189(イチハチキュー)の紹介:2021年日本映画。児童相談所の虐待対応ダイヤル「189」(イチハヤク)を舞台に、実際にあった事件を基に映画化された社会派ヒューマンドラマです。幼い命を救うために奔走する新米の児童福祉司や弁護士の姿を描きます。
監督:加門幾生 出演者:中山優馬(坂本大河)、夏菜(秋庭詩音)、前川泰之(安川信弘)、灯敦生(増田典子)、平泉成(坂本清)、菅原大吉(佐々木茂雄)、福島マリコ(冨樫恵子)、矢柴俊博(中井俊彦)、赤間麻里子(椎名かおり)、寺西拓人(木村来夢)、太田結乃(増田星羅)、滝川広志(青島守)、吉沢悠(増田勝一)ほか
映画「189(イチハチキュー)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「189(イチハチキュー)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
189(イチハチキュー)の予告編 動画
映画「189(イチハチキュー)」解説
この解説記事には映画「189(イチハチキュー)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
189(イチハチキュー)のネタバレあらすじ:起
雪が積もる妙高連山。少女・増田星羅(太田結乃)は薄着に裸足で外に立っていました。星羅の義父・勝一(吉沢悠)は、星羅の母で妊娠中の典子(灯敦生)に暴力をふるっていました。
やがて寒さに震えていた星羅は、たまたま通りかかった通行人の通報により保護され、担ぎ込まれた病院で医師の椎名かおり(赤間麻里子)の診察を受けました。星羅の足は凍傷を起こしており、身体中にアザがありました。病院には勝一が現れ、星羅を引き渡すよう騒いでいました。
東京・多摩南児童相談所・虐待対策班。新人の児童福祉司・坂本大河(中山優馬)は初めての家庭訪問に臨もうとしていました。職場の先輩・中井俊彦(矢柴俊博)や警察OBの佐々木茂雄(菅原大吉)と共に、とあるシングルマザー宅を訪れました。
この母親は交際相手と揉めているらしく、大河たちは子供の安全確認のために訪れたのです。この子供は5歳でありながら半裸でオムツをさせられており、大河はこの子の発育に問題はないかと懸念しましたが、事件性があると判断されない限りは児童相談所側もどうすることもできませんでした。
事務所に引き上げた大河らは、今度はネグレクト(育児放棄)の疑いがある女児の母親が娘を引き取りに訪れていました。一時的に保護されていた女児は母親のもとに帰るのを非常に嫌がっていましたが、大河たちはただ母親に引き取られていく女児を見守るしかありませんでした。
189(イチハチキュー)のネタバレあらすじ:承
幼い頃に交通事故で両親を失った大河は、祖父・清(平泉成)と一緒に暮らしています。大河は自分と同じように両親のいない子供たちの力になりたくて現在の職を得たのです。この日も帰宅した大河は両親の仏壇に手を合わせ、引き取られた女児の無事を祈りました。
ところが翌朝、大河は上司の安川信弘チーフ(前川泰之)からの電話で耳を疑うような事実を聞かされました。昨日母親に引き取られた女児が、泣き止まないことを理由に母親にベランダから投げ落とされて殺害されたというのです。
女児の遺体には複数の傷があったことから、マスコミは児童相談所の対応を問題視して詰めかけるようになりました。大河は児童相談所への容赦ないバッシングに、心身のバランスを崩し、遂にはこの職を辞めようかと考えるようになりました。
その頃、星羅の一家は妙高から多摩の団地に引っ越していました。妙高では妊娠中だった典子は男の子を出産し、既に1歳になっていました。星羅はそこでも勝一から虐待を受け、典子もただ勝一に従うのみでした。そしてある時、限界を迎えた星羅は倒れてしまい、病院に搬送されました。
星羅の全身には不審な傷があり、児童相談所に退職届を出そうとしていた大河が成り行きで星羅の聞き取り調査に赴くことになりました。大河は星羅の境遇を先日殺されたあの女児と重ね合わせ、放っておけなくなりました。
大河は安川チーフや常勤弁護士の秋庭詩音(夏菜)と共に事情を聞いたところ、星羅は家に帰りたくないと言い出しました。勝一は虐待を否定し、星羅には自傷癖があると主張して彼女を連れ帰ろうとしましたが、大河たちは何とか星羅を保護することになりました。
189(イチハチキュー)のネタバレあらすじ:転
大河はこの日は星羅に寄り添うことにしました。大河は星羅を見ながら、19年前のことを思い出していました。両親を失い、清に引き取られた頃の大河はまだ友達ができませんでした。そんな時、一人の少年が大河に声をかけ、二人は一緒に遊ぶなど楽しいひと時を過ごしましたが、その少年は程なくして母親の虐待により命を落としたのです。
星羅と少年を重ね合わせた大河は、何としても星羅を守り抜く決意を固め、辞意を撤回することにしました。
大河は星羅の家族について調べてみると、勝一らは全国を転々としていることが明らかになりました。それぞれの土地の児童相談所は繋がりがないことをいいことに、虐待の事実がバレる前に引っ越してきたようです。
大河と詩音は星羅を一時保護舎に預け、勝一と典子の親権を停止しようとしましたが、星羅を担当する中井はこのところすっかり仕事に対する情熱を失っており、事態とまともに向き合おうとはしませんでした。
そこで大河は何とか星羅の信頼を得ようと奮闘し、詩音も親権停止の手続きに奔走しましたが、裁判所は勝一の主張を鵜呑みにしてしまい、典子もまた勝一からDVを受けて精神的に支配されている影響で逆らうことができませんでした。
大河と詩音は、星羅が以前住んでいた妙高で何があったか調査すべく、現地に飛びました。現地の児童相談所所長の青島守(滝川広志)らと対面した大河と詩音でしたが、人手不足もあって星羅に関する情報が全くといってないことが判明しました。
その後、大河は星羅を診察した椎名に会い、椎名は多摩の児童相談所に電話をかけたものの応対した中井が大河らにそのことを伝えていなかったことが明らかになりました。星羅を診察した時、明らかに虐待の痕跡があったのですが、事件が起きたとしても被害者本人が証言しない限り不起訴処分となってしまい、転居を繰り返されると情報の共有ができないので、虐待の事実が発覚しにくいという事情がありました。
189(イチハチキュー)の結末
多摩へ戻った大河は星羅に密かに自分の電話番号を教え、何かあったら必ず助けに行くと伝えました。大河と詩音は典子から事情を聞くべく勝一一家の住む団地を訪れましたが、勝一らはあからさまに居留守を使い、応対することはありませんでした。
その頃、中井は大河らの知らぬ間に星羅と勝一を引き合わせていました。中井は星羅が無理やり勝一に欠かされた「嘘の証言をした」という手紙を鵜呑みにしており、大河らに無断で勝手に一時帰宅を許してしまいました。そのことを知った大河は団地に向かいましたが、既に勝一一家は団地を引き払った後でした。
大河は勝一は生まれ故郷の千葉県木更津市に身を寄せるのではないかと推測し、詩音と共に現地に向かいました。
その頃、大河の読み通り木更津に潜伏していた勝一は星羅を納屋に閉じ込めましたが、星羅は典子がたまたま落としたスマホを拾い、大河に電話をかけました。大河や警察が勝一の実家に駆け付けた時、勝一は星羅に暴力を振るおうとしていました。勝一はその場で現行犯逮捕され、典子も逮捕されました。
2ヶ月後。新年度を間近に控え、一時保護舎で暮らす星羅は小学校への入学を心待ちにしていました。すっかり元気を取り戻した星羅の表情に、大河は安心しました。
その後、大河は初めて家庭訪問したシングルマザー宅を訪れました。母親は交際相手と別れており、子供もオムツが取れて元気そうでした。
やがて多摩の児童相談所も新年度がスタートしました。大河も後輩を受け持つ立場となり、すっかりこの仕事に自信とやりがいを見出せるようになっていました。
以上、映画「189(イチハチキュー)」のあらすじと結末でした。
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