岸辺露伴 ルーヴルへ行くの紹介:2023年日本映画。荒木飛呂彦の大人気コミック「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズのキャラクター・岸辺露伴。彼を主人公にしたスピンオフコミック「岸辺露伴は動かない」はNHKで実写ドラマ化され、2022年末までに8話が放送されている。本作はそのNHKドラマの劇場版。スタッフ・キャストはドラマと同じく監督は渡辺一貴、脚本はアニメ版同様小林靖子、主役の岸辺露伴は高橋一生、編集者の泉京香に飯豊まりえ。なにわ男子の長尾謙杜がデビュー直後の若き露伴を演じている。
監督:渡辺一貴 原作:荒木飛呂彦 脚本:小林靖子 出演:高橋一生(岸辺露伴)、飯豊まりえ(泉京香)、長尾謙杜(岸辺露伴<青年期>)、安藤政信(辰巳隆之介)、野口エマ(美波)、白石加代子(岸辺露伴の祖母)、木村文乃(奈々瀬)ほか
映画「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」解説
この解説記事には映画「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
岸辺露伴 ルーヴルへ行くのネタバレあらすじ:起
怪しげな古物屋を訪れている有名漫画家の岸辺露伴。彼を知らない店主は漫画家ということで見下した話し方をしますが、憤慨した露伴によって〝ヘブンズ・ドアー〟を掛けられてしまいます。露伴はそこに「全ての作品は最大の敬意をもって扱う」と書き込みました。床に落ちていたオークションの図録で黒い絵を見つけた露伴は、出版社の担当編集である泉京香に命じ取材でオークションに参加する許可を取り付けます。
その会場で目当てのモリス・ルブラン作『Noire』(黒い絵)を競り落とそうとする露伴でしたが、スーツ姿の男ふたりに阻まれ金額がどんどん吊り上がっていきます。ようやく150万円で落札した露伴はそれを自宅に持ち帰り泉に「この世に存在し得ない黒がある」と語りますが、残念ながらこの絵は求めていた物ではなかったと言います。
何者かの気配を感じ露伴が外に出ると、オークションで競り合った男が潜んでいました。露伴はその男を倒しますが室内へ侵入したもうひとりの男に黒い絵を盗まれてしまいます。犯人は少し逃げたところで絵の裏側の紙を破りますが、求めているものが見つからず代わりに黒い染みを触ってしまいます。小さなたくさんの蜘蛛が彼の首のあたりをはい回り、なぜか大きなトラックが迫ってくるような音がして男は絵を捨てて逃げ出します。
絵を取り戻した露伴と泉はその裏に「これはルーブルで見た黒、そして後悔」とフランス語で書かれているのを発見し、露伴は次の取材先はルーブルだと宣言します。
一方露伴の家から逃げ出した男は雇い主らしき人物に「岸辺露伴はとんでもない男だ。俺はおりる!」と電話をし、相棒にも電話をかけますがつながりません。絵を捨てた方の男は車の通れない狭い山道で轢死体となっていました。
岸辺露伴 ルーヴルへ行くのネタバレあらすじ:承
かつてデビューしたての青年・露伴は、仕事に専念するため祖父の死後廃業した古い旅館に滞在していました。祖母が家財道具や美術工芸品を売り払い、部屋を貸し出していたのです。そこには露伴のほかに奈々瀬という女性が暮らしていました。
編集者に女性キャラに魅力がないと言われ気にしていた露伴は、ある日勝手に奈々瀬の姿をデッサンし本人に見とがめられてしまいます。非礼を詫びた露伴に対し奈々瀬は、「今度あなたの作品、読んでみたいわ」と言って許してくれました。
数日後、彼女の殺風景な部屋にひっぱり込まれた露伴は作品を見せるようせがまれます。未完成だからと断ると突然電球が切れ、露伴が部屋の隅にあったランプを灯すと彼女はこの世で最も黒い絵について語り始めます。200年以上前、山村仁左右衛門という絵師が描いた最も邪悪な絵。ご神木から取った顔料を使ったその絵は決してみてはいけないしさわってはいけない、と奈々瀬は言います。そして急に露伴を追い出し、しばらくして玄関から飛び出していってしまいました。
翌日、玄関で音がしたので露伴がとんでいくと奈々瀬ではなく祖母が立っており、蔵の整理をお願いしていた川鳥という人物と連絡が取れない、と困っていました。
一週間後の雨の日、奈々瀬の気配を感じた露伴が部屋を訪れると「露伴くん!」といって彼女が抱きついてきました。露伴は「あなたを守ってあげたい」と彼女を抱きしめ、頬に手を触れてヘブンズ・ドアーを発動させそうになりますがそっと手を離してそれを止めました。
奈々瀬は露伴が落としたマンガに気づき拾い上げると、そこに描かれている黒髪の泣いている女性を見て急に怒り始め、ハサミをその紙に何度も打ち付けズタズタにしてしまいます。そして「ごめんなさい」と謝って部屋を出ると、なにかわからない言葉をつぶやいてそのまま二度と戻りませんでした。
祖母にたずねても、奈々瀬という女性がいたかどうかさえあいまいな返事しか返ってきません。そのときラジオからは、行方不明だった川鳥が溺死体で見つかったというニュースが流れてきました。川鳥が仲介した買い手であるゴーシェというフランス人が絵を取りにきたのはそのすぐあとのことでした。
岸辺露伴 ルーヴルへ行くのネタバレあらすじ:転
ルーブル美術館職員のエマ・野口は日本語が話せるので岸辺露伴のアテンドを任されています。エマは上司のジャック・ブランに露伴サイドから頼まれていたモリス・ルブランと山村仁左右衛門の調査依頼メールを転送し、露伴たちの出迎えに向かいます。取材日記用の写真を撮りまくる泉はルーブルに着くと、エマに頼んでガラスのピラミッドをバックに自分の写真を撮ってもらいご満悦です。
ルーブル美術館の中では許可を得て模写している人たちがおり、モリス・ルブランもそんな画家のひとりだったとエマは説明します。しかし山村仁左右衛門については知らず、もしかしたら新たに発見された地下倉庫に東洋美術が百点以上あるのでそこに作品があるかもしれないと言います。
そんなとき、ふいに慇懃無礼な日本人男性が話しかけてきました。読んだこともないのに露伴のファンだと名乗るその男はルーブル美術館のコレクション調査メンバー、辰巳隆之介という男です。彼と話していると突如男性の叫び声が聞こえてきました。皆が駆けつけるとその声の主はジャックで、なにかに怯えるように逃げる彼は美術館内の吹き抜けから転落してしまいます。
その夜、エマは露伴と泉にジャックが幸い一命を取りとめたこと、そして〝見捨てられた倉庫〟と呼ばれる地下倉庫に仁左右衛門の作品があることを突きとめたと報告します。彼らはすぐにそこへ向かいますが、なぜか途中で辰巳が現れ自分も行くと言って合流します。
同僚マリィからエマに連絡が入り、ジャックにかつて仁左右衛門の名を教えた人物がゴーシェ・ビゴットという男で今は行方不明だということがわかります。その顔写真を見せてもらうと、かつて露伴青年が祖母に頼まれて蔵の絵を渡した人物でした。地下倉庫の入口でそこを警備する消防隊(ルーブルでは美術品の焼失を防ぐため消防隊が警備にあたっています)のユーゴとニコラスに促され携帯電話やペン、ライターなど危険物を預け、彼らの先導で中に入ります。
灯りもない階段を下っていくとようやく倉庫にたどり着き、その真っ暗な部屋で一行はフェルメールの作品らしき絵画を発見します。作品はすべて保管庫に移したのであり得ないとエマは驚きますが、すかさず辰巳がこれを偽物と判断しニコラスに処分するよう伝えます。違和感を覚えた露伴はそこでモリス・ルグランの名前入りのペティナイフを拾い、すべてのからくりに気づきます。
先ほどのフェルメール作品は本物で、この場所でモリス・ルグランが贋作づくりをしていたこと、それに辰巳や消防隊が関わっていたということを暴き彼らを追い詰めます。すると突然ニコラスが「なぜこんなところに兵隊が!?」と叫んで錯乱し倒れます。その身体には銃で撃たれたようなあとが複数ついています。それをみたユーゴが露伴に「お前、何をした!?」と詰め寄り、日本で露伴から絵を盗もうとした仲間から露伴が危険人物だと聞いたとしゃべってしまいます。
観念した辰巳は、ここでモリスに贋作を描かせていたこと、そのうちモリスがおかしくなり黒い絵を描きあげ足を洗いたいと言い出したこと、そしてその彼を殺してしまったことを白状しました。そのとき露伴は辰巳の背後にある暗闇が黒髪であり、そこに無数の蜘蛛が蠢いていることに気づいてしまいます。辰巳の前には死んだはずのモリスが現れ首に手をかけてきました。エマは、水難事故で亡くした息子ピエールの姿を見ています。露伴はこの部屋の壁にある暗闇こそが山村仁左右衛門の描いた黒い絵であることを理解し、しかもそこに描かれているのが奈々瀬の肖像画であることを認識しました。露伴は泉に「見るな」と叫び、エマを連れてこの部屋から出るよう指示します。残された辰巳は倒れ、ユーゴも幻影に向かって抵抗しています。仁左右衛門の絵は、見る人やその祖先の罪や〝後悔〟を具現化させるのです。
ついには露伴の目の前にも何者かが姿を現しました。斧を持った落ち武者のようなその男はおそらく山村仁左右衛門です。それは死者なので〝ヘブンズ・ドアー〟が効きません。露伴絶体絶命のその瞬間、奈々瀬が現れ仁左右衛門の背後から抱き着き動きを止めます。彼女は「何もかも、全て忘れて」と言い、露伴はその言葉に従って〝ヘブンズ・ドアー〟で「すべての記憶を一切なくす」と自ら書き込みます。
目覚めた露伴は、左手の甲に〝顔の文字をこすれ〟と書かれているのを見てその通りにします。そうして露伴はすべての記憶を取り戻しました。
一方地上へ逃れた泉はエマに、息子さんは責めるために出てきたのではなくそばにいたかったんじゃないかな、と言ってなぐさめます。そして5歳のときに亡くなったという自分の父親の写真を見せます。それはエマに撮ってもらった泉の写真と同じアングルで、ふたつの写真を見比べながら「ちょっと近くにいた感じ、しますもん」と微笑むのでした。
取材を終えた露伴はルーブルを「人間の手に負える美術館じゃあない、そんな気がするね」と評し、それに対して泉は、「そういえば、綺麗な人でしたね」と答えます。あの絵を見たのに何ともなかった泉に「ときどき本気で感心するよ」と露伴は言いますが泉は何のことかわかっていませんでした。
岸辺露伴 ルーヴルへ行くの結末
東北地方の山あいの地、一本の木の下にある寂れた墓を訪れた露伴。背後にはいつの間にか奈々瀬が立っていました。「ごめんなさい。ああするしかなかったの」と謝る彼女の頬に手を寄せ、あの時には読めなかった彼女の過去のページを露伴は読み始めます。
藩の御用絵師である山村家の仁左右衛門に嫁いだ奈々瀬。仁左右衛門は蘭画の画風を取り入れるなど進歩的な考え方をしていましたがそれ故父親に疎まれ追い出されてしまいます。貧しいながらも細々と幸せに暮らしていたふたりですが、奈々瀬が病に倒れてから雲行きが怪しくなっていきます。薬や医師代がかさみ父親を頼った仁左右衛門に、自分を超える絵を描いたら許すと父親は言いました。取り付かれたように奈々瀬の絵を描く仁左右衛門でしたが、美しい黒髪を表現する顔料が見つかりません。
ある日、菩提寺を訪れた奈々瀬はご神木から黒い樹液が染み出しているのをみつけ持ち帰ります。その樹液が気に入ったようで、奈々瀬はそれから少しずつ樹液を取っていましたが仁左右衛門に気づかれてしまいます。身体を心配する彼は、これからは自分で取りに来ると言ってききません。仁左右衛門に山村家へ戻ってこられては困る弟はこっそり彼を尾行し、ご神木から樹液を取っていることを奉行所に訴え出てしまいます。役人によって捕らえられそうになった夫を助けようと奈々瀬は自分が悪いのです、と言って間に入りますが、役人によって殴り倒されてしまいます。その姿に逆上した仁左右衛門は役人たちを殺してしまいました。
死にゆく奈々瀬を執念で描き上げたのがあの黒い絵だったのです。その怨念は絵に宿り、見るものに〝後悔〟の幻影を見せる呪いの絵となってしまいました。奈々瀬はそのことを悔やみ、仁左右衛門の恨みを断ち切るために若き露伴の前に現れたのです。
巻き込んでしまってごめんなさい、と奈々瀬は謝りますが、露伴にとってもあの夏の出来事は必要な過去のひとつだったのです。すぅっと奈々瀬は消え、彼女の旧姓が〝岸辺〟だったことを露伴は知るのでした。
いつものように露伴の自宅を訪れる泉。先日まで夢中になって集めていた顔料はすっかり消え、泉が持ってきた珍しい材料も要らないと言って露伴は彼女を追い出します。静かになった露伴の家の中には、なぜかかつて奈々瀬によってズタズタにされたマンガの原稿がきれいな状態で置かれていました。
以上、映画「岸辺露伴 ルーヴルへ行く 2023年」のあらすじと結末でした。
原作ならもっと面白かったのでしょうが、個人的には少々長く感じて退屈でした。
特に青年期のシーンは長いし解釈違い。
時代劇は別に無くてもよかった。
やっぱりジョジョは漫画かアニメのほうが好きだな。