HELLO WORLD(ハローワールド)の紹介:2019年日本映画。未来で結ばれるはずの相手が事故に遭い死んでしまうと聞かされた男子高校生・直実は、その運命を変えるべく奮闘する。細田守監督のもとで、『時をかける少女』や『サマーウォーズ』の助監督をしていた伊藤智彦。『ソードアート・オンライン』シリーズでは監督をつとめ、二本目の劇場版監督作品となるのがこの『HELLO WORLD』である。キャラクターデザインには、『らき☆すた』『けいおん!』など美少女キャラに定評のある堀口悠紀子。そして、メインキャラクター三人の声優として、北村匠海、松坂桃李、浜辺美波という俳優陣を起用し、今までの日本アニメとは異なる世界観を醸し出すことに成功している。
監督:伊藤智彦 声優:北村匠海(堅書直実)、松坂桃李(カタガキナオミ)、浜辺美波(一行瑠璃)、釘宮理恵(ヤタガラス)、福原遥(勘解由小路三鈴)、子安武人(千古恒久)、寿美菜子(徐依依)ほか
映画「HELLO WORLD」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「HELLO WORLD」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
HELLO WORLD(ハローワールド)の予告編 動画
映画「HELLO WORLD」解説
この解説記事には映画「HELLO WORLD」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
HELLO WORLD(ハローワールド)のネタバレあらすじ:起
2027年京都。
世界的企業Pluura、京斗大学、京都市が2020年から進めてきた事業「クロニクル京都」によって、京都の街の地理情報は詳細に渡って正確に記録されています。それは過去のあらゆる時代の情報をも残す事業で、無限の記憶領域を持つ量子記憶装置「アルタラ」の開発によって可能になりました。
高校一年生になったばかりの堅書直実(北村匠海)は、人見知りで自分の意見が言えない男の子。クラスになじめず、本だけが友だちです。
ある日、持っていた本をヤタガラスに奪われた直実は、それを追いかけているうちに伏見稲荷へと入り込んでしまいます。そこで強烈な光とともにフードの男が現われ、直実は彼に名前を呼ばれます。
その男は10年後の直実で、高校生の直実のいるこの世界は「アルタラ」に記録されたデータだと言います。ナオミ(大人)は2037年の世界からこのデータにアクセスし侵入して来たと言い、その目的は直実に彼女をつくることだと説明します。この世界でのナオミはアバターのため物に触れることができず、その姿は直実にしか見えません。そしてその真の目的は、いまから三ヶ月後につき合うことになる恋人、同じクラスの一行瑠璃(浜辺美波)を救うこと。瑠璃はつき合ってすぐ事故に遭い、二度と目覚めなくなってしまうのだと言います。ナオミはデータを改ざんして事故を防ぎたい、たとえ現実の瑠璃が生き返らないとしても、彼女の笑顔が見たい、と直実に協力を求めるのでした。
HELLO WORLD(ハローワールド)のネタバレあらすじ:承
図らずも一緒に図書委員になった直実と瑠璃。堅物で笑顔ひとつ見せない瑠璃は、スマホのような端末の操作が苦手で、連絡手段として自宅の住所のメモを直実に渡してきました。
一方、ナオミは、ヤタガラスを変形させ、手袋のようにして直実の右手に装着させます。それは“神の手(グッドデザイン)”と呼ばれ、頭に描いた物質を具現化する力があります。その力を使いこなすには、直実のイメージ力が必要で、複雑なものは処理にスピードがかかり、また生体は作ることができません。直実は元素記号表を見ながら、神の手を使いこなす訓練を日々おこなっていきます。
学校では図書委員会主催の古本市の時期が近づいてきました。しかし生徒たちの関心は薄く、なかなか本は集まりません。すると瑠璃が、自宅にある亡き祖父の本を提供すると言い、直実は初めて瑠璃の家を訪れます。リヤカーで大量の本を運ぶ途中、ふたりは好きな本について話し、直実はそこにあった一冊の本を、読みたくなったからあとで買う、と言うのでした。
瑠璃のおかげですっかり古本市の準備が整ったその晩、失火によって本がほとんど燃えてしまいます。直実はナオミに、知っていたなら防げたんじゃないか、と詰め寄りますが、ここでデータを変えるわけにはいかないとナオミは取り合いません。
悲しげな表情の瑠璃を気づかい、直実は神の手を使ってひそかに一部の本を再生させます。そこには直実が読みたいと言ったあの本もありました。他の図書委員も新たに本を持ち寄り、古本市はなんとか開催することができました。
徹夜作業の影響で眠ってしまった直実が目覚めると、そこには瑠璃の姿が。直実が読みたいと言っていたあの本を取っておいてくれた瑠璃に直実は告白し、ふたりは晴れて恋人どうしとなりました。
HELLO WORLD(ハローワールド)のネタバレあらすじ:転
そして運命の花火大会の日。
直実は瑠璃が花火大会に行かないよう、彼女の家の外で見張っています。しかし、狐の面をつけた“自動修復システム”が大量発生し、直実の応戦むなしく、ふたりは事故現場へ転送されてしまいます。驚く瑠璃に直実が寄り添い、神の手でつくり出したブラックホールで瑠璃を直撃するはずだった雷を飲み込みました。
助かった…そう思った直実でしたが、なんと今度はナオミが瑠璃を捕らえてしまいます。実はナオミの世界の瑠璃は、この落雷事故で脳死状態になりずっと眠り続けていたのです。京斗大学に入り研究者となったナオミは、「アルタラ」の開発に携わり、ひそかにずっとデータ内への侵入実験を何度もくり返してきたのです。脊髄を損傷してまでやってきたその理由は、空っぽの“器”となってしまった現実の瑠璃に、データ内の過去の瑠璃を同調させて生き返らせるためでした。2027年の直実の前から瑠璃は消え、彼女の本のしおりだけがそこに残されていました。
HELLO WORLD(ハローワールド)の結末
2037年の世界は、ナオミの行動によって「アルタラ」に不具合が発生し、ナオミの上司である千古教授たちはシステムのリカバリーを決断します。それによって2027年の京都は崩壊し始め、直実はわずかな期待を込めて瑠璃が吸い込まれたのと同じ穴に飛び込んでいきます。
その先で、直実はあのヤタガラスに会います。それは直実の味方だと人間の言葉で話し、瑠璃救出に協力すると言って再び神の手へと姿を変えるのでした。
一方、病室で目覚めた瑠璃は、大人になったナオミに違和感をおぼえ彼を拒絶。するとそこへ、狐面の自動修復システムが襲いかかってきました。つまりここもデータの中だったのです。狐面によって消去されそうになった瑠璃を助けに現われたのは、直実でした。
瑠璃とともに逃げる直実は、神の手の力を駆使して京都駅の大階段を目指します。そこに行けば、元の世界に戻れるというのです。
いよいよ狐面たちに囲まれてしまったふたりを、今度はナオミが助けに来ました。目まぐるしく動く街の中を車で疾走し、やっと大階段の上にたどり着いた三人。直実の力で元の世界へ戻るためのゲートが形作られ、まず瑠璃が戻ることに成功します。
しかし、合体して巨大な九尾の狐となった自動修復システムによってゲートは壊され、重複して存在している直実/ナオミを消すべく迫ってきます。
ふたりで助かろうとする直実をかばってナオミが攻撃を受け、「幸せになれ」と言い残して消えてしまいます。それによって狐も消失し、また、千古教授によってアルタラの自己修復システムのスイッチが切られたことによるためか、直実は元の世界に戻ることができました。
再会した直実と瑠璃。
虹のかかる美しい京都の風景を見ながら、戻ってきたことを確かめるふたりは、ここが新しい世界なのだと思い至ります。
そして、
病室で目を覚ましたのは、カタガキナオミです。そこは2037年の仮想世界を「アルタラ」でシミュレートしていた2047年の世界でした。
うれしそうにナオミに抱きついたのは大人になった瑠璃でした。その声は、直実に協力したあのヤタガラスの声です。眠っていたのは瑠璃ではなく、ナオミの方でした。“器”と精神が同調したナオミはついに目覚め、それによって世界は新しく書き換えられていったのでした。
以上、映画「HELLO WORLD(ハローワールド)」のあらすじと結末でした。
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