インストールの紹介:2004年日本映画。受験戦争に嫌気がさし、不登校になった朝子。ある日、マンションのごみ捨て場で少年と出会う。その少年と仲良くなった朝子は、少年からインターネットで売春婦のアルバイトをやるように誘われる。インターネットで男たちとチャットをしながら、お金を稼いでいく2人だった。「生き甲斐」について、若者たちの視点から切り込んだ、綿矢りさ原作の映画。
監督:片岡K 出演者:上戸彩(野沢朝子)、神木隆之介(青木かずよし)、中村七之助(コウイチ)、菊川怜(モモコ先生)、田中好子(野沢毬恵)ほか
映画「インストール」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「インストール」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「インストール」解説
この解説記事には映画「インストール」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
インストールのネタバレあらすじ:起
高校に通う17歳の女子高生・野沢朝子(上戸彩)は、人生の目標がない自分に焦りを感じてしまいます。そこそこの毎日に嫌気がさし、このまま小さくまとまった人生を歩むのかと将来に悩んでいた朝子は、ある日英語の授業で居眠りをしてしまいます。
教師のモモコ先生(菊川怜)からお叱りを受けた朝子は「体調が悪いので早退します。」と言って学校をあとにし、その日から学校へ行く習慣をやめることにしました。家に帰った朝子は、マンションのごみ捨て場に自分の部屋のものすべてを捨ててしまいます。その中には、壊れたパソコンがありました。
両親が離婚した8年前に祖父が買ってくれたものです。田舎に住んでいる祖父とコンピューターを使って連絡を取り合う約束をしたのですが、機械の操作方法を知らなかった祖父とは一回もメールを交換することはありませんでした。その祖父も昨年に亡くなっています。
ごみ捨て場で将来について悩んでいた朝子は、同じマンションに住む小学生の青木かずよし(神木隆之介)と出会います。「欲しいものを持って行って良いよ。」と朝子が伝えると、かずよしは壊れたコンピュータを持って行ってしまいました。
家に戻った朝子は、何食わぬ顔で朝食を済ませると、制服姿で家を出ます。そして母親が出勤したのを見計らってマンションに戻り、一日を過ごす朝子。彼女がベランダで黄昏ていると、下にかずよしがいるのが見えました。彼は朝子が大量のゴミを捨ててベランダにいることから、彼女が自殺をするのではないかと心配しています。
インストールのネタバレあらすじ:承
学校へ行っていない朝子に対して、「それは不登校ではなく、家にひきこもっているだけ。」と指摘するかずよし。それを聞いた朝子は、自分がひきこもりなのかと衝撃を受けます。するとかずよしが、「僕と組んで仕事をしませんか?」と、いきなり仕事を依頼してきました。
コンピュータに関する知識が豊富なかぞよしは、朝子が壊れたと思っていたコンピュータをすっかり直していました。かずよしの言う仕事とは、コンピューターを使ってチャットでエッチな会話をするだけです。
かずよしは、“カナコ”という名の女性のふりをして、携帯サイトでミヤビという名の女性とメル友になっていました。ミヤビは主婦でありながら、生活のために体を売っている風俗嬢です。そのミヤビが、チャットでエッチな会話をする仕事をしないかとすすめてきました。
昼間は学校がありチャットをできないので、かわりに朝子にしてほしいと頼むかずよし。朝子はできるかどうか不安になりますが、自分の知らない世界を覗いてみたくなり、この仕事を引き受けることにしました。
インストールのネタバレあらすじ:転
朝子はかずよしの家の合鍵を使って勝手に部屋に入り、午前10時から午後2時までの小学校からかずよしが帰ってくるまでの間、彼の部屋の押し入れにあるコンピューターを使って男たちとHな会話をチャットでします。始めはキーボードも打てなかった朝子ですが、次第にコンピュータの扱いに上手になっていきました。
多種多様な男たちとエロサイトを通じて交流し、エロい世界に魅せられていく朝子。男たちが喜ぶワードなどを習得した朝子でしたが、かずよしの方がエッチな世界に詳しく、朝子は自分が知らなかった世界の奥深さにショックを受けることもありました。
何でも知っていて完璧に見えるかずよしですが、そんな彼にも悩みがありました。彼の母親は赤ちゃんの時に亡くなっており、今の母親は父親の再婚相手の女性で、それをきっかけに今のマンションに引っ越してきました。
新しい学校にも継母のことも嫌いではないかずよしですが、どこか心がひっかかることがあり、心に闇を抱えています。そんなかずよしを見て朝子は、乙女だと感じるのでした。
朝子が押し入れチャット嬢を初めて20日経ちましたが、朝子の母親(田中好子)は娘が不登校になっているなど、何も気づいた様子はありません。誰も現実の自分を相手にしていないようで、妄想の世界に自分を置くようになった朝子は少し虚しくもありました。
ある日、かずよしも小学校を休んで朝から朝子と一緒に過ごすことになります。かずよしがトイレに行くと、いつものように男からメールがきました。男はチャットをしている相手がミヤビではないと見破り、卑劣な言葉で朝子のことを罵ってきます。
怒った朝子がメールで言い返すと、男はあるURLが添付してきて、それをクリックするよう誘導してきます。騙された朝子がそれをクリックすると、ウイルスでコンピューターはクラッシュし、画面は真っ暗になってしまいまいした。コンピューターが壊れたこともショックでしたが、朝子は男にすべて見透かされていたことに動揺を隠しきれません。
新しい自分を発見するために始めたチャットでしたが、「自分はバカだった…」と落ち込む朝子。そんな朝子にかずよしは、顔の見えない相手に本気で落ち込むのは辞めるよう慰めました。
インストールの結末
押し入れにいた朝子とかずよしですが、彼の継母についに見つかってしまいます。じつは継母は、毎日冷蔵庫から炭酸飲料がなくなっていることを不審に思っていました。継母以外に炭酸を飲むものはおらず、誰か侵入者がいると以前から勘付いていたのです。
こうしてバーチャルの世界から現実の世界に引き戻された朝子が家に戻ると、出勤したはずの母親がいました。この日頭痛で仕事を休んだ朝子の母親は、娘の部屋を見て何もないことに驚きます。
朝子の母は、朝子に学校でいじめられていたのかと尋ねます。部屋の物をすべて処分し、学校を不登校になっても自分を責めない母親にたまらなくなり、朝子は何も言わずに家を飛び出しました。
一人になった朝子は、半年前に起きた悲劇を思い出します。彼女にはコウイチ(中村七之助)という彼がいました。朝子の誕生日の日、彼は携帯にメッセージを残し、その10分後に事故でこの世を去りました。
現実と向き合うことを避けていた朝子ですが、自分の人生を歩むことを決意し、妄想の中にたびたび出現していた恋人のコウイチとも別れを告げ、再び学校へ通い出します。
一方かずよしは、継母に言いたいことが言えるようになり、チャットを使ったアルバイトも辞めることにしました。こうして新たな一歩を歩みだした、朝子とかずよしなのでした。
以上、映画「インストール」のあらすじと結末でした。
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