きみの鳥はうたえるの紹介:2018年日本映画。『海炭市叙景』『そこのみにて光輝く』 『オーバー・フェンス』 など函館を舞台にした著書を持つ小説家・佐藤泰志の小説を、函館市民映画館シネマアイリス開館20年記念作としてオール函館ロケで映画化した青春ドラマです。函館郊外の書店で出会った二人の男とひとりの女が織り成す人間模様を描きます。
監督:三宅唱 出演者:柄本佑(「僕」)、石橋静河(佐知子)、染谷将太(静雄)、足立智充(森口)、山本亜依(みずき)、渡辺真起子(直子)、萩原聖人(島田)ほか
映画「きみの鳥はうたえる」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「きみの鳥はうたえる」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
きみの鳥はうたえるの予告編 動画
映画「きみの鳥はうたえる」解説
この解説記事には映画「きみの鳥はうたえる」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
きみの鳥はうたえるのネタバレあらすじ:起
夏の北海道函館市。「僕」(柄本佑)と静雄(染谷将太)は、かつて冷凍倉庫で一緒にアルバイトをしていた際に知り合い、今では意気投合して小さなアパートでルームシェアをして暮らしていました。「僕」は街外れの書店で働いているものの、無断欠勤の常習犯であることから同僚からの評判は非常に悪いものでした。失業中の静雄は月末までに兄から金を借りなければならないとこぼしていました。「僕」は「この夏がいつまでも続くような気がした。9月になっても10月になっても、次の季節はやってこないように思える」とこの時感じていました。
ある夜、「僕」はまたしても仕事をサボって夜の街を歩いていると、偶然にも店長の島田(萩原聖人)が同僚の佐知子(石橋静河)と一緒に歩いているところに遭遇しました。「僕」は島田から明日きちんと出勤するよう叱られ、その際に佐和子とすれ違いました。島田と一緒に歩き出した佐知子を待ってみることにした「僕」はとりあえず“賭けだ”と思い立ち、120数えて来なかったら帰ることにしました。
そして117まで数えたところに佐知子が戻ってきて「僕」に「心が通じたね」と声をかけ、今度一緒に映画でも観に行こうと持ちかけてきました。その夜、「僕」は佐知子と飲みに行く約束をし、連絡先を交換しあって一旦自宅に戻りました。しかしその後、「僕」は佐知子との約束をすっぽかしてしまい、母・直子(渡辺真起子)から金を借りてきた静雄と酒を飲みながら夜の街に繰り出しました。
翌日、出勤した「僕」は島田から「酒臭いぞ」と指摘され、サボったことに激怒している同僚の森口(足立智充)には「昨日一日体調が悪くて寝てました」とバレバレの嘘をつきました。その後、サンドイッチ専門店「グルマンカンタ」で佐知子と昼食を共にした「僕」は昨晩は寝てしまってそのまま酒を飲んだことを釈明しますが、佐知子は「やっぱり誠実な人じゃいないんだね」と言いつつ特に気にする様子もありませんでした。「僕」は仕事の合間も佐知子のことが気になり、仕事中にスマホでメールを送ってみたりしました。
「僕」のアパートに佐知子が訪れ、「僕」と佐知子はキスをした後にベッドインしました。外をぶらついて帰宅した静雄は二人の情事を見てしまい、そっとドアを閉じて見なかったことにしました。しかし佐知子は静雄の存在に気付き、「僕」は「友達だよ。大丈夫だよ」と答えました。その後、ようやく帰宅した静雄は佐知子と挨拶を交わし、三人でビールを飲んでトマトを食べて、他愛無い話をしながら互いの状況を語り合いました。
それから三人は近くのコンビニ「ハセガワストア」に買い出しに行き、雨の降る夜道を三人の相合傘で帰りました。酒の勢いもあって「僕」と静雄は佐知子とすっかり打ち解け、まるで昔からの知り合いのように楽しいひと時を過ごしました。夜も更け、佐知子は一晩泊まらないかと言う「僕」や静雄の誘いを断って帰ることにしました。
「僕」は酔い潰れた静雄をアパートに残して佐知子を市電の停留所まで送りに行き、キスをして手をつなぎながら歩きました。別れ際、佐知子は静雄から一緒に映画を観に行かないかと誘われたと明かしました。帰宅した「僕」は静雄に佐知子と映画を観に行くのは自由だと告げました。
きみの鳥はうたえるのネタバレあらすじ:承
「僕」、静雄、佐知子は遊技場へ繰り出し、「僕」は佐知子にビリヤードの手ほどきをしました。それから「僕」と静雄は佐知子が見守るなか卓球で遊びました。その後、佐知子は同僚のみずき(山本亜依)から「僕」とのセックスの感想を聞かれ「ちょうどいい感じ」と答えました。みずきは佐知子が妻帯者である島田と付き合っていたことから「恋愛って何なんですかね。なんでみんな嘘つきなんですかね」と口にし、佐知子は「考えたってわからないよ。若さってなくなっちゃうものなのかな?」と答えました。
「僕」、静雄、佐知子はクラブ「CLUB STONE LOVE」でラッパーのOMSB(本人)のステージを楽しみ、酒を飲みながら踊りあかしました。夜が明け、三人は始発の市電に乗って帰路につきました。その後、「僕」は佐知子とベッドを共にし、外出中の静雄について「アイツは気を遣ってるんだろう」と語り合いました。佐知子は「僕」に「あなたの人生に静雄がいてよかったね」と語りました。その頃、静雄は老舗帽子専門店「赤帽子屋」でオーダーメイドの帽子を作ってもらっていました。
ある日、「僕」や佐知子たちが書店で働いていると万引きに見舞われました。取り逃がした森口は「僕」に「なぜ無視した」と突っかかり、「落ち着いてくださいよ」と返す「僕」に「なめてるのか。お前は本当に誠実じゃないな」とブチ切れました。やる気のない「僕」は「森口さんって面白い顔をしてますね」と茶化しました。
帰り道、佐知子は「僕」に「静雄って店長と私の関係を知ってる?」と尋ねました。「僕」は否定して佐知子とキスをし、佐知子は「今日の夜、店長に会って話をつけてくる」と話しました。「僕」は佐知子と島田の関係を「遊びのようなもんでしょ」と看破しましたが、佐知子は「すごい嫌だなあ。私が店長と付き合ってるの軽蔑してるんでしょ?」と不機嫌になりました。「僕」は「どうせ自然消滅するよ。どうにでもなるよ」と語りました。
その時、「僕」と佐知子は静雄が警察官から職務質問を受けている様を目撃しました。静雄は職務質問された理由については語らず、三人でバー「杉の子」に飲みに行きました。「僕」と静雄は佐知子と別れて帰路につき、佐知子は島田と一緒にカフェ「PIER H TABLE」に入りました。その様子をたまたま帰宅中の森口が目撃していました。
きみの鳥はうたえるのネタバレあらすじ:転
翌日、「僕」は静雄にキャンプに誘われましたが、特に理由もなく乗り気ではない「僕」は静雄に佐知子と二人で行ってくればと告げました。その後、静雄は求人情報を求めてハローワークに行きました。
「僕」はいつものようにやる気なく働いていましたが、佐知子は出勤してきませんでした。「僕」は佐知子にメールを送っていたところ島田に先日の万引きの件で呼び出され、「僕はクビでもいいですよ」と言いつつ「今度万引きが出たら必ず捕まえます」とかったるそうに答えました。その後、島田は「しんどい」と早退することにし、妻とは一昨年離婚していたことを「僕」に明かしました。島田は「仕事は遅刻しないで来てくれるといいから、佐知子のことは大事にしてやってくれよ」と告げました。
佐知子は喫茶店で本を読みながらため息をついていました。佐知子はメールで静雄を「ともえ大橋」まで呼び出し、「どうして(「僕」と)二人で暮らそうと思ったの?」と尋ねてみました。静雄は「楽しいから。アイツは不思議な明るさがあるから。裏表ないし」と答えました。何かあったの?と問う静雄に、佐知子は「色々あってね。なんだかわからない」と返しました。
その頃、森口は「僕」に佐知子が書店を辞めたこと、そして昨晩、佐知子が島田と会っていたことを明かしていました。森口は「アイツらデキてるぜ。俺ら真面目に働いてるのにアイツらだけ遊びやがって」と「僕」に愚痴をこぼしました。森口から「お前もさっちゃん(佐知子)のこと好きだっけ?」と冷やかされた「僕」は思わず森口を殴りつけました。
静雄と佐知子はカラオケ店「カラオケまねきねこ五稜郭店」に入っていました。静雄のスマホには直子から着信がありましたが、静雄は構うことなく佐知子に「俺、二人の間を邪魔してないかな?」と問いかけました。静雄は「オリビアを聴きながら」を歌う佐知子に見入っていました。静雄が佐知子を連れてアパートに戻ってきた時には「僕」はすっかり爆睡していました。
翌朝、三人は朝食を食べ、「お前も来ればよかったのに」と言う静雄に「僕」は「カラオケ苦手だから」と返しました。佐知子は「僕」は実は寝たフリをしていたことを見破っており、「僕」は「嫉妬したよ」と答えました。出勤する「僕」に佐知子は島田の様子を尋ね、島田が「佐知子のこと大事にしてやれよ」との言葉に「僕」が何の返答もしなかったことに佐知子は不機嫌になりました。
きみの鳥はうたえるの結末
「僕」は道路の縁石に座りながら野良猫に声をかけ、「ぜんぜん来ないよ…」とぼやきました。「僕」の勤める書店には新人のバイトが入りましたが、森口は近頃仕事をサボるようになっていました。その夜、「僕」が帰宅すると静雄と佐知子は既に山にキャンプに出掛けていました。
翌日、「僕」は「杉の子」に行きましたがこの日は臨時休業であり、スマホを気にしながら公園を歩いていると、突然背後から自転車に乗った森口が木刀で襲い掛かってきました。殴った相手が「僕」だと気付いた森口は慌てて逃げ出していきました。帰宅した「僕」は傷口を冷やし、一人でご飯を食べていると直子がやってきました。直子は静雄と全く連絡がつかないのでここに来たといい、静雄は仕事にも就かず何なってんだろうねと嘆きながらも「私が来たことは静雄に内緒にしておいてね」と告げました。「僕」は帰ろうとする直子に「アイツのこと心配しないでください。ちゃんとやってますから」と伝えました。
静雄と佐知子がキャンプから戻ってきました。「僕」が仕事から戻ると、静雄は兄と電話をしていました。どうやら直子が持病の発作で倒れたとのことで、「僕」は先日直子が訪ねてきたことを打ち明けました。その後、三人は遊技場でダーツとビリヤードと卓球を楽しみ、静雄は「バチが当たったんだろうな。遊んでばかりいるから」と呟きました。佐知子は「遊んで何が悪いの?」と慰めました。翌日に実家に戻るという静雄に、佐知子は帰ってきたらまた三人で飲もうと約束しました。みずきは新人バイトと飲みに出かけ、島田は泥酔して吐いている森口を見かけました。「大丈夫か?」と声をかける島田に、精神を病んでしまった森口は笑いながら「大好きっすよ」と繰り返していました。
翌日、静雄は「僕」と佐知子に見送られて函館駅から出発していきました。直子の病状は思ったよりも重く、静雄はしばらく故郷に留まることにしました。病室の特有の臭いは静雄が三人で過ごした楽しい日々の思い出をもかき消していきました。
その頃、佐知子は「僕」に、静雄と正式に恋人として付き合うことになったと告げていました。「僕」は無表情のまま「うん」とうなずき、「二人を見てればわかるよ。俺は二人が上手くいけばいいと思ってる」と言いました。「僕」は心の内で「静雄が母を見舞って帰ってくれば、今度は僕はアイツを通してもっと新しく佐知子を感じることができるかもしれない。すると、僕は率直に気持ちのいい、空気のような男になれそうな気がした」と思いました。佐知子を見送った「僕」は、あの日と同じように「1、2、3、4…」と数え始めてみました。しかし、いつまで数えても佐知子は戻ってこないので、「僕」は佐知子を追いかけて「俺、さっき嘘をついた。全部嘘だ。本当に静雄と付き合うのか? 俺は佐知子のことが好きだ」と告白しました。佐知子は複雑そうな表情をして黙り込みました。
以上、映画「きみの鳥はうたえる」のあらすじと結末でした。
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