仮面病棟の紹介:2020年日本映画。知念実希人による原作の映像化作品。先輩医師から一夜だけの当直を任され二つ返事で了承した速水は、ピエロと重症患者という思わぬ来訪者に遭遇する。怪我人を治療しているうちに己のかつての姿がフラッシュバックされ、患者もまた過去の光景が自らに投影されていく。不可解な言動とその姿を露わにする謎のピエロ。果たしてその目的とは、病棟全体がミステリー劇場と化し沈黙と慌ただしさが織り成すも、当直日から既に一夜が明けようとしていた。
監督:木村ひさし 出演:坂口健太郎(速水秀悟)、永野芽郁(川崎瞳)、内田理央(佐々木香)、江口のりこ(東野良子)、朝倉あき(菜緒)、小野武彦(国平義央)、鈴木浩介(金本)、大谷亮平(小堺司)、高嶋政伸(田所三郎)、ほか
映画「仮面病棟」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「仮面病棟」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
仮面病棟の予告編 動画
映画「仮面病棟」解説
この解説記事には映画「仮面病棟」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
仮面病棟のネタバレあらすじ:起
午後10時10分、ピエロのコンビニ強盗が人質を連れて田所病院に入ったと八王子署に連絡が入り、警察が病院周辺を取り囲む。
場面は変わり、病棟前のキャンパスで医師の小堺司(大谷亮平)から速水秀悟(坂口健太郎)は、夜間帯の勤務を代わってくれるよう頼まれ、一夜だけのバイトをすることになる。「後輩に任せるという無責任なことでいいんですか」と、理学療法士のひとりが冗談交じりに言い放つも、当日の院内の様子を案内し、「ここは主に精神疾患をわずらった患者を受け持つ介護療養型病棟のようなものだから、2階の当直室に座っているだけで勤務は済む」と、申し送りを交わした。
三か月前のこと、小堺は、速水との打ち合わせをカフェルームで行っていた。速水は小堺の妹・菜緒との大切な用があるため打ち合わせを途中で抜ける。速水と菜緒は車に乗り込み、速水はプロポーズの準備を行い、その旨言いかけたと同時に、妊娠3か月の報告と安産祈願のお守りを渡そうとしたところで、わき見運転が手伝い、目の前を横切る大型トラックと正面衝突。菜緒は腹部を抑えた状態で最寄りの田所病院へ搬送される。
当直勤務中の速水は認知症患者らの見守り業務を黙々とこなし、遅番を終えてチェックアウトしたかに思えた。看護師の東野(江口のりこ)と寿退社の挨拶を済ませたばかりの佐々木(内田理央)がインフォーメーションセンターに佇む様子を目にする。
その先には腹部を抑え、うな垂れる女子大生・川崎瞳(永野芽郁)の姿があり驚いていると、やがて銃を片手に押し入ったピエロの男が現れてケガを治すように指示。ここにはそんな用意はないと言う速水に、お前は医者だろと叱咤し、鎖でKEEP OUTされた手術室への扉が開き、即刻オペが開始される。
腹部への縫合が完了し安堵のムードの中、その隙に乗じてゴルフクラブを持った田所院長(高嶋政伸)がピエロの背後から奇襲するも、途中で見つかってしまう。金銭で示談しようとする田所院長に不満気な様子のピエロ。医療スタッフたちは院内に幽閉される。
仮面病棟のネタバレあらすじ:承
病棟内を点検しているうちに、患者の悲鳴が聞こえ駆けつけると、腹部の縫合跡が開き倒れている患者と病室番号が書かれたメモを発見する。途中、ピエロに見つかりそうになるが、まるで暫くぶりに人を見るかのような認知症患者の言葉に助けられ、探索を続けているうちに4階建ての病棟が5階へと続く隠し通路を発見。
その中で既にピエロの手によって荒らされた院長室へたどり着く。そこには田所院長と元総理の記念写真が飾られていた。単独行動をした速水に対し田所院長は、救急の受け入れ拒否で菜緒を亡くした速水の復讐ではないかと、ピエロの仲間だと勘ぐり始める。
病棟の待合室で川崎瞳と脱出計画を練る速水、私にも大切な人がいて実の姉のようだったと、二人は打ち解ける。そこへ割って入ってきた看護師の東野が瞳に耳打ちをするも、何か言いたげな面持ちの瞳は速水に聞かれ「ピエロは1人だけじゃない」とこぼすも、そこへ現れたピエロの男によって鉄格子の向こう側へ連れ去られてしまう。
速水は作動するスマホを引き合いに鉄格子越しから賭けに出て、人質を解放する。途中、悲鳴と共に廊下に駆け付けると、既に他界し数時間が経過した東野の姿があった。
速水と瞳はラジカセの童謡を大音量で流してピエロをおびき寄せ鉄格子に閉じ込めるが、脱出経路は針金で塞がれていて再び戻ることになるが、腹部の手術跡にも似た何か重い物を引きずったかのような印から壁の隠し扉を見つけ、5階まで直通のエレベーターに乗ると、その動作音を聞きピエロも方向を変える。
仮面病棟のネタバレあらすじ:転
5階の資料室奥には麻薬患者専用の病室があり、身元不明の青年が眠っていた。手術された跡があり、メモ書きには発見場所と数字が記されていた。この患者は高いマージンの元、臓器を摘出するために配備されたドナーであったことが分かる。
同室内へ集まった速水と瞳、佐々木看護師、田所院長、ピエロの覆面男の一同は、外の騒がしい様子をカーテン越しから目にし、強制突入の中継を待合室のソファーから視聴しながら回避策を打診していくことになる。
ピエロは外部との接触を一番冷静そうな速水に任命し、スマホで中の状況を知りたい救助班らとやり取りを行わせるが、差し入れの要求で速水と揉め、その間、田所院長はさっそうと階段を上がりドナーリストの証拠隠滅をはかるが、それはピエロと一芝居打ったものだった。
新宿11、池袋8、川崎14の臓器が抜き取られた資料がみつかり、目的を果たした様子のピエロに対し、速水は覆面男が小堺先輩だと察するも、裏切られた思いの田所院長が銃を取り上げ、ピエロを人質にスタッフを一か所に集めて立てこもることになる。
全員始末してピエロが原因の処理にするんだと、速水(坂口健太郎)、瞳の居所を突き止めようとする田所院長。速水はガソリンに火をつけ瞳を逃がそうとするが、救助班が突入し、それと同時にピエロのお面を剥いで驚いた表情の田所院長。ガソリンに引火し、辺りは騒然となるが場は収拾する。
仮面病棟の結末
場面は変わり、救急隊員ら曰く“スタッフルームにはあなた以外生存者はいないんですよ…では方向を変えますね”と、タンカーで救急車に運ばれる速水。
翌日、聴衆室でピエロの覆面が理学療法士だったことが分かる。また、川崎瞳という人物は存在しないことを知らされる。
かつて婚約者を亡くした速水の募りが潜在意識の中で川崎瞳という幻を作り出したということで処理され、また、場の内訳も事を荒立てたくないということで単独犯による銃殺・自害ということで締めくくった。
速水は子供たちがはしゃぐ公園前のベンチで考えるに、院内に入居する川崎13が川崎瞳の変装した姿だということを確信し、急いで田所病院へ向かう。
そこには川崎13(永野芽郁)によって横たえられた小堺医師の姿があり、シートをめくるとメスの刺さった状態で息を引き取る寸前だった。
川崎13曰く、姉妹で横断歩道へ渡る際に車に跳ねられ搬送されたが、川崎14こと姉はドナー摘出のために衰弱死し、叔母を亡くした同じ境遇の理学療法士と組んで手術に携わった佐々木看護師ら寿退社の日を期に、リストの奪回を企てたんだという。
田所院長のゴルフクラブが見抜かれていたのも、集音マイクによって双方の連絡が行われていたためで、メモや傷口を見せたのも瞳と理学療法士によるものだった。
現在、姉の臓器は国平元総理(小野武彦)の中にあり、政界復帰の演説をする会場に瞳(永野芽郁)はいた。瞳は手提げの中の銃を握ろうとするが、巨大スクリーンに映し出された速水による移植手術の告発や、遺族への叱咤を聞き、人ごみの奥へと消えていった。
数か月が経過し、診療室で小児からいつか見たようなお守りを受け取る速水医師。そして時が過ぎていくのだった。
以上、映画「仮面病棟」のあらすじと結末でした。
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