ハケンアニメ!の紹介:2022年日本映画。直木賞作家・辻村深月による人気“お仕事小説”「ハケンアニメ!」初の実写映画化作品。アニメ制作会社を舞台に、新人監督・斎藤瞳と彼女が憧れる天才監督・王子千晴が繰り広げる覇権アニメをめぐる闘いが描かれる。監督は「君の名は」にCGアーティストとして携わった吉野耕平。斎藤瞳を吉岡里帆、王子千晴を中村倫也が演じるほか、それぞれのプロデューサーを柄本佑、尾野真千子がつとめる。人気声優たちが顔出しで出演していることでも話題を呼んでいる。
監督:吉野耕平 原作:辻村深月 出演:吉岡里帆(斎藤瞳)、中村倫也(王子千晴)、柄本佑(行城理)、尾野真千子(有科香屋子)、前野朋哉(制作デスク・根岸)、古舘寛治(宣伝・越谷)、徳井優(脚本家・前山田)、六角精児(作画スタジオ「ファインガーデン」社長・関)、小野花梨(作画スタジオ「ファインガーデン」アニメーター・並澤和奈)、工藤阿須加(秩父市役所観光課職員・宗森周平)、高野麻里佳(声優・群野葵)ほか
映画「ハケンアニメ!」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ハケンアニメ!」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ハケンアニメ!」解説
この解説記事には映画「ハケンアニメ!」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ハケンアニメ!のネタバレあらすじ:起
大手アニメ制作会社入社7年目の斎藤瞳は、国立大学卒業後県庁に勤めたものの、天才と言われる王子千晴監督の作品に影響されてそれを超えるアニメが作りたくて転職した変わり種です。
斎藤は日曜夕方5時枠で王子と覇権を争うアニメ『サウンドバック 奏の石』(以降サバク)の監督に抜擢されましたが、初監督ということでスタッフたちとの意思疎通がなかなかうまくいきません。
一方、王子側の『運命戦線リデルライト』も監督本人が音信不通になってしまい、プロデューサーの有科がヤキモキしながら必死に現場を取り繕っていました。
斎藤を監督に起用したプロデューサーの行城は、有名アニメ雑誌の表紙を飾るサバクのイラストを、神作画で話題の作画スタジオ・ファインガーデンの並澤和奈に強引に引き受けさせます。多忙な彼女に恐縮しながらも、その実力に圧倒される斎藤。
日々スタッフへの指示やチェックに忙しい斎藤ですが、行城はお構いなしに雑誌の取材や二次利用の打合せに彼女を引っ張り回します。
王子サイドの有科は、放送局のまるで圧迫面接のような会議の場で失踪した王子をかばい、作品の成功を約束してみせるのでした。
ハケンアニメ!のネタバレあらすじ:承
斎藤の部屋の隣にはタイヨウという小学生の男の子が住んでおり、よくひとりで留守番をしていました。彼はアニメなんてみんなウソ、ヒーローなんていないと言います。斎藤は彼の姿に、貧しかったかつての自分の境遇を重ねていました。彼女は魔法少女ごっこをする同級生に、「この世界に魔法なんてない」と言っていたのです。そんな彼女を変えたのは、王子のアニメ『光のヨスガ』でした。その作品に心打たれた斎藤は、自分も誰かの心に届くアニメを作りたい、と今の仕事に転職しました。
ある日、とあるアニメフェスにて日5枠対決の監督対談が行われることに。憧れの王子監督との対面に緊張気味の斎藤。一方、一週間ぶりに有科の前に姿を現した王子。ハワイに行っていたとお土産を渡す王子に有科は一発パンチを喰らわせました。
対談のステージでは斎藤はオマケでしかなく、観客は皆王子目当てです。司会者も王子の容姿を褒めたり過去作品を持ち上げたりしますが、彼はそれに反発して毒舌を吐き観客を沸かせます。斎藤は勢いで「王子監督に勝って覇権を取ります」と宣言してしまうのでした。
秩父にあるファインガーデンの事務所では、俄然やる気を出した王子からの修正依頼が増えてきていました。そんな中、市役所の職員・宗森がサバクの聖地巡礼のための打合せに訪れて、スタンプラリーというベタな企画を提案します。並澤は難色を示しますが、社長命令で仕方なく宗森の仕事につき合うようになります。
有科は放送局での会議の席で、王子の希望である最終回に主人公が死ぬ展開について提案しますが、子どもが見る時間帯のアニメだと一蹴されてしまいます。
有科は第一話のオンエアを皆で見るため、王子を迎えに行きます。一週間の失踪中に彼が実は都内のホテルに籠もっていたことに気づいてしまった有科に対し、王子は天才と呼ばれることのプレッシャーの大きさを訴えます。それから彼らは社内で、一方の斎藤たちは主演声優出演の有観客イベントとしてリアルタイムで一話を鑑賞しました。
どちらの作品も視聴者の評判は良く、視聴率は同率1位でした。
ハケンアニメ!のネタバレあらすじ:転
リデルライトは一話ごとに評価が上昇していきます。しかしサバクの方は、主演声優の実力不足や監督との不協和音もあり伸び悩んでいます。
あるとき、録音スタジオで顔を合わせた斎藤に王子は、主演声優のインスタとかSNSをチェックするといいよとアドバイスしてくれました。後日言われたとおりチェックしてみると、主演の群野葵は作品の舞台である秩父を訪れ、主人公トワコの気持ちをつかもうとしていました。
話数が進んだある日、チェックしたシーンに満足できず、王子は丸ごと変更すると言い出します。現場は騒然とし、有科は無理だと詰め寄りますが、王子は「納得できないものを出したら終わりなんだよ!」と言い放ちます。
一方、斎藤は、次はないと陰口をたたかれ、行城には様々な雑事に引っ張り回されて制作に集中できず、会議中に怒って飛び出してしまいます。八方塞がりとなった斎藤はふと、ストレス解消にとボクササイズの体験に訪れます。そこで偶然有科と再会し、ふたりはいっしょに銭湯で汗を流します。ともに王子の『光のヨスガ』に憧れてこの業界に入ってきたふたり。そのことについて語り合ううちに、有科は急に用事があると言って帰ってしまいます。
斎藤は有科との会話で、監督だけでなくスタッフも声優もプロデューサーも、皆が作品への強い思いを持っていることに気付かされました。そしてそのままスタジオに向かうと、群野がひとり自主的に練習している姿が目に入りました。斎藤は今までの態度を詫び、群野を信頼していると伝えました。
有科は斎藤と別れたあと、そのまま車で秩父に向かっていました。ファインガーデンを訪れると無理を承知でシーンの描き直しを懇願し、一度は断られたものの並澤の一声で受けてもらえることになりました。作業中の並澤に社長がなぜ受けたのか聞くと、ここ秩父まで来た人はいない、プロデューサーの本気に応えるべきだと思ったと言います。
その後、王子の部屋にやってきた有科は、最終回は監督の好きなように書けばいいと背中を押します。放送局の上層部を納得させるだけの“武器”をください、と有科は王子に告げるのでした。
プロデューサー・行城への信頼を感じ始めた斎藤は、彼を悪く言うスタッフに激昂し、その後過労で倒れてしまいます。
目覚めた斎藤の病室を訪れたのは行城でした。彼は斎藤に他社からの引き抜き話があることを知っており、できるだけ自分から多くを学んでから円満に退社するよう勧めます。斎藤は驚きますが、今までいろいろ引っ張り回されていたことがすべて自分のためだったのだと悟りました。
ハケンアニメ!の結末
回を追うごとにサバクの評価は回復していきます。斎藤は、いじめられているらしいタイヨウに、(自分が関わっているとは言わず)サバクは面白いから見て、と伝えます。
スタッフが一堂に会する会議の席で、サバクの最終回の内容を変更したい、と斎藤は発言します。王道ハッピーエンドを望む制作デスクの根岸は猛反対しますが、既に信頼関係のできているスタッフたちは斎藤の描く新しいラストに興味を抱きます。
斎藤は、今すぐには伝わらないかもしれない、でもいつか誰かに伝わればいい、そういう作品にしたいと覚悟を語ります。行城をはじめ皆がその思いに共感し、イバラの道ですが新たな最終回に向けてサバクは動き出しました。
いよいよ最終回オンエアの日。
リデルライトは主人公が死ぬかと思われましたが、死んでたまるか!ひとりにはさせない、といった前向きな展開で終わりました。
一方サバクは、主人公の失われた記憶が戻る…というラストにはせず、それでも希望を感じさせる余韻の残る終わり方になりました。
そっと部屋を抜け出した斎藤は、ひとりビルの屋上で“刺され、だれかの胸に”と祈っていました。
王子はプロデューサーの有科に心からの感謝の意を伝え、自分の作品のためプライベートまで犠牲にしているような彼女に「結婚してあげてもいいけど」と唐突に伝えます。「え!?」と驚く有科。
斎藤は引っ越しの準備をしながら、タイヨウが他の子どもたちと楽しそうに遊んでいる姿を見かけます。彼らがサバクのセリフを口にしているのを聞き、(見てくれたんだぁ)と感じ入った彼女はその場に座り込んでしまいました。
サバクは視聴率ではリデルライトに一歩及ばず2位でしたが、後に発表されたディスクの予約ランキングではリデルライトを抑え1位でした。それを知った行城は、思わずひとりでジャンプするのでした。
以上、映画「ハケンアニメ!」のあらすじと結末でした。
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