極道めしの紹介:2011年日本映画。土山しげるの人気グルメ漫画を映画化した作品。舞台はとある刑務所。受刑者達がおせちを賭け今までに一番美味しかった食べ物について語り合います。様々な事情を抱えた受刑者達の思い出の味にまつわる悲喜こもごもを描いた心温まるヒューマンドラマです。
監督:前田哲 出演者:永岡佑(栗原健太)、勝村政信(南真太)、落合モトキ(相田俊介)、ぎたろー(島本譲)、木村文乃(水島しおり)、田畑智子(栗原あや)、木野花(相田千鶴)、田中要次(石原刑務官)、麿赤兒(八戸伍三郎)ほか
映画「極道めし」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「極道めし」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
極道めしの予告編 動画
映画「極道めし」解説
この解説記事には映画「極道めし」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
極道めしのネタバレあらすじ:起
舞台はとある刑務所。204号室には年配の八戸伍三郎を筆頭に五人の受刑者が寝食を共にしています。新入りの栗原健太は刑務所の生活に馴染めず、粗末な食事は犬の飯のようだと悪態をついては仲間達におかずを横取りされてしまいます。季節はちょうどクリスマス、204号室では恒例のおせち争奪戦が開かれようとしていました。それはこれまで生きてきた中で最も美味しかった食べ物について語り合うというゲームで、優勝者は正月に出るおせち料理の中から好きなおかずを参加者全員から貰うことができます。年に一回のご馳走おせちを賭けて 気合いが入る受刑者達ですが、食べ物に良い思い出などない栗原は皆の輪の中に入ろうとはしないのでした。
極道めしのネタバレあらすじ:承
一番目の語り手は元ホストの青年相田俊介でした。同僚ホストに怪我をさせた上働いていた店から金を盗みだした俊介は、都会から逃れるように8年ぶりに実家へと帰ってきます。優しき母は何も言わずに食事を作り、夕飯の食卓には畑で採れた新鮮な野菜や土鍋でふっくらと炊きあげたごはん、そして産み立ての生卵がならびます。俊介は炊き立てのご飯の上にバターをのせ、その上に生卵を割りいれ、さらに焼いたとうもろこしの実を散らして威勢よくかきこんでいきます。これが彼の最も愛する黄金めしなのでした。俊介の母の優しさに受刑者達は涙を流しはじめ、各々もお袋の味を思い出し始めます。話を聞いていた栗原もある光景を思い出していました。彼にとっての思い出の味は母が作ってくれたふわふわのホットケーキなのでした。
極道めしのネタバレあらすじ:転
二番目の語り手は元テキ屋の南真太です。南はある夏息子と恋人のタマ子とともに海水浴に出かけた時のことを話します。海辺でバーベキューをし、新鮮な海老やホタテを焼いて食べたことを嬉々として語りますが、審査員長の八戸が下した評価は1点でした。三番目はちゃんこという愛称で呼ばれている島本譲です。元々ちゃんこは相撲部屋の力士でしたが、厳しい稽古に耐えられずプロレスラーに転身するためあるプロレス団体に入ります。しかしプロレスの修行も想像以上に過酷でちゃんこはついに寮から逃げ出してしまいます。空腹のまま街を彷徨っていたところを助けだしてくれたのがスナックのママをしている真里という女でした。真里は腹を空かせたちゃんこのために特大のオムライスを作ってくれます。残り物のカレーをかけて食べすすめていくとオムライスの中にはカルボナーラまで入っていました。真里の手料理に勇気付けられたちゃんこは厳しい稽古に耐え、ついにリングデビューすることが決まります。真里はこの報告を自分のことのように喜び、今度は特大のおっぱいプリンを振る舞ってくれます。しかしそこへ真里の昔の男が入ってきて、スナックの売上金を巻き上げようとします。怒ったちゃんこは男にプロレス技をかけて倒したものの逮捕されてしまいます。連行されていくちゃんこに真里は出所を待っていることを涙ながらに伝えるのでした。特大オムライスとおっぱいプリンは受刑者達の心を鷲掴みにし、ちゃんこは八戸から満点となる3点を貰いました。しかし話を聞いていた栗原は真里が待っているわけなどないと横やりを入れます。その態度に怒りだした受刑者達と栗原で取っ組み合いの喧嘩が始まってしまうのでした。五人は連帯責任として独居房に入れられてしまいます。その後喧嘩のきっかけを作った罰としておせち争奪戦に参加するよう八戸から促された栗原はこれまでの人生について語り始めます。
極道めしの結末
栗原の子供の頃の大好物は母親が特別な日に作ってくれるホットケーキでしたが、その母はある日彼を置いて家を出ていってしまいます。その後栗原は養護施設で育ち、ヤクザとなりました。ある日偶然入った中華屋で施設で一緒だった水島しおりという女性と再会します。恋に落ちた二人はやがて付き合い始めますが、栗原はヤクザから足を洗うことができません。やがて抗争に巻き込まれ町を出ていくことを余儀なくされた栗原にしおりはラーメン店を開業するために貯めていた貯金を渡します。そしてしおりは最後にキャベツやねぎの沢山入った特製のインスタントラーメンを振舞ってくれるのでした。逮捕された後もなお面会にやってきていたしおりに対して、栗原は俺のことは忘れて幸せになって欲しいとだけ告げたのでした。栗原の話は満点を取ることはできませんでしたが、受刑者達は過去をさらけ出して語った新入りをようやく仲間として受け入れるようになっていくのでした。最後の語り手八戸は貧しかった少年期に食べたご馳走について回想しはじめます。それは牛肉やねぎ、うどんを入れて食べたシンプルかつ贅沢なすき焼きでした。結局八戸のすき焼きが好評を得て見事その年のおせち争奪戦を制したのでした。それから三年が経ちました。出所した栗原は街角でしおりという名のラーメン屋を見つけます。店に入ってみると厨房でラーメンを作っているしおりの姿がありました。栗原は懐かしい気持ちでいっぱいになりますが、彼女がすでに夫や子供に囲まれ幸福な生活を送っていることを知ります。栗原はラーメンを頼むと涙を流しながら食べ、しおりに声を掛けることなく店を後にします。外へ出れば町はクリスマスで華やぎ、空からは雪が舞い落ちてくるのでした。
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