blank13(ブランク13)の紹介:2017年日本映画。放送作家・はしもとこうじの実体験に基づくエピソードを俳優・斎藤工が“齊藤工”名義で自身初の長編作品として監督を務めたヒューマンドラマです。多額の借金を抱え、まだ幼い兄弟と母を残して失踪した父。13年後に再会した時には父は既に病魔に蝕まれており・・・。
監督:齊藤工 出演者:高橋一生(松田コウジ)、斎藤工(松田ヨシユキ)、神野三鈴(松田洋子)、松岡茉優(西田サオリ)、佐藤二朗(岡宗太郎)、村上淳(多田マサシ)、リリー・フランキー(松田雅人)ほか
映画「blank13」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「blank13」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
blank13の予告編 動画
映画「blank13」解説
この解説記事には映画「blank13」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
blank13のネタバレあらすじ:起
とある小さな斎場では松田雅人(リリー・フランキー)の葬儀が行われていました。喪主は長男で大手広告代理店に勤めるヨシユキ(斎藤工)が務め、現金輸送車の運転手である次男・コウジ(高橋一生)の恋人・西田サオリ(松岡茉優)が受付を担当していました。ところが、参列者と思われた人々はすぐそばの大きな寺で盛大に執り行われている“松田宗太郎”という人物の葬儀への参列者であり、雅人の葬儀には数えるほどの参列者しかおらず、生前に雅人から離婚を突き付けられていた兄弟の母・洋子(神野三鈴)の姿はありませんでした。ヨシユキはあまりの寂しい光景に「なあ、向こうの寺の葬儀を見た? 人の価値を教えられた気がして・・・」とコウジに呟きました。
コウジ(大西利空)とヨシユキ(北藤遼)がまだ少年だった頃、雅人は毎日のように仲間たちと駆け麻雀に興じていました。洋子やヨシユキはそんな雅人を快く思っていませんでしたが、よく河原でキャッチボールをしたり甲子園球場に連れていったりしてもらっていたコウジだけは父を悪く思わず、むしろ学校の作文の題材にするほどでした。
blank13のネタバレあらすじ:承
無類のギャンブル好きだった雅人は400万円もの借金があり、自宅のボロアパートには連日のように借金の取り立て人が執拗に返済を迫り、居留守を使ってやり過ごすしかない一家は非常に肩身の狭い思いをしていました。そんなある夜、まだいくらか煙草が残っていたにも関わらず、雅人は洋子に「煙草を買いに行ってくる」と告げて外に出たまま失踪してしまいました。
雅人の帰りを待つ暇もなく、洋子は夫の借金を返済するために朝は新聞配達、昼は内職、夜はホステスと必死で働き、コウジとヨシユキも家事や新聞配達の手伝いに必死でした。洋子は新聞配達中に交通事故に遭って大怪我をしても病院にも行かずに働き続け、苦しい生活に耐えかねたヨシユキは「なんで俺がこんなことしなけりゃならないんだよ」と愚痴をこぼしました。
それから13年後、ヨシユキは雅人が末期の胃ガンに侵されており、余命3ヶ月と宣告されたことを知り、久々に再会したコウジと洋子にそのことを伝えました。
blank13のネタバレあらすじ:転
ヨシユキは雅人が入院している病院を把握していたのですが、ヨシユキと洋子は見舞いに行く気はなく、唯一雅人との楽しい思い出があったコウジが一人で見舞いに出向きました。雅人と13年ぶりに再会したコウジは互いに近況を話し合い、思い出話に花を咲かせましたが、雅人の携帯電話には相も変わらず借金取りから催促の電話が鳴り響いており、父が少しも変わっていなかったことに失望したコウジはそのまま病院を後にしました。コウジはそのまま二度と見舞いには行かないつもりでしたが、この時既にコウジの子を身籠っていたサオリからもう一度見舞いに行くよう促され、雅人はコウジとサオリの来訪を喜ぶと金がないにも関わらずコウジにお小遣いとして現金を握らせました。コウジはやり切れない思いをバッティングセンターのバットにぶつけていました。
程なくして雅人は亡くなり、葬儀にはヨシユキとコウジ、サオリが遺族代表として参列しましたが、未だに洋子は斎場に姿を見せないままでした。やがてお経を読み終えた僧侶は数少ない遺族以外の参列者に故人とのお別れの挨拶を促しました。
blank13の結末
雅人の麻雀仲間だった岡宗太郎(佐藤二朗)は雅人を大バカ者といいながらも、困った者を放っておけず踏み倒されると分かっていても金を貸し、決して踏み倒した者たちを恨まなかったお人好しぶりを打ち明けました。雅人が行きつけだったスナックの店員・吉田(伊藤沙莉)は、雅人がよくママの相談に乗っていたことや店のカラオケでテレサ・テンの「つぐない」を歌っていたことを明かしました。
多田マサシ(村上淳)は雅人から託された手紙を読み上げ、その中身はコウジやヨシユキ、洋子、そして仲間たちへの感謝が綴られていました。マサシが「1曲歌ってくれ」という手紙のメッセージに従って熱唱していた頃、洋子は喪服姿のまま少年野球を見つめていました。
手紙には更に、雅人の歯は6本がプラチナが埋め込まれており、火葬した後に息子たちとマサシにあげると書かれていました。その後も参列者からコウジやヨシユキも知らなかった雅人の一面が明かされていきました。更には何と葬儀の場に借金取り(波岡一喜、森田哲矢)が現れ、手を合わせていきました。
そして喪主のヨシユキは「父との良い思い出はありません。母が苦しむ姿を見てきたので僕はこの人が死ぬほど嫌いでした。ただ、皆さんの・・・」と言いかけたところで言葉を詰まらせて斎場の外へ出ていきました。そこでヨシユキは、向かいの寺の葬式に“泣き屋”(榊英雄、金子ノブアキ、村中玲子)がいたことを知りました。ヨシユキに代わって挨拶したコウジは「僕も父のことが大嫌いです。でも、少し好きな気もします。よくわかりませんが今は哀しい気もします」と語りました。その頃、洋子はかつての住処のアパートで雅人が残した煙草に火をつけていました。そしてコウジとヨシユキ、サオリは雅人の火葬に立ち会いました。
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