TELL ME ~hideと見た景色~の紹介:2022年日本映画。2023年にソロ活動開始30周年と没後25年を迎えた伝説のロックアーティスト・hide(X JAPAN、hide with Spread Beaver)の実弟で所属事務所代表を務める松本裕士の著書「兄弟 追憶のhide」を映画化した音楽伝記ドラマです。1998年5月2日に突然この世を去ったhide。残された松本裕士とhideの右腕だった共同プロデューサー・I.N.Aは未完成の作品を世に出そうと決意するのですが・・・。松本裕士役は本作が映画初主演となる今井翼、hide役はロックバンド「FUZZY CONTROL」のメンバーであるJUON、I.N.A役をhideのドキュメンタリー映画『hide JUNK STORY』(2015年)でナレーションを務めた塚本高史が演じています。タイトルの『TELL ME』はhideが1994年に発表した4作目のシングル曲であり、2000年にhide with Spread Beaverによって再レコーディングされた代表曲のひとつから取られています。
監督:塚本連平 出演者:今井翼(松本裕士)、塚本高史(I.N.A)、JUON(hide)、津田健次郎(鹿島)、細田善彦(児玉)、川野直輝(JOE)、SHINGO☆(CHIROLYN)、笠原織人(KIYOSHI)、くぼゆうき(D.I.E.)、片岡麻沙斗(KAZ)、三浦綺羅(幼少期の松本裕士)、下川恭平(青年期の松本裕士)、酒井貴浩(秋山)、朝倉伸二(hideの父)、山下容莉枝(hideの母)、田島令子(hideの祖母)ほか
映画「TELL ME ~hideと見た景色~」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「TELL ME ~hideと見た景色~」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「TELL ME ~hideと見た景色~」解説
この解説記事には映画「TELL ME ~hideと見た景色~」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
TELL ME ~hideと見た景色~のネタバレあらすじ:起
1998年10月22日。hide with Spread Beaverはツアー初日を迎えていました。hideの弟でマネージャーの松本裕士は緊張した面持ちでステージを見つめていました。その手には蝶のブローチが握られていました。この日は“あの日”から173日が経っていました・・・。
1976年、神奈川県横須賀市。後にhideとして名を馳せることになる少年・松本秀人は裕士を連れて海岸に行きました。秀人は海を指さし、裕士に「何が見える?」と訊ねました。秀人は対岸の「千葉県」と答えた裕士に「あの向こうにはアメリカがある。そしてその向こうには未来があるんだ」と語りかけました。
成績優秀な秀人は美容室を営む祖母や母からの愛情をたっぷり受けて育ち、裕士はいつも秀人と比較されていました。秀人は祖母の持つ蝶のブローチを見つめていると、祖母は蝶になる前は芋虫なのだからと笑いながら語りかけました。
元々肥満体質だった秀人は自身に対してコンプレックスを持ち、学校では大人しく過ごしていました。そんな秀人の運命を大きく変えたのはロックとの出会いでした。秀人はいつか自分もアメリカの人気ロックバンド・KISSのようになるという夢を抱きました・・・。
1998年5月1日。hideはX JAPAN解散後に結成した新バンド・hide with Spread Beaverを率いてテレビ番組の収録に臨み、発売されたばかりの新曲「ROCKET DIVE」を演奏しました。今後の予定を告知し、楽屋に戻ったhideは持病の肩こりに悩まされていました。裕士はhideの肩を揉み、その後hideはSpread Beaverのメンバーを引き連れて飲みに繰り出しました。しかし、雑誌関係者にメンバーのことをバカにされてhideはブチ切れて暴れだし、外で待機していた裕士がその場をなだめました。
1998年5月2日未明。裕士はhideを自宅まで送り届けました。裕士は10時に迎えに来ると告げてその場を離れましたが、これが兄弟の最後の会話となりました。その数時間後、裕士は事務所のチーフマネージャー・児玉に電話で呼び出されました。病院に向かった裕士は既に絶命していたhideと対面、泣き崩れる両親からなぜ裕士がついていながらこんなことになったのかと責められました。
TELL ME ~hideと見た景色~のネタバレあらすじ:承
ロック界の希代のカリスマの突然の死は世間に、関係者に大きな衝撃を与えました。裕士は所属レコード会社の重役・鹿島から葬儀などのサポートをすると言われるとともに、hideとの契約事項により裕士に事務所の社長代理をするよう告げました。裕士は困惑しながらも引き受けました。
その夜、裕士は4年前に父から頼まれてhideのマネージャーになったことを思い出しました。裕士はhideに散々こき使われていましたが、そんなhideは裕士に「やるんだったら死ぬ気でやれ。死なねぇから」と言っていました。hideは世間には弟がいることをあまり公表したがらず、裕士にはなかなか完成前の音源を聴かせてくれませんでしたが、hideの長年の盟友で右腕でもある共同プロデューサーのI.N.Aには裕士が弟であることを伝えていました。
1998年5月13日。全国から5万人が駆け付けたhideの葬儀から数日後。生前に完成していたhide with Spread Beaverの新曲「ピンクスパイダー」が当初の予定通りに発売されました。hideは新作アルバムの製作に取り掛かっており、この年の11月に発売される予定で既に全国ツアーも決定していましたが、レコード会社側から製作の進捗状況について訊かれた裕士はまだ未完成としか伝えることができませんでした。
裕士とI.N.Aはhideの遺志を継いで未完成の音源を完成させ、何としても世に出したいと決意しました。裕士はhide with Spread Beaverのメンバー(ギターのKIYOSHIとKAZ、ベースのCHIROLYN、ドラムのJOE、キーボードのD.I.E.)に頭を下げ、メンバーはI.N.Aのプロデュースのもとでhideのボーカル音源以外は未完成だった「HURRY GO ROUND」のレコーディングを開始しました。何度も録り直しを命じるなどストイックさを見せるI.N.Aに対し、メンバーはhideはこんなんじゃなかったとこぼしつつもレコーディングを勧めていましたが、ある日遂にメンバーとI.N.Aが衝突してしまい、作業は次第に難航していきました。
TELL ME ~hideと見た景色~のネタバレあらすじ:転
裕士はhideが子供時代に祖母から初めてのギターを買ってもらった日のことを思い出していました。hideは仲間を集めてバンドを組み、友人と共に兄のライブを見に行った裕士はhideがこの時既にロックスターとしてのカリスマ性とオーラを持っていたこと、そしてhideは仲間を気遣う優しくて繊細な性格の持ち主であることに気づきました・・・。
アルバム制作は完全に行き詰まり、裕士やメンバーは心無い誹謗中傷にもさらされることとなりました。裕士はI.N.Aに、あの時自分がhideに付き添って一緒に自宅に入らなかったことを後悔していることを明かしました。I.N.Aはもう一度“あの日”をやり直せたらと悔いました。
レコード会社はアルバム発売とツアー開催を断念する決断を下しました。裕士はせめて残ったメンバーによるツアーだけでも開催してほしいと鹿島に懇願しましたが、鹿島は主役不在のツアーなど成立しないと冷たく言い放ちました。やがてSpread Beaverのメンバーは次々とスタジオを去っていき、チーフマネージャーだった児玉も事務所を辞めていきました。
心身ともに追い詰められた裕士とI.N.A。そんなある日、I.N.Aはhideが生前送ってきたメールを裕士に見せました。メールには「文通しましょう」と綴られていました。そしてI.N.Aはhideが裕士に完成前の音源を聴かせなかった真意を明かしました。hideは裕士には完成前の余計な音を聴かせたくない、関係者ではない普通の人の意見が聞きたいと考えていました。I.N.Aはhideが裕士なら良い代弁者になれるはずだと語っていたことも明かし、裕士とI.N.Aはhideの生前の言葉「死ぬ気でやれよ、死なねぇから」を思い出して再び立ち上がりました。そしてSpread Beaverのメンバーも再びスタジオに戻ってきました。
TELL ME ~hideと見た景色~の結末
「HURRY GO ROUND」はようやく完成し、音源を聞いた鹿島は「hideの魂がここにある」と絶賛し、アルバムの製作続行にゴーサインを出しました。そして最後の曲「PINK CLOUD ASSEMBLY」は裕士自ら曲中の朗読を務め、遂にアルバム「Ja.Zoo」は完成しました。
既に決まっていたツアーはhideの遺したボーカル音源と映像を演奏と融合させることで実現することになりました。裕士は両親をライブに招待しましたが、両親は行こうとはしませんでした。裕士は自分は兄を守れなかったけど、兄はお前にはできると認めてくれたと両親に想いを語り、来てほしいと再度頼みました。そして裕士とI.N.Aはツアー初日前日に会見を開き、hideへの想いを語りました。
そして迎えたツアー初日の1998年10月22日。客席には祖母、そして両親の姿がありました。ステージに設けられたスクリーンに映し出されるhideの姿はまるでリアルにここにいるかのようでした。ツアー初日はファンの熱狂と喝采を受けて成功に終わり、両親は裕士の尽力を称えました。
後日、裕士とI.N.Aは海を見つめながら、hideの音源がなかったため「Ja.Zoo」への収録を断念した楽曲「子 ギャル」を完成させることを誓い合いました。祖母は翌年に亡くなり、hideの横に葬られました。両親は2022年現在も健在です。Spread beaverのメンバーは引き続き音楽活動を続け、定期的にhide with Spread beaverとしてライブ活動を行っています。裕士は事務所の社長となり、I.N.Aと共にhideの音楽を守り続けています。そして未完成だった「子 ギャル」はhideの没後16年後の2014年にようやく完成、発表されました。
以上、映画「TELL ME ~hideと見た景色~」のあらすじと結末でした。
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