クリーピー 偽りの隣人の紹介:2016年公開日本映画。第15回日本ミステリー文学大賞新人賞を獲った前川裕原作の小説「クリーピー」を映画化した作品。実際に起きた事件、北九州一家殺人事件をモデルにしたとも言われる。新居に越してきた高倉夫婦はある日から隣に住む西野という奇妙な男に不信感を覚え始める。同じ頃、昔の同僚の願いで六年前に起きた一家失踪事件を調べることになる。そこで唯一の生存者である娘の早紀に会う。事件の話しを聞く内ある一人の男の存在が浮き彫りになった。そしてある日隣に住む西野の娘の口から衝撃の言葉が出てくる。あの人お父さんじゃない、知らない人です。
監督:黒沢清 出演:西島秀俊(高倉幸一)、竹内結子(高倉康子)、川口春奈(本多早紀)、東出昌大(野上)、香川照之(西野)ほか
映画「クリーピー 偽りの隣人」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「クリーピー 偽りの隣人」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
クリーピー 偽りの隣人の予告編 動画
映画「クリーピー 偽りの隣人」解説
この解説記事には映画「クリーピー 偽りの隣人」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
クリーピー 偽りの隣人のネタバレあらすじ:引っ越し
ある事件をきっかけに刑事を辞め、犯罪心理学者として大学講師になった高倉(西島秀俊)は妻の康子(竹内結子)と共に新しい町へ越してきた。越してきてすぐあいさつをしようと康子が隣の家へ行くとその家の主人西野(香川照之)が顔を出した。彼はどこか奇妙で話もうまくかみ合わず康子は少し気味悪さを感じていた。ある日、大学で働く高倉の同僚が数々の事件を研究のためまとめているのを知る。その中の一つ、6年前に起きた一家失踪事件に興味を惹かれた。そして同僚の誘いでその事件の現場となった家へと足を運ぶことになった。現場に着くと高倉はすぐに犯罪現場特有の雰囲気を感じた。そしてこれ以上足を踏み入れてはいけない、そう感じ家に入ることなくその場を後にした。ある日高倉の働く大学にかつての相棒 野上(東出昌大)が現れた。彼は高倉が例の事件現場へ出向いていたことを知っていた。そして自分もその事件に引っかかっていることを告げる。そして二人でその現場へ向かうことにした。現場の近くに一人の女性が立っていた。それは事件の唯一の生存者、当時中学生だった娘の早紀(川口春奈)だった。彼女の存在を知っていた二人だったが何故彼女がこの現場にいるのかその時は分からなかった。彼女は覚えていることは全て警察に話したと事件の詳しい話はしないで去ってしまった。しかし野上は犯罪心理学に秀でている高倉なら彼女から話を聞き出せるだろうと思っていた。ある日高倉が家に帰るとそこには西野と彼の娘澪の姿があった。二人は康子に料理を教えてもらうために来ているのだという。しかしその時既に高倉は西野の奇妙な言動に不信感を抱いていた。
クリーピー 偽りの隣人のネタバレあらすじ:一家失踪事件
高倉は大学で同僚の助けを借り早紀の話しを聞く準備をしていた。早紀が今になって現場に姿を現したのは最近になり当時の記憶が断片的によみがえってきたからだと言う。記憶が真実か早紀本人にも曖昧だったが十の内一つは本物があるかもしれないと思い大学で話しを聞くことにしたのだ。そして話を聞く内にいくつかの新しい事実が見えてきた。家族が早紀の知らない人間と電話で話をしていたこと、事件が起こる前、外から部屋の窓を見上げる男を見たこと、そしてこの男こそが事件の鍵を握るのではないか高倉はそう感じていた。そんなある日、失踪事件の現場の隣家から五人の遺体が発見された。その内三体は失踪した家族のものであろうと野上から高倉へ伝えられた。そして二体はその家の夫婦のものであろうと。当初早紀が話していた男はその隣の家の人間だと思っていた高倉。しかし遺体が発見されたことにより謎はさらに深まってしまった。ある日高倉が近所で犬の散歩をしていると自分の家を見下ろす通りにでた。そして自分の家と一家失踪事件の家の並びが似ていることに気付く。すぐに野上の連絡し西野の素性を調べるように指示した。西野に関する情報を調べた野上は自らの足で西野の家を訪れた。いつもと変わらぬ様子で野上を家に上げた西野だが、少し待っているように言い残し部屋の奥へ行ってしまった。その西野の様子を見て野上は嫌なものを感じた。今野上が見た男は自分の持っている資料にある西野の免許証に写っている男ではなかったのだ。戻ってこない西野を名乗る男を追うように野上は家の奥へ入っていった。
クリーピー 偽りの隣人のネタバレあらすじ:西野の正体
ここ最近康子の様子が少しおかしかった。話しを聞いても何も言わず隠れて誰かと電話するまでになっていた。康子は夫のいない間に西野と会うようになっていたのだ。いつしか西野に逆らえなくなっていた康子、その腕にはいくつかの注射の跡がついていた。ある夜、西野の隣の家から火の手が上がった。慌てて家に駆け寄る高倉、しかし玄関からも炎が噴き出し近寄れなかった。その時西野の家からはテレビの映像が漏れていた。この非常事態にも西野が家から出てくる気配はなかった。ある日西野に家に呼ばれた康子、そこで見た光景に驚愕した。地下室と思われる部屋の真ん中に女が横たわっていた。西野は澪と一緒に女を処理するように言う。逆らえない康子は澪の言う通りに女をビニール袋に入れ始める。高倉が帰るとそこに康子の姿は無かった。窓の開いたままの部屋の様子に不安を覚える高倉、そこに突然玄関のチャイムが鳴った。インターホンからは澪の切羽詰まったような声がした。すぐに玄関を開けると中に飛び込んできた。玄関のカギを閉めキッチンの隅で震える澪。高倉は先日澪が話した事を思い出した。「あの人お父さんじゃありません。知らない人です」その時は確証が持てなかったが今は分かる。玄関から激しくドアを叩く音がする、それと同時に澪を呼ぶ声西野の声が聞こえる。澪に警察を呼ぶようにいい家の前で西野を捕まえた。地面に押し倒しこれで全て終わりに思われたが、そこへ康子が現れた。西野を離すように説得する康子、さらにそこにパトカーが現れる。騒動を制止させるために叫ぶ警官、そして家から出てきた澪が高倉にこう叫ぶ。「私まだ警察に電話してない!」なんと、西野ではなく高倉がパトカーに押し込まれてしまった。
クリーピー 偽りの隣人の結末:真相
取り調べを受ける高倉のもとに一人の刑事がやってきた。彼は高倉に話があると取り調べをしていた警官を外に出した。先日高倉の家の近所で起きた火事でいくつかの遺体が発見された。その一つが野上のものであることが判明、さらに拳銃が一つ紛失していること。野上が西野の事を調べていたその直後の出来事だった。何かがあると感じた刑事は高倉を連れ出し同じく警察署に来ていた西野と話をさせることにした。しかし西野は一足先に警察署を出ていた。康子が一人でいる事に危険を感じた高倉は刑事と二人家へ向かった。刑事はすぐに西野の家へ向かい高倉は康子を探しに自分の家へ入る。しかし自宅に康子の姿は無かった。康子のいる場所の検討はついていた。西野の家へ向かった高倉は奥の部屋で力なく座り込んでいる康子を見つけた。連れ出そうとするもほとんど歩くこともままならないでいた。その部屋のさらに奥に地下室のようなものがあることに気付いた高倉。その部屋の真ん中にぽっかりと穴が開いていた。そこには先にここへ来ていた刑事の姿があった。意識のない彼を助けようとしているとそこへ西野が姿を現した。手には銃を持っている。しかし西野は撃ってはこなかった。銃を構えこちらに向けるもどこか躊躇している様子だった。西野は数々の犯罪は人の手を借りて行っていた。自分では何も出来なかったのだ。それを察した高倉は西野を追い詰める。しかし突然手に鈍い痛みを感じその場に崩れ落ちてしまった。康子の手には注射器が握られていた。目を覚ました高倉は車に手錠で繋がれていた。車には西野、澪、康子、犬のマックスの姿もあった。新しい土地へ行こうとしていた。家族が増えたと喜ぶ西野だが高倉はまるで意識を失ったかのように車に揺られていた。ある廃屋の駐車場で車が止まった。新しい家を見つけそれぞれの役割を考える西野。マックスとはしゃぐ西野は突然マックスが鬱陶しく感じる。そして処分を銃の扱いに長けた高倉へ命じる。マックスに近づく高倉、そして振り返った高倉は西野に『これがあんたの落とし穴だ』と言い、西野にめがけ3発発砲した。倒れた男を見て澪ははしゃいでいた。高倉と康子は静かにその場を離れた、そして泣き崩れる康子を高倉は抱きしめるのだった。
「クリーピー 偽りの隣人」感想・レビュー
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ミステリーというよりは、ホラー映画のように感じられる作品です。黒沢清監督の作品はたくさん見ましたが、実際に起こった事件が題材ですから、いつもより怖い。実は昔住んでいた家の隣人が、孤独死していたことがあって。なぜもっと早く気づけなかったのだろうかとか、確かあのとき大きな音がしたな、とか申し訳ない気持ちになりました。とても他人ごとでは済まされない映画です。
あと、掃除機で遺体を吸うシーンは忘れられません。母を処理する娘の気持ちはとても壮絶なんだろうな、と。それをさせる香川さんは本当にどうかしている! -
ホラー映画ではないんですが、心理的にかなりえぐられる作品です。
かなりいっちゃってるサイコパス役を香川照之さんが演じているんですが、もうすごい…
人を殺すことを何も思ってない、なにかが欠如した人間ってこんななんだ…とショッキングでした。
ホラー、オカルト、サスペンス好きな私ですが、映画館帰りにここまで心理的に気分が悪くて仕方がなかった作品は初めてです。 -
元刑事の妻、何か嘘っぽい演出!引っ越してすぐ変な感じのお隣になんかシチューの残りものとか一般人でも持っていかない!ましてや殺人事件担当をやっている刑事の妻、リスクまるでなし!最初からシラケた!!
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香川照之さんの演技が凄すぎる。西島さんは、やはり刑事役がしっくり来ますね。終始ハラハラドキドキで面白かったですが、最後の終わり方が少し物足りなかったです。
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辞めた理由も把握している元刑事(しかも捜査一課)の妻としては危機感のなさ過ぎる隣人への接触には確かにイラッとしちゃう。
高倉も高倉で、西野は自身では手を下さない、出来ないだろうと挑発してたけどアレも普通に危ない。実際躊躇する女の子から銃奪ってお母さんをサクッと撃ってたし。
ストーリーはしっくり来ないけど皆さんの演技、迫力が兎に角すごいしサイコパスの世界なんて実際しっくりこないのがリアルなのかなー。
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あの注射器の薬は一体何?
何故あの家の並びの所で反抗を犯すの?
犯人の目的は単なるサイコパス?
確かに不気味な映画でかなり惹きつけられたけどよくわからない部分も多々有った。 -
西島さんが打たれた注射は何なの?最後に香川さんを撃てたのは、そんなに束縛出来る効果のある薬ではなかったってことなんだろうけど、香川さんはどうしてあんなに自信満々だったの?最後だけ謎なんだけど。
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うーん。そもそも警官が1人で訪ねたりするかなぁ、なシーンが何回もあったり。警官の妻なんだよね?と言いたくなるほど警戒心がない上に、夫に対して何がしたいんだこの妻は。とか。西島秀俊さんは仕事を選んだ方が良いのでは?と思うことが多いです。良い作品を選ぶ力も俳優の力なのかも。香川さんは相変わらず怪演ぶりがすごい。
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ちょっと非現実的すぎて無理があるかなあという映画でした。最後に犯人(香川)を拳銃で撃って終わりではなく、心理的に追い詰めて行って欲しかったです。
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観終わってから感じた事は
サスペンスというより
ホラー映画よりな感じがしました
最後の高倉の妻(竹内結子)が寄り添って行って注射を打つ??
このシーンは西野(香川照之)を
騙して打ってなかったのでは?と
感じました
かろうじて高倉の妻も正気が
残っていて夫(西島秀俊)が
何とかしてくれるのを期待しての
最後の
抱き合って泣いていたのではと
思いました(無理があるかも知れませんが) -
一家失踪でなぜサキだけ残されたのか…それはミオと共通してるのかな。ニシノは娘を大切にする(歪んでるけど)傾向が?ミオは色々バレそうなことしてたのに制裁されてなかったし。2人は家族構成が同じだったし。でもなぜサキにはミオみたいに偽りの家族にならなかったんだろう。
ニシノと対峙したタカクラ夫婦、ヤスコは注射を打つ前にそっと寄り添ってる。やられたふりをしよう、とか提案していたのかな。
行動が軽率すぎてツッコミどころ多かったけど、後味の悪さは良かったかな。 -
冒頭からダーク。西野家(香川照之)の家族関係や高倉家(西島秀俊)の出会い方、6年前の事件との関係、刑事としての立ち振る舞いや隣人同士のやりとり、人を操れる謎の注射液?全てにおいて現実離れしていて全くリアリティを感じない作品に感じられる。1つだけ良い点を上げるとしたら、サイコパスな犯人を演じた香川照之の気味の悪い演技力でしょうか。ラストも後味が良くなかったです。
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もうストロベリーナイトのパラレルワールドみたいな感じでしたね。えぇ。なんだろう、それって私の感想ですよね。結局田中家の爆発はガス漏れによるものでしたが、異様なのは家から3体もの遺体が見つかった事です。 2体は田中母娘、残された1体はなんと野上(東出昌大)のものでした。 その事実をベテラン刑事・谷本(笹野高史)からの聞き込みで知らされた高倉は愕然としながら、犯人は西野(香川照之)だと断言します。
香川照之が気持ち悪い。以前みたオムニバスホラー映画「怖い女」の鋼の兄を思い出す気持ち悪さ。普通に日本語を話しているだけなのに道理が通じないってのは言葉が通じない以上に恐ろしいことだなと本作で感じた。実際、北九州で似たような事件があったのも踏まえると恐ろしさが増してくる。とりあえず口直しにNHK教育でやっている香川照之のカマキリ先生を見て心落ち着けたいと思います。