます。そんな中、拓海は北海道へ行った目標を達成したため、双葉に会いに来ました。事情を知った拓海は銭湯を住み込みで手伝うようになります。そこへ君江も訪れます。一浩は双葉に新婚時代、いつかピラミッドを見せてやると伝えたことがあります。しかしいまだに見ていないと双葉は嘆いていたこともあり、一浩はみんなに土下座してある計画に協力してくれるよう頼みます。それは夜、病院の庭から安澄・鮎子・滝本・拓海・君江・一浩の6人で組立体操のピラミッドを見せることでした。俺がみんなを支えるから任せろ、安心しろと聞いた双葉は感動し、死にたくない、生きたい、生きたいと泣き崩れます。それから夏が来て、銭湯では拓海が手伝い、安澄は昼ごはんを作り、それぞれ生活に馴染んできました。しかし双葉は容態が思わしくなく、話もできない容態となっていき、安澄に何かを必死に伝えようとする姿に、安澄は必死に涙をこらえながら、笑顔でお母ちゃんを一人ぼっちにしないから安心して、もう大丈夫だよ、と伝えます。そして双葉はとうとう亡くなってしまいました。銭湯で双葉のお葬式が行われます。親族との最期の別れをして、双葉を霊柩車に乗せて出発しますが、霊柩車は川のほとりに停まり、一浩と滝本が話をしています。傍では他のみんなが楽しそうにお弁当を食べています。葬式の後、安澄、一浩、鮎子、君江は銭湯のお風呂に入っています。双葉の火葬を銭湯で行ったのです。安澄たちはお母ちゃんの温かさを感じているのでした。
以上、映画「湯を沸かすほどの熱い愛」のあらすじと結末でした。
「湯を沸かすほどの熱い愛」感想・レビュー
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宮沢りえは、私生活から好きになれない人でした。今日、映画を観て全く考えが変わりました。凄まじい演技です。蒼井ゆうも素晴らしい表情をします。これが演技です。ストーリーも驚きの連続でしたが演技派女優のしょうりです
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「12回泣いた」と、ある芸能人がテレビで言っていて「そんな訳ないでしょ」と思いながら見ました。泣きました。何回泣いたか覚えていないし、何ならずっと泣きっぱなしでした。泣かせるシーンでもないのに、とにかく心に沁みるものがあって泣かされてしまうような場面もありました。泣いた、と言っても物語は決して悲劇的ではなく、逆に終始明るいムードがたちこめています。主演の宮沢りえが「脚本を読んで絶対にやりたいと思った」という双葉という女性の人生を、少しでも多くの人に見てもらいたいと思います。女優としての宮沢りえのこともきっと大好きになります。まだ映画を見ていないでこれを読んでいる人には、「いやいやとにかく早く見た方がいいよ!」と言いたいほど大好きな作品です。
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宮沢りえさんと杉咲花さんの演技力が本当に高くて収支涙が出っぱなしでした。安澄が本当の母親は双葉ではないと知ったシーンがすごくリアルで苦しくなりました。一人一人がちゃんと家族になっていき双葉にピラミッドを見せるシーンは本当にすごかったです。
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宮沢りえと杉咲花の演技とは思えない熱い感情を抱きました。最高に良かった。
余命宣告されたものも、宮沢りえさん演じる母親のたくましい姿がとても印象的でした。家族を支えていく中で、母の愛が子にとどまらず、様々な人に注がれていく様子が丁寧に描かれており、心を揺さぶられます。ラストで映画のタイトルに、とても納得させられました。