樹海村の紹介:2021年日本映画。2020年に公開され、大ヒットしたホラー映画『犬鳴村』に続く『実録!恐怖の村シリーズ』第2弾となる本作は『入ったら生きては出られない』と噂される自殺の名所・富士の青木ヶ原樹海を舞台とし、掲示板サイト「2ちゃんねる」を通じて広まったインターネット怪談の名作『コトリバコ』と組み合わせた新たなる恐怖の物語です。
監督:清水崇 出演者:山田杏奈(天沢響)、山口まゆ(天沢鳴)、神尾楓珠(阿久津輝)、倉悠貴(鷲尾真二郎)、工藤遥(片瀬美優)、大谷凜香(アキナ)、塚地武雅(野尻雄二)、黒沢あすか(並木愛枝/昼顔)、高橋和也(成田瑛基/タルピオット)、山下リオ(中田亜子)、安達祐実(天沢琴音)、原日出子(天沢唯子)、國村隼(出口民綱)、日置有紀(伊東美弥子/たゆ)ほか
映画「樹海村」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「樹海村」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
樹海村の予告編 動画
映画「樹海村」解説
この解説記事には映画「樹海村」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
樹海村のネタバレあらすじ:起
ここは“自殺の名所”として知られる富士・青木ヶ原樹海。監視員の出口民綱(國村隼)は助手の中田亜子(山下リオ)と共に自殺未遂者の保護に従事していました。ある時、出口は長い間樹海をさまよっていたであろう、泥まみれの幼い姉妹を発見して保護しました…。
2020年7月17日金曜日。オカルト動画をアップしているユーチューバーのアキナ(大谷凛香)は「オカルト特集第2弾」と称した生配信企画のため、命綱代わりの赤いビニールテープ、コンパス、GPSアプリをインストールしたスマホを手に青木ヶ原樹海へと入りました。アキナは視聴者のコメント欄を見ながら樹海の奥深くへと進んで行き、しばらくして自殺志願者と思わしき人影を遠くで発見しました。アキナは人影に声をかけて近づきましたが、人影は何の反応もせずにどこかへと消えていきました。
やがてアキナは巨岩の上に奇妙な大樹が生えている場所に立ち入り、そこで怪しげな集落らしきものがあった痕跡に辿り着きました。痕跡を見た視聴者たちは、そこが有名な都市伝説である「樹海村」の集落跡ではないかと口々に呟きました。アキナの耳にはカリカリと怪しげな異音が鳴り響き、恐れをなしたアキナがコンパスを見るとそれはグルグルと回り続けていました。スマホのGPSも制御不能となっており、アキナは各所に括り付けておいたテープを辿って逃げようとしました。
ところが、テープの先は先程アキナが目撃した人影の主である中年男性の腐敗した首吊り死体と繋がっており、死体は口から蛆虫をたらしながらアキナに倒れ込んできました。絶叫したアキナはその場に倒れ込んでしまい、そのまま動かなくなりました。
配信の映像が乱れるなか、樹海中を覆う苔の一部が突如動き出し、それは人間の形となって配信用カメラを手に取り、そのまま電源を切って配信を終わせました…。
樹海村のネタバレあらすじ:承
天沢響(山田杏奈)は自宅でアキナの配信を見ていました。響は母・琴音(安達祐実)から嫌な顔をされました。響の父と祖父は既に他界しており、響は琴音、姉・鳴(山口まゆ)、祖母・唯子(原日出子)と共に暮らしていました。響は多くの謎を残したまま打ち切られたアキナの配信と「樹海村」に興味を抱きました。
翌日、響は鳴に連れられ、幼馴染の阿久津輝(神尾楓珠)の引っ越しの手伝いに向かいました。輝は片瀬美優(工藤遥)と結婚したばかりで、美優は輝との間に新たな命を授かっていました。鳴は以前に輝と交際していた時期があり、未だに輝に対して未練が残っていましたが、それでも現在の彼氏である寺の息子・鷲尾真二郎(倉悠貴)と共に新居となる山間のアパートに荷物を運び入れていきました。ところが、響は引っ越しを手伝うことなく、尺取り虫を手に乗せて戯れていました。鳴はそんな響に嫌悪感を抱いていました。
その時、響はアパート1階のベランダの下に、謎の空間と通じる四角い穴があることに気付きました。輝がその穴の中に入ってみると、そこには古い風呂敷に包まれた薄気味悪い箱がありました。美優が箱に手を触れようとしたところ、響は思わず「ダメ!」と叫んで引き止めようとしました。鳴たちになぜ止めたのかと問われた響でしたが、響はうまく答えられませんでした。美優は突然吐き気を催し、部屋の中に駆け込んで行きました。
箱の正体をネットで検索していた真二郎は、この箱はネットでも有名な怪談に登場する「コトリバコ」というものであり、呪いに使われるものではないかと言い出しました。しかし、オカルトの類を信じない鳴はその話を信じようとはしませんでした。
そこにアパートの管理人が現れ、この箱はおそらく前の住民が置き忘れたものだろうからこちらで処分すると言って箱を持ち帰ろうとしました。響はそれを引き留めようとしたところ、管理人は直後に大型トラックに轢かれて命を落としました。
自宅に戻った響は「樹海村」や「コトリバコ」のことについて調べ始めました。やがて響の家に刑事二人組が訪れました。刑事たちは先日の配信後に行方不明となったアキナの捜査をしており、響を含む視聴者たちに聞き込みをしているのです。ところがその時、インターホン映像に何とアキナの姿が映り込んでおり、響は怯えました。しかし、それ以外は特に異変はなく、刑事たちはその場を後にしました。琴音は怯える響を心配しました。
その夜、響はハンドルネーム“ジーニー”でアキナの動画視聴者たちのボイスチャットに参加しました。視聴者たちは「樹海村」の話題で持ちきりになりましたが、途中で謎の赤ん坊の声が聞こえたり、映像が乱れるなどの異変が発生、響はチャットから離脱しました。その時、響は美優の身に何か異変が起きたことを察していました。美優は荷物を運んでいる最中に怪我をし、総合病院に入院していました。美優自身は大事に至りませんでしたが、お腹の赤ん坊は残念ながら流産してしまっていました。
響と鳴、輝と美優は一連の不可解な出来事は箱のせいと考え、お祓いのために真二郎の実家の寺へ箱を持って訪れました。真二郎の父である住職は最初は気のせいだと笑いましたが、その夜、住職は必死でお祓いに臨んでいました。その様子を見ていた響は、本堂やその周囲で大勢の亡霊の姿を目撃しました。
響は配信の視聴者たちと共に、樹海へアキナを探しに入りました。ところが、樹海の苔の中から現れた何者かに腕を捕まれそうになった響はパニックに陥り、他の視聴者たちを置いて一人樹海から逃げ出しました。居合わせた出口に保護され、帰宅した響は、その夜に見た夢の中で現在寺に預けている箱の中には何本もの切り落とされた左手の薬指が封印されていることに気付きました。
一方の鳴も、あの箱がなぜか自宅にある夢を見ていました。目覚めた鳴は箱が自宅にないことに気付いてほっとしますが、家の外ではけたたましい消防のサイレンが鳴り響いており、真二郎の寺のある山が炎に包まれていました。寺は何者かに放火されており、住職は死亡、真二郎は多数の火傷を負って入院してしまいました。
樹海村のネタバレあらすじ:転
真二郎の病室に刑事たちが訪れ、寺の防犯カメラに映った映像を見せてきました。そこには寺に預けていた箱に灯油をかけ、火をつける響の姿が映っていました。
響は統合失調症と診断され、精神病院へ入院することになりました。鳴と唯子は精神科医の野尻雄二(塚地武雅)から、響は箱と母親のことを口にしていると伝えられました。鳴と唯子は困惑し、鳴は琴音は、13年前に自殺していることを野尻に伝えました。鳴は響と面会し、あの箱は置かれた家の家系を根絶やしにするほどの強い呪いが秘められていることを告げられました。響が言うには、昔ある女性が我が子を守るために自らを犠牲にして箱を樹海に置いたというのです。
その後、鳴は病院内で出くわした美優と輝から「あなたたちとはもう関わりたくない」と告げられした。鳴は見舞いに来ていた真二郎の母に謝罪しようとしましたが、真二郎の母は鳴と話すことすら拒みました。
響と鳴の家は“放火魔の家”として落書きされるなど荒らされていました。唯子は鳴に、琴音も響と同様におかしなものが見えるようになり、それを恐れるようになったと明かしました。鳴は自身を責める唯子に、琴音は自殺の際に自分たち姉妹を道連れにしようとしたんだと諭しますが、唯子は琴音の写真を握りながら「ごめんなさい」とむせび泣くのみでした。その翌朝、唯子は自宅の仏壇の前で目を見開いたまま絶命していました。
その頃、美優は例の箱をまるで赤ん坊をあやすように抱きかかえていました。そのことに気付いた美優は思わず箱を投げ捨てると、床下にある謎の空間から赤ん坊の泣き声が聞こえてきました。美優はそれに導かれるように一人空間へと入っていきました。
唯子の葬儀を終え、疲れ果てて仏壇の前で眠り込んだ鳴は、夢の中で生前の琴音と幼い頃の自分たち姉妹を目にしました。鳴はかつてこの家にあの箱があったことに気付きました。琴音は箱に触れそうになった鳴を慌てて止め、その箱をいずこへと持ち去っていきました。夢から醒めた鳴は、そこにいるはずのない響の気配を感じ取り、何やら胸騒ぎのようなものを感じました。
鳴は輝から美優が行方不明になったことを知らされました。鳴は輝や退院した真二郎と共に、輝のスマホのGPS情報共有アプリを頼りに美優の捜索を開始しました。GPSの位置は樹海を指し示しており、鳴たちが現地に行くと、そこには美優の落としたスマホを回収していた出口と中田がいました。輝は樹海に入ろうとするも止められ、その際に転倒して足を怪我してしまいました。出口は三人に、樹海は“神の森”として恐れられており、そこでは“口減らし”などの悪しき風習があったことを語り聞かせました。
出口から捜索は夜が明けてからにするよう言われた鳴たちは一旦引き上げることにしました。帰りの車中、真二郎は父が死の間際に「祓えなくてすまなかった」と言っていたことを明かし、響が火をつけたのには何か意味があったのだろうと述べました。
鳴は響の入院する病院を訪れ、放火に至った理由を聞き出そうとしました。響は「あの箱が呼んでいる」と狂乱状態に陥り、「連れて行かれる。みんな死んじゃう」と暴れ始めました。響の目にはまたしても無数の亡霊たちが映っており、響は野尻たちに拘束されました。鳴は輝や真二郎と共に、響を病院から出すよう訴えましたが、野尻は怪異現象を頑なに否定して拒否しました。
その後、輝は単身で美優を探しに病院の外に出ましたが、入口を出たところで輝の足元に切り取られた何者かの左手の薬指が落ちてきました。輝が足を止めたその時、頭上に上階から野尻が転落して輝と激突、輝と野尻は命を落としました。その頃、捜索隊と共に美優を捜索していた出口は、樹海の中で樹木に取り囲まれた美優の遺体を発見しました。
鳴は真二郎に連れられて自宅に戻りました。いつの間にか眠っていた鳴が目を覚ますと、台所では真二郎が包丁で自身の左手薬指を切り落とそうとしていました。鳴は慌てて引き留め、救急車を呼んでいる間に今度は真二郎は自らの頸動脈を掻っ切りました。
真二郎は病院に搬送され、何とか一命は取り留めました。手術室の前で泣いている鳴の元に出口が現れ、鳴はこれまで起こった怪奇現象の数々を出口に話しました。それを聞いた出口は、その箱は「樹海村」で作られたものであり、かつて自分は樹海で逃げてきた幼い姉妹を保護したことを語りました。出口の話によると、姉妹の妹はどうやら「樹海村」を見てしまったようでした。
自宅に戻った鳴は、響の部屋の床に「樹海村」と箱が描かれた絵を発見しました。鳴はそれらをスマホで撮影しましたが、シャッターを押す度に脳裏には「樹海村」での光景がフラッシュバックしていました。次の瞬間、いつの間にか部屋にはあの箱が置かれており、鳴は思わず恐怖しました。
翌日の昼。鳴は箱を持って樹海の中に入りました。鳴はスマホに撮った絵を手がかりにかつて村の集落があった跡を見つけ、絵に記されていた祭壇らしき場所に箱を戻して立ち去りました。下山する途中、鳴は行方不明になっていたアキナや動画の視聴者たちと遭遇、一緒に山を降りることにしました。
やがて鳴たちはアキナが命綱代わりに張っていたテープを見つけますが、その先にあったのは何とアキナや視聴者たちの腐乱した死体でした。鳴はその場に失神してしまい、気が付くと木の枝や蔓で身体を縛られていました。そこに現れたのは死んだはずの輝と美優であり、二人はもうすぐここに響がやってくると告げると鳴に一緒にこの村で暮らそうと呼びかけてきました。
樹海村の結末
響は精神病院の隔離室で目を覚ましました。響の身体は宙へと浮かび上がっており、そのまま壁へ叩きつけられました。部屋の壁には樹木の枝のような影が不気味に這い回っていました。
その頃、樹海では鳴が美優にハサミで左手薬指を切り落とされようとしていました。「樹海村」の住民たちは苔に身を包んで姿を表し、これから鳴も自分たちの仲間になることを喜んでいました。その時、死んだはずの琴音が現れ、美優からハサミを取り上げると代わって鳴の指を切り落そうとしました。
切り落とされた指が地面に落ちるや村人たちは歓喜の声を上げましたが、実は琴音は鳴の指を切るフリをして自分の指を切り落としており、鳴の拘束を解いてその場から逃がしました。しかし、鳴は逃げる途中で誤って地下の空洞に転落、足を怪我して脱出できなくなってしまいました。その時、鳴は“本当の記憶”を思い出しました。
それは鳴と響が幼かった頃、琴音は鳴と響を連れて、箱を戻すために樹海に足を踏み入れたのです。ところが、琴音は村人たちに襲われた際に鳴が今転落した空洞へと転落、足を怪我して動けなくなってしまいました。琴音は鳴と響に自分を置いて逃げるよう命じていたのです。
鳴は空洞の中に琴音の遺体を発見しました。その時、鳴を追ってきた輝と美優が箱の中から無数の指を空洞の中に落としていました。指の切断面からは肉が湧き、それはやがて人の形となって鳴に襲い掛かろうとしました。
鳴の危機を救ったのは、病院にいるはずの響きでした。響は病院の隔離室から自らの意識を樹海に飛ばしており、響の意識は鳴の手を取って逃げ出しましたが、村人たちはなおも自らの姿を樹木に変化させながらも追いかけてきました。隔離室の響の本体は樹木の影と闘いながら鳴を助けようと試みましたが、遂には影に身体を蝕まれて衰弱していきました。鳴は響の意識に一緒に逃げようと呼びかけますが、響の意識は「ずっと一緒にいるからね」と鳴を抱きしめると、思い切り鳴を突き飛ばしました。
響の意識はやがて樹木と化していき、村人たちを取り込みながら巨大化していきました。そして響は最後の力を振り絞って空洞の突破口を切り開き、そして完全に大木と化していきました。その瞬間、隔離室の響は力尽きて息を引き取りました。樹海から脱出した鳴は、車道付近で通りかかった出口に保護されました。
数年後、鳴は真二郎と結婚し、ねねという娘をもうけていました。一家は幸せそうに暮らしていましたが、ねねは家の車庫の中から何やら不思議なものをみつけていました。ねねの目の前にあったのは何と樹海に置いてきたはずの箱であり、箱の中からは「来ちゃだめ」と言う響の声がかすかに聞こえてきました。
以上、映画「樹海村」のあらすじと結末でした。
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